反・グローバリズムは「みんな違って みんな良い」という世界だ。

英国の欧州連合(EU)離脱に反対してきた「残留派」の市民が望みを断たれ、「離脱は嫌」「がっかり」と途方に暮れている。ジョンソン首相率いる与党・保守党が総選挙に勝利し、来年1月末の離脱達成は確実な情勢。首相は「和解」を呼び掛けるが、2016年の国民投票以降、残留・離脱両派は3年半にわたって互いを見下すように鋭く対立してきた。感情的なわだかまりを解くには時間がかかりそうだ。
 ◇「首相にだまされた」
 「絶望なんかしてない。あるのはただ怒りよ」。年の瀬でごった返すロンドンの繁華街。宝飾関係の仕事をするソフィーさん(47)は声を震わせた。
 12日の総選挙では野党第1党・労働党の候補に投票した。「離脱か残留かを問う国民投票の再実施」という同党の公約に希望を託したからだ。しかし、結果は保守党の大勝。ソフィーさんは「みんな(ジョンソン氏に)だまされたのよ。2、3年もすれば分かるわ」と吐き捨てると、「EU離脱は嫌。これからどうすればいいか分からない」と肩を落とした。
 離脱派の反応は対照的だ。ロンドン近郊に住む無職のマーティン・エドワーズさん(65)は大の首相ファンで、選挙では迷わず保守党に投票した。「欧州は(英国に)威張り散らしてきた」と、EUへの強い嫌悪感をむき出しにする。
 ◇「前へ進もう」
 家族でインドから英国に移り住んだという残留派の主婦(27)は、選挙結果に「すごくがっかりした」と落胆を隠さない。「これまでEU離脱を自分の中で完全に否定してきた」という。選挙結果を受け入れなければという思いはあるが、離脱派との歩み寄りとなると「率直に言って、長い時間が必要になる」と難しさを認めた。
 一方、イングランド中部レスターに住むエンジニアのクリスさん(30)は「EU離脱阻止」の野党第3党・自由民主党に1票を投じたが、選挙後、心境に変化が訪れた。「誰だって自分の意見というものがある。だから必要なのは(違う意見を)受け入れること。先に進まないと。今言えるのはそれだけ」と前を向き、離脱を受け入れる考えだ>(以上「時事通信」より引用)



 マスメディアは未だに「グローバリズム」の扇動を続けている、としか思えない。なぜなら英国の国会議員選挙で「離脱派」が大勝したにも拘らず、英国のEU離脱を嘆く英国民、などといった見出しの記事を大きく掲げているからだ。
 英国がEU離脱を決めたのはEU加盟により「ヒト、モノ、カネ」の国境を越えた移動が自由になり、東欧から大量の移民が英国に流れ込み、イギリス人の職を奪いロンドンを我が物顔に占拠したからだ。既にロンドン市街地の住民の過半数は移民で占められ、イギリス人は「治安の良い郊外」へ移り住んでいる。

 伝統ある英国の文化や慣習が破壊されているのもイギリス人には我慢のならないところのようだ。もちろん宗教の異なる人たちの流入は深刻な住民間の軋轢を生んでいる。無宗教に近い日本国民には理解し難いところだが、キリカと教徒とイスラム教徒は千年以上も宗教戦争を演じていることからも、宗教対立は根深いものだと理解できるだろう。
 そして英語を話さない人たちの地域が形成されているのもイギリス人にとって我慢のならないところだ。発音の角を立てる誇りあるイギリス訛りの英語を話さない人たちが英国籍を取得して棲みついている現状はイギリス人にとって悪夢そのものではないか。

 時事通信が報じている「離脱は嫌」「がっかり」と途方に暮れている「残留派」の市民たちの正体は何者なのだろうか。英国がEUに止まって利益を得るのは主としてEUと商取引をしている企業経営者と資金移動で稼ぐ投機資本家たちだけではないか。
 英国に進出した日本の自動車各社はEUへの非課税輸出の利益を失うためEU離脱には反対だっただろう。しかし英国が英国たるアイデンティティーを取り戻すには離脱しかないのも自明の理だ。そもそも英国は他のEU諸国とは根本が異なっている。欧州諸国は大陸国家だが、英国だけは島国で「海洋国家」だ。

 かつて七つの海にユニオンジャックを翻し海洋大国を誇った伝統を英国は持っている。それは日本と類似している。それぞれの独立した国々と通商条約を締結して交易するのを本旨として来た日英両国はグローバル化を推進するまでもなく、国際私的な取引を実現してきた。
 特定の地域や国々と「ブロック経済」を形成するのは先の大戦の悪夢の繰り返しでしかない。どこそこと組んで、どこそこの国を包囲する、などといった餓鬼の「論理」を展開する評論家たちには辟易する。すべての国々や地域と対等に交易関係を締結して、利益を分かち合うべきではないか。国際関係は「みんな違って みんな良い」という金子みすゞの世界であるべきだ。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。