米朝首脳会談の「決着点」は何処か。

安倍晋三首相は20日夜、ドナルド・トランプ米大統領と電話首脳会談を行った。来週27、28日、ベトナムの首都ハノイで行われる米朝首脳会談に向け、安倍首相は日本人拉致被害者の早期帰国実現への協力を要請した。トランプ氏も応じた。だが、もう一つの焦点である「核・ミサイル」問題について、トランプ氏は最近、北朝鮮に融和的言動を続けている。「北朝鮮の完全な非核化」を達成できなければ、日本の安全保障上の危機は継続する。識者からは、トランプ政権にモノ申す姿勢が必要との意見も出ている。
「核・ミサイル問題、拉致問題の解決に向けて、日米のあらゆるレベルで一層緊密に連携していくことで一致した」「特に拉致問題は、トランプ氏と、より時間をかけてしっかりと話をした」
 安倍首相は約30分間行われた電話会談後、記者団にこう語った。拉致問題について、安倍首相は「トランプ氏も私の話に耳を傾けてくれ、私がいかに拉致問題を重視しているかが『自分もよく理解できた。だから、自分も拉致問題を重視する』と明確に述べてもらい、前回同様、協力を約束してくれた」と、会談の様子を明かした。
 日本の悲願である拉致被害者奪還へ、米国から力強いサポートを得たようだ。しかし、日本の安全保障にとって極めて重要な「北朝鮮の完全な非核化」の実現に向けては、疑問が残る。電話会談終了後、トランプ氏はホワイトハウスで、記者団に「今回が最後の(米朝首脳)会談にはならないだろう」と述べたのだ。
 2回目となる北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との米朝首脳会談は、正恩氏が前回約束した「非核化」について、具体的日時や方法を約束させる場になるべきだ。それがなければ、北朝鮮は永遠に先延ばしが可能となる。
 しかし、トランプ氏の発言からは、「時間稼ぎ」を図る北朝鮮のペースにはまっている恐れすらうかがえる。
 トランプ政権は当初、「CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)」を主張した。短期間で大量破壊兵器を国外搬出し、完全廃棄後に経済制裁を緩和する「リビア方式」が政権内で提唱されたこともあった。だが、昨年6月に行われた米朝首脳会談の共同宣言には、CVIDは盛り込まれなかった。
 非核化の達成時期についても、トランプ氏の大統領任期である「2021年1月」が目標とされていたが、トランプ氏自身が19日、「最終的には北朝鮮の非核化を目指すが、(北朝鮮による)核実験がない限りは急がない」「特に差し迫った(非核化の)スケジュールがあるわけではない」と述べたのだ。外交的成果を焦って、血迷ったのか。
 「核・ミサイル」を完全に廃棄させない限り、北朝鮮の脅威はなくならない。一部では、トランプ氏が、米本土に届くICBM(大陸間弾道ミサイル)の廃棄で、正恩氏と合意するとの観測もある。万が一、そうした事態となれば、中距離以下の弾道ミサイルと核は残ることになる。
 北朝鮮は現在、短距離(射程約1000キロ未満)、準中距離(射程約1000~約3000キロ未満)、中距離(射程約3000~約5000キロ)の弾道ミサイルを多数保有している。スカッドERは日本の一部、ノドンは日本のほぼ全域を射程におさめるとされる。
 2018年版の防衛白書では、北朝鮮の「核・ミサイル」について、「これまでにない重大かつ差し迫った脅威」と明記され、ノドン数百発が実戦配備されているとみられる現状が指摘されているのだ。
 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「米国からすれば、米本土に届くICBMの廃棄や凍結で手を打てば、自国に対する直接的なダメージは少なくなる。仮に、米朝首脳会談がそのような結果に終わって、すべての『核・ミサイル』の廃棄が達成されなければ、北朝鮮の中距離弾道ミサイルの射程内に入っている日本は脅威に直面することになる」と解説する。
 トランプ氏は、2回目の米朝首脳会談に自信を深めているようだが、「完全な非核化」が達成できない場合、日本はどう行動すべきか。
 潮氏は「仮に、米朝首脳会談の結果が、『リビア方式』と正反対のような形になった場合、日本側から少しオフィシャルに、米国に意見表明をしてもいいのではないか。言い方には気をつける必要があるが、例えば、『ミサイルが全部廃棄され、核弾頭が1つもなくなるということでなければ、日本人は誰も喜びませんよ』と言うべきだ。そうしないと、また、トランプ氏に『日本も喜んでいる』といわれかねない」と話した>(以上「ZAK ZAK」より引用)


 米朝首脳会談について、先日このブログで提起した「米国本土攻撃のICBM開発破棄」だけで米朝が合意するのではないか、との懸念に産経系列の「ZAK ZAK」がやっと理解したようだ。
 そうした場合、日本はどうすべきか。上記記事ではトランプ氏に極控え目に「ミサイルが全部廃棄され、核弾頭が1つもなくなるということでなければ、日本人は誰も喜びませんよ」と言うべきだとしている。なという慎ましやかな提言だろうか。

 かつて安倍氏は総選挙で「国難突破」を掲げた。国難突破すべき事態に直面しているから、ここは現政権を担っている自民党と公明党に投票すべきとJアラートを鳴らしてまで「国難」を煽ったものだ。それに日本のマスメディアが追従して、ノドンは二十年も前から配備されているにも拘らず、安倍自公政権が倒れたなら北朝鮮のミサイルが日本本土へ飛来するかのような情報操作した。
 それで大勝したにも拘らず、安倍自公政権は「国難」除去に何もしていない。彼が「国難」と定義した核兵器と中距離ミサイルは手付かずのまま、安倍自公政権は北朝鮮と一度も協議していない。

 そして「拉致問題は私の政権で解決する」と豪語して六年有余、彼は一度も拉致被害に関して北朝鮮当局と一度も会談すらしていない。もちろん安倍政府首脳は誰も北朝鮮当局と会ってもいないし会談すらしていない。
 ただトランプ氏に「金正恩氏との会談の折に「拉致問題」を持ち出して欲しい」と懇願するだけだ。その対価として米国製のポンコツ兵器を爆買いさせられている。

 今回の米朝首脳会談に先立って、安倍氏はトランプ氏と30分間の電話会談を行ったという。通訳が入るから、実質的には双方が5分程度ずつ話した程度だろう。それで拉致問題を話題にして欲しいと懇願したようだ。それに対してトランプ氏が何と返答したのか、安倍氏はトランプ氏が尽力すると約束したと取材マイクに向かって言っているが、彼の言葉は当てにならない。何しろ国会審議の場でも大嘘を平気で捲し立てる御仁だ。
 拉致問題もさることながら、安倍氏がトランプ氏に釘を刺すべきは「まさかICBMの開発放棄だけで金正恩氏と握手するのではないですね」と念押しすべきだ。日本に対する北朝鮮の脅威はICBMではない。核兵器と中距離ミサイルだ。

 ICBM開発の放棄だけで米朝が合意して、それで握手したから北朝鮮への経済制裁を解除して、日本が北朝鮮の経済発展に資すべく援助資金を出せ、と命令されてはかなわない。いや、厚かましいトランプ氏なら平気で要求するかもしれない。
 その際、安倍氏に「日本への北朝鮮の軍事的脅威は以前と何も変わらない。こうした会談結果は日本にとって無意味だ」と米国を突き放すことが出来るのか。日本は米国のATMではない。確たる独立国家だ。何なら日本のすべての基地から米軍に撤退してもらっても構わない。その代わり、日本はアジア重視の外交に軸足を移して、中国と共に「共益圏」を構築しても良いだろう。

 米国のドルが永遠に基軸通貨であり続けることはあり得ない。また米国が永遠に世界の超大国であり続けることもあり得ない。いつかは国際通貨は国際機関が管理する「為替決済機関」取って代わられるだろう。双子の赤字を垂れ流している米国が、その通過を国際基軸通貨としていることに限界が来るのは誰の目にも明らかだ。
 現在、米国が超大国たり得るのは軍事力と巨大なGDPを有しているからだ。しかし軍事力が超大国の条件であり得るのは前世紀的発想だ。現代及び未来では巨大な軍事力を擁する国は国際社会の嘲笑の的でしかない。政府が国民へのサービスを削って、税を軍事力の増強と維持に消費する様はいかにも兵隊ゴッコに興じる幼児のようだ。

 軍事力で他国や多民族を切り従える、という発想はいつの時代のものだろうか。そうしたことに血道を上げる国やその国民とはいつの時代を生きているのだろうか。核やミサイルを開発し保有する政府や国家が誇らしいと思う国民とは何だろうか。
 人類はいつになったら殺し合う歴史から脱却できるのだろうか。武威を誇り他国を圧倒し富を奪うとは、人類の叡智とは何だろうか。北朝鮮に拉致されているのは数百人の日本人だけではない。北朝鮮に暮らす2500万人の人達もまた金独裁政権に拉致されている。

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