日本の景気は既に後退している。
<昨年12月10日に内閣府が発表した18年7~9月期のGDP改定値は速報値から下方修正され、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%減、年率換算で2.5%減となった。個人消費や輸出が低迷したうえ、設備投資が前期比2.8%減と、速報値(0.2%減)から大幅に落ち込んだ。
GDPのマイナス成長は2四半期ぶりで、下落幅は消費税が8%に引き上げられた14年4~6月期以来、4年3カ月ぶりの大きさだ。
1月23日に財務省が発表した18年の貿易統計(速報、通関ベース)も厳しい結果だった。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、1兆2033億円の赤字だった。赤字は3年ぶりだ。同時に発表された12月単月も552億円の赤字。最大の貿易相手国である中国向け輸出が1兆4026億円(7.0%減)と大幅に下落した。通信機67.1%減、半導体等製造装置34.3%減、電気回路等の機器25.7%減、音響・映像機器の部品20.3%減と携帯電話関連の落ち込みが目立つ。中国からの輸入は1兆5970億円(6.4%減)で、こちらも大幅減だ。
アジア全体の輸出入は、輸出が3兆8292億円で6.9%減。輸入は3兆2859億円で2.9%減。最大のマーケットであるアジアとの貿易全体の落ち込みは大きな懸念材料だ。
内需はどうだろうか。日本百貨店協会が1月23日に発表した18年の全国百貨店売上高は5兆8870億円で、既存店ベースで前年比0.8%減と2年ぶりのマイナスだった。インバウンド(訪日外国人客)に人気の化粧品が9.5%増と好調だったが、夏場以降の自然災害による消費意欲の落ち込みが響いた。12月単月は6805億円で0.7%減。2カ月連続の減少となった。
スーパーマーケットは3年連続のマイナスだ。日本チェーンストア協会が1月22日に発表した18年のスーパー売上高は12兆9883億円。既存店ベースでは前年比0.2%減だった。12月単月は1兆2941億円で0.7%減で、3カ月連続のマイナス成長だ。
唯一プラスとなったのは、コンビニエンスストア。日本フランチャイズチェーン協会が1月21日に発表した主要コンビニエンスストア売上高は、既存店ベースで9兆7244億円で前年比0.6%増。2年ぶりのプラスとなった。12月も好調で前年同月比1.2%増の8741億円(既存店ベース)と2カ月連続の増加。
18年の首都圏のマンション発売戸数は、前年比3.4%増の3万7132戸(不動産経済研究所の発表)。ただし、発売月に契約が成立した物件の比率は、前年から6.0ポイントダウンの62.1%。売れ行き好調の目安とされる70%を3年連続で割り込んだ。
新車販売は前年比0.7%増の527万2067台と2年連続の増加だった(日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会の発表)。もっともプラスになった要因は、軽自動車人気。軽は192万4124台と前年比4.4%増で、過去5番目の高い伸びとなった。一方、普通・小型車は1.3%減の334万7943台と3年ぶりのマイナスだった。国内の新車販売は相次ぐ検査不正やゴーン事件の影響もあり、先行きは不透明だ。
こうしてみると、内需はまちまち。力強さはどこにも見当たらない。百貨店は衣料品の販売不振から、この冬2回目のセールを開催するありさまだ。
貿易も内需もパッとしないなかで、厚労省の統計不正問題が発覚し、政府統計の信頼性が大きく揺らぎ、アベノミクスの“成果”に疑問符が付けられている。米中貿易摩擦の影響を受ける日本経済の先行きに対する不安感も強まる一方だ。
そんな状況のなかで、10月の消費税率引き上げは本当に「できる環境にある」といえるのだろうか。徹底した議論が必要だ>(以上「Business Journal」より引用)
昨年12月期からGDPの落ち込みが激しいという。「昨年12月10日に内閣府が発表した18年7~9月期のGDP改定値は速報値から下方修正され、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%減、年率換算で2.5%減となった」というから大変だ。
なにしろ米中戦争で本格的な米国による中国への関税引き上げはこれからだ、という段階でしかない。それでもこの落ち込みは中国経済バブル崩壊の影響と判断するしかない。
貿易も惨憺たる有様だ。「1月23日に財務省が発表した18年の貿易統計(速報、通関ベース)も厳しい結果だった。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、1兆2033億円の赤字だった。赤字は3年ぶりだ。同時に発表された12月単月も552億円の赤字。最大の貿易相手国である中国向け輸出が1兆4026億円(7.0%減)と大幅に下落した。通信機67.1%減、半導体等製造装置34.3%減、電気回路等の機器25.7%減、音響・映像機器の部品20.3%減と携帯電話関連の落ち込みが目立つ。中国からの輸入は1兆5970億円(6.4%減)で、こちらも大幅減だ」というから酷い。
中国当局は昨年度の経済成長は6.5%と報じているが、大嘘もいいところだ。対日貿易の落ち込みだけで中国経済を占うのは余りに大胆過ぎるかも知れないが、日本から他の国に貿易品目がシフトしたという話も聞かないため、単純に中国の貿易取引が全般的に減少したと考えるべきではないか。
中国経済の50%以上を担う貿易が対前年比減ならば、個人消費と政府支出がよほど対前年比増にならない限りGDPが対前年比減となる。つまり2018年の中国経済はマイナス成長だったということになる。
国内の個人消費は上記記事にある通り、それでも前年比増とかなり健闘している。しかしマンションの新築完成前契約率の低下など、既に景気後退の萌芽が出ている。
直近のコンビニの売上高はどうやら対前年比減になる見通しのようで、景気は「シザナギ景気」超え、どころかすでに後退局面に入っているとしか思えない。ここで10月に消費税10%増税など、到底実施できる環境にないことは明らかだ。
そもそも財政規律のため、や、社会福祉のための安定財源、のための消費増税などは大嘘で、これまで何度同じ「殺し文句」を国民は聞かされたことだろうか。しかも消費増税の都度、「総需要不足」を起因とする不景気が国民生活を襲っている。
この10月に消費増税を断行すれば確実に総需要不足に起因する不景気とデフレ化が国民を貧困化させるのは間違いないだろう。再度、消費増税の凍結ないし破棄と、出来ることなら消費税の減税を求める。
まずは経済成長させることに政府は本腰を入れて取り掛かるべきだ。さもなくば、日本は10年を待たずして、ただの後進国に成り下がってしまうだろう。その時こそ中国の軍事的脅威に怯えなければならない。
軍事費がGDPに正比例するのなら、GDPを増やさなければならないのは自明の理ではないか。