他人に冷淡な社会。

大阪府大阪市の小6女児が誘拐された事件で、25日、伊藤仁士容疑者(35)が未成年者誘拐と監禁の疑いで送検された。捜査が進むにつれ、130時間に及んだ恐怖の監禁生活の実態が明らかとなってきている。
女児を精神的に追い詰める悪質な手口が判明
伊藤容疑者は女児とSNSを通して知り合い、「半年前に来た女の子がいる。しゃべり相手になってほしい。うちに来ない?」という誘いのメッセージを送っていたという。

こうして1117日、女児を大阪市にある自宅近くの公園に誘い出し、およそ430キロ離れた栃木県小山市の自分の家まで在来線を乗り継いで連れ去ったとみられている。
女児は、伊藤容疑者が住む2階建て5LDKの自宅内で、家にいた15歳の少女とともに1階の和室で寝起きする生活を送っていたという。

女児は監禁生活中、身体を拘束されることはなかった。しかし女児の証言から、逃げることができないよう、精神的に追い詰める悪質な手口が判明している。

伊藤容疑者は、女の子が外出できないように靴を隠し、次いで外部へのSOSや位置情報を把握されることを恐れたのか、女の子のスマートフォンを取り上げて、SIMカードを抜いたという。

さらに、女児は「銃弾のようなものを見せられて怖かった」とも証言。その言葉を裏付けるように、家宅捜索では、女児に見せたとみられる銃弾のようなものが複数見つかっている。
交番まで10分の距離を女児は3時間半かけて歩いた…その理由とは?
この緊迫した状況を打開したのは女児の勇気だった。23日午前10時ごろ、女児は伊藤容疑者が寝ている隙をついて逃走。

当時のドライブレコーダーの映像では、冷たい雨の中で傘もささず、足には靴が履いておらず、靴下だけで歩いている女児らしき姿を画面右下に確認できる。女児はこの直後、交番に助けを求めて保護された。

逃亡先の伊藤容疑者の自宅から交番までは直線距離で約750m。歩いて10分ほどの距離だ。

しかし、女児が保護されたのは午後1時と、脱出から3時間半も後となった。

女児を発見した男性は、「同じところをぐるぐる回っている。何回も見かけるのと、周りをうかがうような仕草というのがあったんで、『この子は何なんだろうな?』と、当時を振り返る。女児にとっては見知らぬ土地であることに加え、伊藤容疑者にいきなり連れ去られたことから、警察以外の人に助けを求めることをためらったものとみられている。

伊藤容疑者は警察の調べに対し、「公開捜査になっていることは知っていた。誘拐しようとしたわけじゃない」と供述しているという
>(以上「FNN prime」より引用)


 日本ほどの情報社会で、小6の少女が10時間に及ぶ「連れ去り」の在来線の移動が駅員や鉄道警察などの注意を集めなかったのはなぜだろうか。車掌などが見廻って、切符を改めていればそれなりに事後の女児行方不明捜査に資していたのではないだろうか。
 あるいは女児周辺駅の監視カメラを大阪府警が丁寧に検証していれば女児を連れ去っている映像を発見していたのではないだろうか。それにしても住民の疎らな地方の山間部と異なる大阪市の住宅街の公園から連れ去られる女児の目撃者が一人もいなかったのだろうか。

 無事に発見されたから良いものの、罷り間違えば以前にあった事件のように長期監禁になっていた可能性がある。一緒に監禁されていた中三女生徒の関係で容疑者の家を訪れた四人の警察官が家宅捜査をしたが女生徒を発見できなかった、という経緯も明らかになっている。
 発見できなかったとしても、その後もマークして警察は引き続き容疑者宅を張っていなかったのはなぜだろうか。小六女児が連れ去られて来たのは、女性と監禁の疑いで容疑者宅を捜査した後日のようだが、容疑者をマークしていたなら小六女児連れ去り監禁事件は未然に防げていたはずだ。

 大阪府警のみならず栃木県警の基本的な捜査上の不手際が重なって、卑劣な35歳の容疑者により連れ去られた女児は半年に及ぶ監禁生活を強いられた。その間に女児が味わった恐怖と絶望を思えば警察の対応力のなさに怒りさえ覚える。
 世の中には様々な不幸を抱える人は無数にいる。それでも耐えて不幸を乗り越えて他人に危害を加えずに善良な市民として暮らしている。容疑者は高校受験に失敗しただけで人生を棒に振った。容疑者周辺の大人たちは容疑者の15歳の春以来の二十年間、一体何をしていたのだろうか。

 そして容疑者宅周辺の住民たちは容疑者宅の異変に一切気付かなかったのだろうか。容疑者が暮らしていた地域社会は監禁の犯罪が長期間に及んでいた事実を真摯に反省すべきだ。それは行政から委託されている様々なセイフティー・ネットとしての職務を委任されている人たちの責務をもう一度考え直す必要があるのではないだろうか。
 かつて、警察官が定期的に地域巡回を行って家庭訪問と居住者確認を行っていたが、そうした活動が絶えて久しいのはなぜだろうか。地域巡回に代わる監視カメラと個人認証が出来るようになったからなのだろうか。それとも単なる職務の改編なのだろうか。

 日本の中でこれほどの人権侵害が誰にも気づかれずに行われているとは驚く。逃げ出した女児は雨の中を傘も差さず靴も履かず、三時間も道に迷ったかのように同じ地域をグルグル回っていたという。
 その間、女児を見かけた大人たちは誰一人として「オカシイ」とは思わなかったのだろうか。なぜ声の一つなり掛けようとはしなかったのだろうか。なぜ保護すべく行動に移らなかったのだろうか。日本社会はそれほど弱者や子供たちに冷淡な社会に成り果ててしまったのだろうか。

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