「構造改革」で行政の仕事を民間へ丸投げしても大丈夫か。

 <賃貸アパート大手のレオパレス21が6月末時点で100億円超の債務超過に転落したことが25日、分かった。30日発表予定の2020年4~6月期連結決算で公表する。当面の手元資金は有しており、事業は継続する。施工不良問題の影響が長引き、主力の賃貸事業の業績回復が見通せないため増資などに応じるスポンサー探しが急務だ。

 18年に発覚した施工不良問題でレオパレスの業績悪化が止まらず、債務超過に転落したことで同社の経営問題は新たな局面を迎えた。債務超過を改善できなければ経営破綻する恐れが高まる。施工不良物件の改修が進まなくなり、物件オーナーへの補償に支障が出かねない>(以上「共同通信」より引用)




 引用記事によると「賃貸アパート大手のレオパレス21が6月末時点で100億円超の債務超過に転落した」という。「施工不良問題の影響が長引き、主力の賃貸事業の業績回復が見通せないため増資などに応じるスポンサー探しが急務だ」とあるが、賃貸アパート建設を主とする事業モデルそのものが市場飽和なっているのではないだろうか。

 相続税対策などを地主に持ち掛けたり、サラリーマンなどには「投資」としてアパート建設を持ち掛け、巨額な借金を地主や投資家たちに負わせる事業が成り立つのはアパート入居者がいるという前提があってこそだ。そのために35年間家賃保証を謳った「管理会社」にアパート経営を委ねさせる、という手の込んだ仕掛けを宣伝する企業まで現れている。


 しかしアパート入居者がアパートの室数を下回れば空室が出るのは当然の理だ。市場飽和に達すればアパート建設が割の合う節税対策や投資対象にはならない。全国平均で家屋は16%も余っている。既にレオパレス21主力事業の賃貸アパート建設は市場的には縮小過程に入っていると見なければならない。

 現に35年家賃保証していたはずの「管理会社」が倒産したり、あるいは「家賃保証契約」を当初の額から引き下げたり、あるいは解約したりとトラブルが絶えない。投資目的で巨額な借金を背負ったサラリーマンが家賃収入が思うように入らなくなり、ついには自殺するケースまで出ている。


 レオパレス21の「18年に発覚した施工不良問題」とはアパートで義務付けられている「防火壁」を天井裏の屋根に接する部分まで設けるように、との建設基準に違反していたことだ。それを適法にするための改修工事費が巨額となり、ついに100億円の債務超過に陥った。

 記事に「債務超過に転落したことで同社の経営問題は新たな局面を迎えた。債務超過を改善できなければ経営破綻する恐れが高まる。施工不良物件の改修が進まなくなり、物件オーナーへの補償に支障が出かねない」とあるが、レオパレス21はしっかりと企業責任を果たすべきだ。


 そして問われるべき行政側の責任も問題ではないか。一定の床面積以上の建物を建設する際には「建築確認」を行政に申請する。現在では「構造改革」による行政の丸投げが進んでいて、建築確認も民間の指定確認検査機関に丸投げしている地方自治体が多い。

 建築基準法では堪忍申請を要する建築に関しては「中間検査」および「完成検査」を受けなければならない、と定められている。だから行政もしくは民間の指定確認検査機関が法令通りに「中間検査」を実施していれば「防火壁の不備」は完成前にも指摘できていたはずだ。


 行政もしくは行政から建築確認事業の委託された民間の指定確認検査機関が「中間検査」や「完了検査」を建築現地へ赴いての実地確認を怠っていたとすれば由々しき問題だ。レオパレス21の「手抜き工事」だけでなく、そのことも厳しく検証されなければならない。「構造改革」による民間へ丸投げは大丈夫か、との認識を国民は持つべきではないか。

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