困っているは観光業者や飲食業者だけではない。困っていないのは公務員と政治家たちだけだ。

安倍晋三首相は6日、広島市で記者会見し、新型コロナウイルスの全国的な感染者急増を受けた政府の対処方針を説明した。重症・死亡者は比較的抑制できているとして現時点の緊急事態宣言再発令を否定。お盆シーズンの一律の帰省自粛は呼び掛けず、観光支援事業「Go To トラベル」キャンペーンを継続していく考えを示した。
 一方、東京都の小池百合子知事は今夏の旅行・帰省を控えるよう都民に要請。首相と都知事が方向性の異なるメッセージを発信した形で、お盆を前に混乱を招きそうだ。
 首相は帰省時の注意点として「3密を避ける、大声で話さないといった基本的な感染防止策を徹底するようお願いしたい」と要請。「Go To」キャンペーンについて「観光事業者と旅行者の双方に感染拡大防止策を実施してもらい、新しい旅のスタイルを定着させたい」と語った。
 国内の感染の現状に関しては「感染者数だけを見れば4月の緊急事態宣言時を超えているが、その時の状況とは大きく異なっている」と指摘。その根拠として、PCR検査の件数の伸びに加え、4月末に328人いた重症者数が最近は100人程度、5月に460人に達した死亡者数が7月は37人にとどまっていることを挙げた>(以上「時事通信」より引用)



 都会からやって来た旅行者が武漢肺炎の感染拡大のクラスターであった、という事実が一件でも見つかれば直ちに「GO TOトラベル」を停止措置とするのが政治のあり方ではないか。政府が本気で国民を武漢肺炎の感染から守ろうとするなら、そうすべきだが、安倍氏はトンと平気なようだ。
 今週末から始まる「お盆連休」で都知事が「お盆帰省の自粛」を都民に要請しているのに対して、安倍氏は「GO TOトラベル」を中止する意思はないようだ。東京都を「GO TOトラベル」対象地域から除外しているから問題ない、というのは見当外れだ。なぜなら単位人口当たり感染患者発生数では東京都だけが感染爆発しているとはいえないからだ。

 首相は帰省時の注意点として「3密を避ける、大声で話さないといった基本的な感染防止策を徹底するようお願いしたい」と要請という。しかし三密は東京の日常生活に溢れているではないか。
 満員の電車やバス、超過密状態の勤務事務所の環境など、三密が日常化しているのが都会の暮らしだ。素人考えでも都会で日常的な光景が繰り返されていて、感染を収束させることなど不可能だ。

 感染は収束方向ではなく、拡大方向の曲線を描いている。それも都会から地方へと武漢肺炎ウィルスが拡散しているのが分かる。それでも「GO TOトラベル」を止めようとしない安倍氏は国民の健康や命よりも「経済を回す」ことを優先している。
 観光業者や飲食業者が困っているから、というが、困っていないのは公務員と政治家だけだ。他の国民はすべて多かれ少なかれ程度の差こそあれ、武漢肺炎の感染に困っている。夏休みでも「自粛」して旅行へ出掛けない家庭の子供たちが最大の被害者かも知れない。

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