世界を漫遊しているだけの安倍外交。

サウジアラビアを訪問している安倍晋三首相は12日夜(日本時間13日未明)、高齢のサルマン国王に代わって実権を握るムハンマド皇太子と北西部ウラー近郊で会談した。米国とイランの対立で緊張状態が続く中東情勢を巡り、地域の安定と緊張緩和に向けて関係国が力を結集すべきだとの認識で一致した。
 首相は翌13日、記者団に「自衛隊を(中東に)派遣することについて完全な理解と支持を得ることができた。地域のさまざまな問題について平和的な、対話を通じた解決に向け機運を醸成していくことが重要だ」と述べ、緊張緩和に向けた働きかけを続ける意向を示した。
 会談は皇太子の別荘で、随行者も出席して約40分間行い、通訳のみを交えた1対1の会談も約20分間実施した。首相は中東情勢について「事態のエスカレーションは何としても避ける必要がある」と指摘。サウジなど各国の抑制的な対応を評価し「全ての関係者に緊張緩和のための外交努力を求めており、サウジと緊密に連携したい」と要請した。
 皇太子は首相に同意し「地域の緊張は世界全体に悪影響を及ぼすものであり、当事国間の対話が必要不可欠だ。サウジアラビアもさらに取り組みを強めていく」と述べた。首相は、海上自衛隊の派遣について「日本関係船舶の安全航行の確保を目的に情報収集を行う」と説明。航行の安全確保に向けて両国が連携することで一致した。サウジでの日程を終えた首相は、13日午後(日本時間同夜)にアラブ首長国連邦(UAE)を訪問し、アブダビ首長国のムハンマド・ビン・ザイド皇太子と会談した>(以上「毎日新聞」より引用)



 一旦延期した中東訪問に安倍氏が飛び立ち、サウジアラビアのムハンマド皇太子と会談したと日本のマスメディアは報じている。それが恰も「中東和平」をもたらす動きでもあるかのように報じている「扇動報道」振りに日本のマスメディアに対する深い失望を覚える。
 元々サウジアラビアはイランと対立している国だ。むしろ「戦争状態」にあるとすらいえる。そのイランの敵国・サウジアラビアの皇太子と「中東を平和にしようね」と話して何になるというのだろうか。

 安倍氏が行くべきはイランだ。イランも元々日本の友好国だった。そのイランと日本との間に「隙間風」を入れたのは安倍氏の米国隷属外交だ。トランプ氏が勝手に「核合意」から離脱し、イランに経済制裁を課すという措置に踏み切り、日本政府にも同調を求めた際に安倍氏は「ノー」と返事しなかった。
 そして今回もトランプ氏の「有志連合」への参加呼びかけに対して、安倍氏は「ノー」といわずに調査と称して自衛隊艦艇の派遣を「閣議決定」で決めた。つまりイランと対峙する米国側に日本の安倍自公亡国政権は立っている。

 しかし日本にとってイランからの石油輸入量が全輸入量の6%程度だとしても、イランからの輸入を途絶えさせることは出来ない。イランとの立ち位置は米国の立ち位置と異なってしかるべきだ。
 米国は石油輸出国にすらなろうとしている、世界最大の産油国だ。米国は中東の石油に依存していない。むしろ中東が戦場となって産油量が減少する方が望ましい。なぜなら原油価格が暴騰するからだ。同様に天然ガスと石油輸出が国家財政を支えているロシアも中東の戦乱を望んでいる。だからトランプ氏がイランと事を構えても表立って非難していない。

 そうした「銭ゲバ」の連中が世界を仕切っている、という構図が国際政治の現実だ。決して高邁な理念や哲学の衝突ではない。世界は利権格闘合戦の場になっているだけだ。
 人類はこの段階で長らく止まっている。英国艦隊とスペイン艦隊が衝突した海洋利権争奪当時から、人類は一歩も前進していない。ただ先の大戦で敗れはしたが、世界中から植民地を独立させる契機となった日本の先人の働きが光っているだけだ。

 しかし、残念ながらそのことは決して現代では評価されない。なぜなら「戦勝国クラブ」が世界を支配しているからだ。そして安倍氏も「戦勝国クラブ」入りを目指して唯々諾々と世界を漫遊している。
 だからイランと米国の仲立ちなど、決して出来ない。それは北朝鮮へ行きもしないで「拉致被害者を私の政権で解決する」と息巻くトンチンカン振りと何も変わらない。中東漫遊を突如として変えて、イランでハメネイ師と会談するなら、少しは事態が改善されるかも知れない。それなら中東へ出向く前にトランプ氏と面会して、トランプ氏が仕出かした愚かな対イ対応を叱り飛ばしてからだ。だが、そうした度胸も度量もないことはこの七年間のポチ振りから、日本国民は誰もが期待どころか思いもしない。だから安倍外交を世界漫遊と呼ぶのだ。彼は息抜きと遊びに政府専用機を使って、お追従の経済人や記者たちを乗せて国民の税金で漫遊しているだけだ。

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