日本を「褒め殺」すのか。

 我が家にはテレビがないため、世間の動向に疎い面があるのは否めない。だから友人のお宅にお邪魔して仲間と一杯飲んでいる時、居間で付けっ放しになっているテレビに驚くことがある。
 これほど日本礼賛番組があることに、今更ながら驚かされた。日本製品が世界で頑張っている、という番組だったようだが、それは間違いだ。

 確かに一部の特殊な電子部品は日本でしか作れないものが多々ある。しかし、それはあくまでも部品でしかない。製品の組み立てて日本ブランドで売る白物家電やPCなどは見る影もない。
 しかも電子部品に関しても、東芝製のHDDやメモリーなどは中国企業に売却してしまった。液晶テレビで一世を風靡したシャープも、もはや日本の企業ではない。富士通ブランドも身売りしてしまいそうだ。日立は当の昔にPC部門から撤退している。

 かろうじて自動車生産でメイドインジャパン・ブランドを保っているが、それすらもCO2プロパガンダに踊らされる日本のマスメディアに圧されて未来はドンドン暗くなっている。唯一水素で駆動する自動車エンジンを有するマツダのロータリーエンジンを、日本のマスメディアはなぜか世界へ積極的に発信しようとしない。
 国内産業はプラザ合意の日本衰退計画にマンマと乗せられた「国際分業論」で日本の製造部門が海外移転して、アッという間に日本はスカスカになった。企業利益は最大化しているが、国民所得にそれは一切反映されず、国民は貧困化している。

 それでもテレビに「日本礼賛番組」が氾濫しているのはリクルート事件の際に右翼が竹下登総理を「褒め殺し」したのが思い出される。
「人を堕落させるのは批判ではない、賞賛の万雷の拍手だ」とは良くいったものだ。自画自賛して日本国民は少しばかり好い気になって、自滅の坂道を転がり落ちている。ごく一部の特殊部品供給国に成り下がった日本の哀れな実像を、なぜマスメディアは国民に気づかせないのだろうか。それともマスメディアこそが「反日勢力」で、日本を「褒め殺し」ているのかも知れない。テレビを見ながら背筋が寒くなった。

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