グローバル世界の企業経営者の危機管理とは。

<ドイツメディアは15日、同国当局が16日朝(日本時間同午後)から新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、フランス、オーストリア、スイス各国との国境を封鎖すると報じた。貨物輸送や国境を越えて通勤する市民らは対象外という。

 欧州連合(EU)は域内の移動の自由を基本理念とするが、隣国との国境封鎖を表明する加盟国が相次いでいる。ドイツは国境開放が必要との立場を取り続けていたが、感染対策を優先させた形となった。近隣国市民による商品の買いだめ防止も狙いという。

 ドイツの感染者は約3800人、死者は8人。国内の大多数の学校は4月中旬まで休校する>(以上「共同通信」より引用)



 ドイツも「ヒト」の国境を超えた自由な移動を制限するという。ドイツの感染者は約3800人、死者は8人、国内の大多数の学校は4月中旬まで休校するというから迅速な措置というべきだろう。
 貨物輸送や国境を越えて通勤する市民らは対象外にするそうだが、EUは域内の「ヒト モノ カネ」の自由な往来を基本理念としているが、武漢肺炎には敵わなかったようだ。

 スペインも全土に非常事態宣言をして国境を封鎖した。欧州中に武漢肺炎が蔓延して、EUは未曽有の危機に直面している。参加加盟国に格差があるため、足並みを合わせた防疫体制は取れないし、域内の感染対策も同一というわけにはいかない。
 EUがいかに脆い存在かを、武漢肺炎の蔓延が露呈させた格好だ。いや、そもそも「ヒト モノ カネ」の自由な往来と、国境を有する各国の存続を認めた「連合体」そのものが矛盾している。

 そしてそれはグローバリズムの矛盾でもある。「世界は一つ」という理念は認めても、実際には「世界は一つ」ではない。それぞれ異なる民族や国々によって成り立っている。
 「世界は一つ」だから国境を無くし、「ヒト モノ カネ」の自由な往来を基本的に認めれば良いではないか、というのは「ヒト モノ カネ」の自由な往来を実現する前に「ヒト モノ カネ」の自由な往来の目的が何なのかを明確にしておくべきだ。

 現在のグローバル化は投機家や企業経営者の「企業利益(短期)最大化」の実現のためにある。決して「世界人類の平和」のためではない。だから「グローバル化=国際分業」ということになる。それは他国の低廉な労働力を利用するためだけのグローバル化でしかない。
 EUは欧州諸国が連帯することにより、一つの巨大経済圏を構築して世界に有利な地位を築こうとしたに過ぎない。しかし、それが幻だったことは英国の離脱で明らかになった。そして今回の武漢肺炎騒動だ。一つに纏まっているかのようなEUの幻影は各国の「ピース」にばらけてしまった。今後食糧危機などが発生すれば、EUは各国ピースの集合体に過ぎないことが明確になるだろう。
 
 日本はグローバル化の掛け声と「企業利益の(短期)最大化」に踊らされて中国へ進出した自動車などの各企業とサプライチェーンなどが武漢肺炎の蔓延で苦境に陥っている。国境を超え、こともあろうに独裁統制国家の中国へ企業展開するという「狂気の沙汰」を演じたツケが廻って来た。
 日本から海外展開した企業経営者は自国の青年たちの雇用を奪ったことを自覚し、反省すべきだ。彼らは余りにも安易に「企業利益の(短期)最大化」を求め過ぎた。

 投機家や企業経営者諸氏は海外展開した工場や資金を国内回帰させるべきだ。日本の中から発生した資金や企業は日本国内の雇用や経済にこそ資すべきだ。
 武漢肺炎がグローバル世界が幻影にすぎないことを知らしめた。それだけが大きな犠牲を払って、多くの人たちが教訓とすべきものではないだろうか。

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