裸の王様。

<前首相秘書官(現財務省関税局長)は20日の衆院予算委員会で、厚生労働省が設置した「毎月勤労統計の改善に関する検討会」をめぐり、2015年9月に議論の内容について報告を受けていたことを大筋で認め、従来の答弁を事実上修正した。

 根本匠厚労相は調査手法の変更に関し、中江氏から同検討会に意見があった可能性に触れた。
 中江氏は「厚労省から今朝方、姉崎猛厚労省統計情報部長(当時)らが15年9月14日に(自身と面会し)、検討会の状況についても触れたと言っている旨の連絡があった」と明らかにした。今月15日の予算委では「検討会を始める報告を受けた記憶はあるが、検討結果は報告を受けた記憶はない」と述べ、首相官邸の関与を否定していた。

 勤労統計では調査対象である中規模事業所の定期的な総入れ替えにより、さかのぼって指数を修正するため、賃金伸び率が下振れすることが多かった。中江氏は9月14日の面会に関し、「部分入れ替えの方が経済の実態をよりタイムリーに表すなら、専門的な検討を進めてもらったら良いのでは、と申し上げたかもしれない」と述べた。

 立憲民主党の長妻昭代表代行は、同日に厚労省関係者が検討会の阿部正浩座長に送ったメールの内容をただした。根本氏は「委員以外の関係者から『部分入れ替え方式を検討すべきではないか』との意見があったと、阿部座長に連絡した」と説明した。この関係者について「中江氏のことだと思われる」と語った。

 首相は15年9月3日の国会答弁の準備で、勤労統計の課題を知ったとしている。この日も「答弁の説明だけを受けるから、政策的なやりとりをする余裕は普通ない」と改めて関与を否定した>(以上「時事通信」より引用)



 勤労統計の調査対象企業の入れ替えに中江秘書官から同検討会に意見があった可能性があると根本匠厚労相は調査手法の変更に関して説明したという。しかし安倍氏は「答弁の説明だけを受けるから、政策的なやりとりをする余裕は普通ない」と改めて関与を否定した、というのだ。
 こうした「私は知らなかった」というセリフが免罪符として罷り通る図式は「モリ カケ」疑惑で何度も繰り返された図式と全く同じだ。安倍氏は「森羅万象」が総理大臣としての職務の守備範囲だとしながらも、全てを知るのは困難だ、とこれまで答弁している。

 しかし安倍氏は統計企業の入れ替えに「アベノミクス」が成功しているかのように「偽装」することはあり得ない、と森羅万象を熟知しているかのような答弁もしていた。否定する時にはすべてを承知していた、否定する時には「すべてを知るわけがない」と知らなかったと言い訳する。
 この安倍氏の二重構造はまさしく日本の公共事業の病理そのものだ。日本は民間単価と公共事業単価とが罷り通る二重帳簿の国だ。税務署では「二重帳簿」は脱税として厳しく叱責され、時には「逮捕」という強権発動までされる。

 しかし建設や工事の事業単価では倍近く異なる単価が日本国内に存在していることに関しては「慣習」として警察はもとより検察も一切触れようとしない。海外の建設会社が日本国内の公共事業に参入できないため、そうした二重帳簿が罷り通っているが、日本国内の建設業界では「常識」でも、国際的には「非常識」そのものだ。
 その「子常識」さが国立競技場を巡る騒動が世界に配信されたため、世界中で驚愕を以て日本の二重価格構造が知れ渡った。何しろ屋根のない国立競技場の建設費が2300億円を超えるというのだから世界中の建設関係者が腰を抜かした。

 ロンドンオリンピックで使用した競技場の建設費が650億円程度だ。同じ競技場で収容人数ではロンドンの競技場の方が上回る。しかも屋根付きだ。
 日本の国立競技場が高額なのは橋梁に用いるアーチ構造を用いているからだ、と尤もらしい説明がなされたが、橋梁のアーチ構造は橋床を持ち上げ、水平に保つためのものだ。しかし国立競技場には持ち上げるべき屋根がない。つまり橋梁に用いるアーチは無用の長物だ。しかし、そのことに言及する建築士は一人もいなかった。

 日本ヨイショのテレビ番組は「褒め殺し」のように、日本国民は勤勉でマジメで嘘を吐かない、と絶賛の嵐だ。しかし現実は国内の実に解り易い二重帳簿になっているにも拘らず、ゴマンといる建築士は誰もそのことを指摘しない。
 それどころか「安ければ良い、というものでない」と建設工事の二重単価が存在していることを積極的に認めるような発言をしている。これはおかしなことだ。それなら半値に近い民間建設工事は手抜きで耐震設備なども出鱈目だとでもいうのだろうか。馬鹿も休み休み言うものだ。

 安倍氏は官邸秘書官がやったことのすべてが私に報告されるのではない、と承知していたことを否定する。それなら秘書官は秘書官としての職務を怠慢していたことにならないか。「ホーレンソウ」が職務遂行の要だとという常識すらないのだろうか。
 あるいは国内慣習で罷り通っている民間と公共事業の建設単価の「二重価格」と同じ構造で、知っていながら「知らないことにしている」のだろうか。あるいは官邸の秘書官たちは安倍氏とダジャレを言ったり、バーベキューをして燥いだりしても、業務内容に関してはガンとして一言も触れないのだろうか。

 官邸から検討委員会に指示があっても「答弁の説明だけを受けるから、政策的なやりとりをする余裕は普通ない」と言い逃れれば官邸の主人は追及されない、というのでは「私は裸の王様だ」と自ら暴露しているに等しい。
 しかし、裸の王様であろうとも、安倍氏は責任を取るべきだ。なぜなら世間では社員の犯した不始末でも社長が責任を取って退陣するからだ。それとも安倍氏は「裸の王様」というレッテルを自ら貼って、大きな顔をして官邸に居座るつもりだろうか。

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