日本のイージス・アショアが不要になったのは米軍のレーザー兵器が完成したからではないか。

615日、日本防衛省はイージスアショア配備計画を停止しました。理由は山口県むつみ演習場への配備は海まで最短10kmと少し遠いので「迎撃ミサイルのブースターを演習場敷地内に落とす」運用だとこれまで説明して来たものの、ソフトウェアのプログラム改修だけでは済まずハードウェアの改修まで必要と判明し、多額の費用と長い開発期間が掛かるので現実的ではないと判断されたのです。
 もう一つのイージスショア配備予定地の秋田県新屋演習場は海と隣接しているのでブースターを海に落とすのは容易であり、現状のままでも問題はありません。しかし新屋演習場は市街地と隣接しており配備反対の声が大きく、防衛省は住民への説明会で間違ったデータを提示するなど不手際が続いて配備場所の再検討に追い込まれつつありました。それに加えて山口県配備予定地でも住民への説明が間違っていたことが判明した結果、イージスアショア計画の全てが停止に追い込まれました。
ブースター落下問題を計画全体の停止理由とする違和感
 迎撃ミサイルの命中精度に関係しない、推進剤が燃え尽きて投棄されたブースターに、多額の費用と期間を掛けて高度な誘導システムを組み込むのはあまりにも馬鹿らしいという説明はよくわかります。使い捨ての固体燃料推進なので回収して再利用できないのでなおさらです。ですが、配備場所を海沿いに変更してブースターを海に落とすならば容易なのに山口県配備予定地の変更を選択せず、すでに海沿いの場所である秋田県配備予定地まで含めて計画全体を停止するという説明には違和感があります。
 実際には山口県配備予定地のブースター落下問題は計画停止を言い出す口実に使われただけで、本当の理由は防衛省の説明不手際によって秋田県配備予定地で激化している配備反対の大きな声が原因だったのではないでしょうか? 
配備を急ぐ必要があったイージスアショア
 日本のイージスアショアは北朝鮮の核ミサイルの脅威が一気に急増した2017年に配備計画が決定されています。この年に北朝鮮は火星12号、火星14号、火星15号など大型のものを含む弾道ミサイルを16回発射、緊張が最高潮に達していた時期でした。もともと、新しい弾道ミサイル防衛システムとしてTHAADかイージスアショアを購入する方針は10年近く前から検討されていたので既定路線だったとは言えますが、決定自体は急遽決まったのは明らかに北朝鮮のミサイル示威行動が原因です。特にアメリカ本土まで届く火星14号と火星15号の大陸間弾道ミサイルの登場は深刻な問題でした。アメリカの武力行使を招く原因になりかねない存在だったからです。
 イージスアショアは配備をなんとしてでも急ぐ必要がありました。沖縄県普天間基地の辺野古移転はいくら計画が遅れようと海兵隊の戦力的な意味では全く困りませんが(あくまで戦力的な話)、イージスアショアは朝鮮半島有事が起きる前に間に合わせないといけません。それなのに秋田県配備問題の不備で計画が遅れることが濃厚になったので、全て撤回して最初からミサイル防衛計画をやり直した方が早いと判断されたのではないでしょうか? 山口県配備のブースター落下問題は最後の一押しに過ぎず、本当の理由はこの辺りにあるのではないかと推測します。
残骸の落下と核爆発の被害を同列に論じる違和感
 また北朝鮮の核ミサイルを迎撃する目的で配備される弾道ミサイル防衛システムの意義と比べると、推進剤を使い切って爆発もしないブースターの落下被害は比較としては釣り合わないように思えます。核爆発の被害と残骸の落下を同列に論じる違和感はどうしても拭えません。
 例えばPAC-3迎撃ミサイルは一段式でブースターは落としませんが、終末段階で迎撃するので目標の撃破に成功しても残骸は市街地に降ってきます。しかし核爆発の被害に比べれば残骸の被害など比べ物にならないので、迎撃戦闘を行うなと非難する声は出て来ないでしょう。
迎撃戦闘でのブースター落下をあまり気にしない諸外国
 欧州イージスアショアはルーマニアとポーランドの内陸に配備され、推進部分が三段式のSM-3迎撃ミサイルは第一段ブースターだけでなく第二段ロケットや第三段ロケットの残骸が何所かの陸地に降ってきます。しかしあまり気にされていません。迎撃戦闘の意義に比べたら残骸の落下などどうでもよいことだと考えているからでしょう。
 イージスアショアと比較する候補になっていた弾道ミサイル防衛システムのTHAAD迎撃ミサイルは一段式ですが弾頭分離式で、迎撃弾頭を切り離したらブースターが落ちてきます。これもやはりブースター落下の問題が出てきますが、アメリカでは問題視する声がありません。
 また欧州メーカーのMBDA社が開発したSAMP/T地対空ミサイルシステムのアスター迎撃ミサイルは二段式で大きなブースターが投棄されますが、配備が進むフランスやイタリアなどでブースター落下が大きな問題になったという話は聞きません。
 日本でも過去に巨大なブースターを投棄するナイキ・ハーキュリーズ地対空ミサイルの日本仕様ナイキJを配備していた時期があります。大型爆撃機迎撃用のナイキJ地対空ミサイルのブースターは重量2トンを超える大変に巨大なものでした。一体何時から日本では地対空ミサイルの迎撃戦闘で生じるブースターの落下を気にするようになってしまったのでしょうか・・・
停止されたイージスアショア計画の代替
 こうしてイージスアショア配備計画が停止する事態となりましたが、2017年の北朝鮮ミサイル乱射でアメリカによる武力行使の可能性が増大したことに恐怖した日本政府が弾道ミサイル防衛システムの拡充を進める方針には変化がありません。代替計画には幾つか候補があります。
イージスアショアを海沿いに配備変更(反対運動の問題)
 問題がブースター落下だけなら海に落とせばいいので配備場所を海沿いに変更すれば解決しますが、本当の問題は防衛省の説明不手際による配備反対の声の激化にあるとした場合、配備予定地の変更は新しい候補地での反対運動で大きく遅れることは必至であり、急いで配備するという当初の目的が困難になることが予想されます。
THAADに調達を変更(ブースター落下、費用、人員の問題)
 SM-3迎撃ミサイルのMk72ブースター落下が問題だとされてしまったので、THAAD迎撃ミサイルのブースター落下問題も解決できない以上、THAADの調達はむしろ困難になってしまいました。ブースターを空中で爆破処理したとしても残骸の破片は降ってきます。そもそも爆破処理で解決するならMk72ブースターもそうすればよいことになってしまいますが、これまでの防衛省の説明経緯では納得してもらうことは難しいでしょう。
 なおTHAADは防護範囲がSM-3より狭いので日本全土の防空には7個高射隊が必要となり、調達費用はイージスアショア2基よりも大きく跳ね上がることになる上に、大量に必要となる操作要員の確保も大きな難題として立ち塞がってきます>(以上「JSF軍事ブロガー」より引用)



 引用した「軍事ブロガー」氏はブースター落下問題をイージス・アショア計画の停止とするには違和感がある、としている。私もそう考える。非常時においてミサイルブースターが何処に落下しようが国民の利益のためなら国は気にしないだろう。
 山口県のはまだしも、秋田県のイージス・アショア基地予定地はブースターは確実に海に落下する。だから両方一遍に計画を停止したのには別の理由があると考えるのが妥当ではないか。

 軍事ブロガー氏はイージス・アショア配備計画を突然停止した理由を推理しかねているようだが、確実に言えることはイージス・アショアを日本の山口県と秋田県に必要と考えていたのは米国だ。つまり山口県のイージス・アショアはグアムの米軍基地を攻撃する北朝鮮ミサイルの飛翔軌道下にあり、秋田県のイージス・アショアはハワイの米軍基地を攻撃する北朝鮮ミサイルの軌道下に位置するからだ。
 しかし、その必要がなくなったと米国から通告が防衛省にあったのではないか。それは何を意味するのか。それはトランプ氏が習近平氏と対決姿勢を露わにしたことと無関係ではないだろう。たとえ習近平氏が破れかぶれになって米国本土攻撃の核ミサイルのスイッチを押したとしても、トランプ氏は平気になったからではないか。

 米国本土へ向けたミサイル攻撃を無力化できるようになった、と考えればここ半年の米国政府の振舞いに合点がいく。米国政府は他国からのミサイル攻撃を恐れる必要がなくなったのではないか。
 ミサイルを確実に迎撃できる兵器はミサイル防衛ではない。それはレーザー砲の完成だ。これまでも駆逐艦程度の艦船に装備したレーザー砲で航空機を撃墜させた、というニュースは報じられたことがあった。しかし飛翔するミサイルを撃墜するには原発クラスの電力を必要とするレーザーが必要とされていた。

 しかしそれはレーザーのビーム断面積をミリ単位以下に絞ればレーザー砲ではなく「レーザー・サーベル」として飛翔体に照射し、恰もサーベルで両断するように瞬時にミサイルを破壊できるのではないか。
 漫画の世界では早くから実用化されていた光線銃を米軍は手に入れたのではないか。だから日本のイージス・アショアが不要になったのではないだろうか。

 習近平氏の中共政府をトランプ氏は叩き潰す気でいる。香港に対する国家安全法の施行を、しかし中共政府は思い止まるのではないか、という観測が一部では出ている。習近平氏は国家安全法の香港適用に対して、トランプ氏の「貿易優先の停止」や「SWIFTコードの取り上げ」といった予想外の制裁措置に恐慌をきたしているという。
 熱い戦争が始まるのではないか、と下世話な軍事評論家が囃し立てているが、トランプ氏が下手なポーカー・フェイスで制裁措置を中共政府の中国に課すといっているはずがない。トランプ氏には米国の安全を確保できる、との読みがあるから強硬な制裁措置に出ようとしているのではないか。だとすれば、その根拠に考えられるのは「レーザー・サーベル」の完成しかないではないか。

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