関電問題が「事件」化しないのはなぜだ。
<2日に公表された関西電力の報告書で、関電側が発注先の建設会社「吉田開発」(福井県高浜町)の関係者がいた席で金品を受領したり、工事情報を町元助役の森山栄治氏(故人)に漏らしていたりしたことが明らかになった。関電側は「実際の発注に悪影響はなかった」などと釈明したが不透明さはぬぐえない。今後刑事事件に発展する可能性はあるのか。
金品の受け取りをめぐっては、公務員が職務に関して賄賂を受け取った場合、刑法の収賄罪に問われる。
関電社員は公務員ではないため同罪は適用されないが、株式会社の取締役らを対象に「職務に関し、不正の請託(せいたく)を受けて、財産上の利益」を収受したり、要求したりした場合に処罰する-と規定するのは、会社法の収賄罪だ。
「不正の請託」とは、不正な行為を依頼すること。例えば取締役が、具体的な工事をめぐり不正な要求を受けて、金品を受領した場合、立件の対象になり得る。
甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「不正の請託がなければ、金品の受け取りも通常のビジネスの流れであり、立件は難しい」と指摘。ただ、関電の報告書によると、関電が森山氏に工事概算額などの情報を提供していた。渡辺教授は「特定の企業が受注しやすい情報提供をしたり、発注を優先したりしたことがビジネスの良識に反することが証明できれば、不正な請託を認定できる余地は残る」と述べた。
状況によっては、会社法の特別背任罪に該当するとの見方もある。
この場合、工事代金が水増しされるなどし、関電側に実害があるということを客観的に証明することが、犯罪の成否を決める上で一つのポイントとなる。
近畿大の辻本典央(のりお)教授(刑事訴訟法)は「不当に受注額の高い契約や不要な契約が締結されるなどしていれば、(関電幹部が)特別背任罪に問われることも考えられる」とする。
事件捜査に着手するとした場合、高額の金品の授受に関し、森山氏や関電幹部がどのような認識を持っていたのか解明するのも重要になりそうだ。ただ、森山氏は今年3月に亡くなっており、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「森山氏が死亡しているのは、捜査する上でネックになる」と指摘。刑事責任追及のハードルは高いとの見方を示している>(以上「産経新聞」より引用)
関電幹部による工事費還流着服問題が「事件化」するのはなかなか難しい、という。近畿大の辻本典央(のりお)教授(刑事訴訟法)は「不当に受注額の高い契約や不要な契約が締結されるなどしていれば、(関電幹部が)特別背任罪に問われることも考えられる」との見解を示しているようだが、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「森山氏が死亡しているのは、捜査する上でネックになる」と指摘。刑事責任追及のハードルは高いとの見方を示している、ともいう。
常識的に考えれば「工事費の水増し」という手数を加えただけの企業のカネを「横領」したに過ぎない。それも個人的な企業ではない、極めて公共性の高い電気使用料を原資とする関電のカネを「横領した」と見なすのが普通ではないだろうか。
高浜町の元助役が地元工事会社を仕切って関電が発注する高浜原発の維持・管理工事から水増し分を地元工事会社から回収して、関電幹部に還流させた、という構図が犯罪でないとしする方こそ無理がある。
それも判っているだけでも3億6千万円という一般国民にとっては生涯縁のない巨額なものだ。実際はそれどころではなく、9億円を超えるとか、いや20億円に達するとか、様々な金額が報道されている。そうした企業資金の還流による着服事案に対して検察は沈黙したままで、国民のモラルが保てるとでも思っているのだろうか。
そして高浜町の助役一人だけが高浜原発の工事を仕切っていたのだろか。関電の役員二人が一億円を超えるカネを受け取っていて、それが工事費が水増しされた「企業資金」の着服でないとしたら何だろうか。
公共性の高い電力会社の幹部が多額な金品を受け取っていた「事案」が闇から闇へ葬られるとしたら、日本という国は飛んでもないモラルハザードをしていると認識するしかない。それは検察・司法当局の堕落でもある。
金品の受け取りをめぐっては、公務員が職務に関して賄賂を受け取った場合、刑法の収賄罪に問われる。
関電社員は公務員ではないため同罪は適用されないが、株式会社の取締役らを対象に「職務に関し、不正の請託(せいたく)を受けて、財産上の利益」を収受したり、要求したりした場合に処罰する-と規定するのは、会社法の収賄罪だ。
「不正の請託」とは、不正な行為を依頼すること。例えば取締役が、具体的な工事をめぐり不正な要求を受けて、金品を受領した場合、立件の対象になり得る。
甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「不正の請託がなければ、金品の受け取りも通常のビジネスの流れであり、立件は難しい」と指摘。ただ、関電の報告書によると、関電が森山氏に工事概算額などの情報を提供していた。渡辺教授は「特定の企業が受注しやすい情報提供をしたり、発注を優先したりしたことがビジネスの良識に反することが証明できれば、不正な請託を認定できる余地は残る」と述べた。
状況によっては、会社法の特別背任罪に該当するとの見方もある。
この場合、工事代金が水増しされるなどし、関電側に実害があるということを客観的に証明することが、犯罪の成否を決める上で一つのポイントとなる。
近畿大の辻本典央(のりお)教授(刑事訴訟法)は「不当に受注額の高い契約や不要な契約が締結されるなどしていれば、(関電幹部が)特別背任罪に問われることも考えられる」とする。
事件捜査に着手するとした場合、高額の金品の授受に関し、森山氏や関電幹部がどのような認識を持っていたのか解明するのも重要になりそうだ。ただ、森山氏は今年3月に亡くなっており、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「森山氏が死亡しているのは、捜査する上でネックになる」と指摘。刑事責任追及のハードルは高いとの見方を示している>(以上「産経新聞」より引用)
関電幹部による工事費還流着服問題が「事件化」するのはなかなか難しい、という。近畿大の辻本典央(のりお)教授(刑事訴訟法)は「不当に受注額の高い契約や不要な契約が締結されるなどしていれば、(関電幹部が)特別背任罪に問われることも考えられる」との見解を示しているようだが、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「森山氏が死亡しているのは、捜査する上でネックになる」と指摘。刑事責任追及のハードルは高いとの見方を示している、ともいう。
常識的に考えれば「工事費の水増し」という手数を加えただけの企業のカネを「横領」したに過ぎない。それも個人的な企業ではない、極めて公共性の高い電気使用料を原資とする関電のカネを「横領した」と見なすのが普通ではないだろうか。
高浜町の元助役が地元工事会社を仕切って関電が発注する高浜原発の維持・管理工事から水増し分を地元工事会社から回収して、関電幹部に還流させた、という構図が犯罪でないとしする方こそ無理がある。
それも判っているだけでも3億6千万円という一般国民にとっては生涯縁のない巨額なものだ。実際はそれどころではなく、9億円を超えるとか、いや20億円に達するとか、様々な金額が報道されている。そうした企業資金の還流による着服事案に対して検察は沈黙したままで、国民のモラルが保てるとでも思っているのだろうか。
そして高浜町の助役一人だけが高浜原発の工事を仕切っていたのだろか。関電の役員二人が一億円を超えるカネを受け取っていて、それが工事費が水増しされた「企業資金」の着服でないとしたら何だろうか。
公共性の高い電力会社の幹部が多額な金品を受け取っていた「事案」が闇から闇へ葬られるとしたら、日本という国は飛んでもないモラルハザードをしていると認識するしかない。それは検察・司法当局の堕落でもある。