子供を産まないのが悪い、とは「三年子なきは去れ」という戸主制度時代の残滓そのものだ。

麻生太郎副総理兼財務相は3日午後、福岡県芦屋町であった自身の国政報告会で、少子高齢化問題に絡み「年を取ったやつが悪いみたいなことを言っている変なのがいっぱいいるが、それは間違い。子どもを産まなかったほうが問題なんだから」と述べた。麻生氏は4日午後の衆院予算委員会で「不適切な発言だ」と追及され、発言を撤回した。
 麻生氏は「大きな問題として中長期的には、少子高齢化という問題だ」と指摘。そのうえで「国民皆保険だ。16歳から64歳の人たち6人で、1人の65歳以上の高齢者を支えている。今は間違いなく高齢者の比率が高くなっている」と語った。平均寿命が延びていることを「素晴らしいことだ」と述べたうえで、「子どもを産まなかったほうが問題だ」と続けた。その後、全世代型社会保障制度の必要性などを呼びかけた。
 全閣僚が出席して行われた4日の予算委で、立憲民主党会派の大串博志氏が「多様な生き方が認められないといけない。不妊治療をし、つらい思いをしている人もいる。極めて感度の低い、不適切な発言だ」と批判し、麻生氏に謝罪と撤回を求めた。
 これに対し、麻生氏は「全体を聞けば趣旨を理解いただけると思うが、発言の一部だけが報道された。発言は今後気をつけたいし、撤回したい」と述べ、発言を撤回した。
 大串氏がこの発言について質問している最中に麻生氏が笑ったとして、「なにを笑っているんですか、大臣」と激高する一幕もあった。
 麻生氏は2014年12月の衆院選の応援演説でも、少子高齢化で社会保障費が増えていることについて「子どもを産まない方が問題だ」などと発言し、その後に釈明したことがある>(以上「朝日新聞」より引用)


 麻生氏は他人の痛みの分らない人のようだ。子供が欲しくても産めない体の女性もいれば、経済的な理由で生めない既婚女性もいれば、不幸にして良き伴侶を得る機会に恵まれなかった女性もいる。そうしたすべての女性に対して「子を産まなかったのが問題だ」とはいかに配慮を欠く発言だろうか。
 それほど子を産み育てることが国家の未来にとって必要だと理解しているのなら、なぜ財務官僚を督励して「子供手当」をかつての民主党マニフェスト並みに支給しようとしないのだろうか。幼稚園を増設して無料化するよりも、国民の自由選択に任せる方が一人一人の親にとって都合が良いのは論を俟たない。

 国家が「子は宝」だとの姿勢を示せば自然と出生率は増加するだろう。十歳の子供が「父親にいじめられている。どうにかできませんか」と学校のアンケートに書いても、それを学校や教育委員会によって父親にばらされて殺されるようでは元も子もない。
 子供にとって現代日本は生きやすい社会なのだろうか。それとも戦前の戸主時代の残滓のような逼塞した親子関係が現代も温存されているのだろうか。少なくとも「子を産まないのが悪い」という麻生氏のセリフは「三年子なきは去れ」という悪しき時代の木霊のように聞こえる。

 少子化は深刻な問題だ。このままいけば早晩日本人の日本は消滅する。日本の伝統文化や慣習はビデオの記憶の世界だけのものになってしまいかねない。
 そうしないためにも子供育て支援策を本格化させなければならない。そうした要の省庁の財務省の大臣に麻生氏は適格性を著しく欠いているといわざるを得ない。

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