国民の幸福を阻害するマスメディアの世論操作。

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は24日、故金正日総書記が朝鮮人民軍最高司令官に就任した日から27年を迎えたのに合わせて社説を掲載し、軍事優先の先軍政治により国防力を強化、同国を「世界的な軍事強国」にしたと金正日氏を称賛した。
 ただ、核・ミサイルには直接言及せず、経済建設に総力を挙げるとする金正恩党委員長の下、軍人は「経済建設の困難な現場で進撃の突破口を開くべきだ」とした。
 社説は、金正日氏のおかげで国防工業が発展、どんな最新鋭兵器でも思い通りにつくれるようになったとし、今後も「防衛力を鉄壁へと固めていかなければならない」と主張した。同時に、軍が党の指導下にあることを強調、金正恩氏を「唯一の中心」として結束するよう求めた>(以上「産経新聞」より引用)


 北朝鮮の人口は約2500万人と推定されている。GDPは約400億ドルでほぼ茨城県ほどで、一人当たりGDPは1800ドルほどでしかない。
 北朝鮮の軍事費はGDP比17%~23%を占め、推定6000億円ほどと思われが、そのうち4000億円ほどが核やミサイル開発に使われていると思われる。茨城県の人口は296万人で北朝鮮の1/10ほどでしかないし、核やミサイル開発していない。いかに北朝鮮の政治が乏しい予算を軍事費に消費しているかお分かりだろうか。

 北朝鮮のGDPの構成を見ると農林水産業が23%、鉱業や工業が29%という偏りで、就業人口の36%が第一次産業に就いているという後進国ぶりだ。しかし経済成長しているのも確かで、平壌に限ってみればマンションや道路などのインフラ整備も進んでいる。
 ただ少しでも郊外に離れると道路は高速道ですら未舗装で、国民の暮らす社会のインフラ整備が進んでいるとは見られないし、国民が寄生虫に蝕まれている実態からしても公衆衛生などの生活環境も整備されているとは思われない。

 北朝鮮の軍事強国は誰のためなのだろうか。軍事強国でなければ南朝鮮が攻め込んで北朝鮮の国民が虐殺されるとでもいうのだろうか。現代のアジアにおいて、そうした蛮行が繰り返されると北朝鮮国民は本気で思っているのだろうか。
 軍事強国策により鉄壁の守りをして、北朝鮮の独裁政権は誰を誰から守るつもりなのだろうか。すべては独裁者の被害妄想の強迫観念がもたらす壮大なファンタジーではないだろうか。

 すべての人には幸福になる「権利」がある。その幸福になる「権利」を国家権力が制限してはならない。しかし往々にして国家権力を掌握した一握りの者が、自らの権力と富を維持・拡大するために国民の幸福になる「権利」を阻んで恥じない。
 それは何も北朝鮮だけの事ではない。日本に於いても実際は「国民から借金」しているにも拘らず、「国の借金」だと財務省がマスメディアを総動員して国民に誤解させ、「国民から借金した政府の借金」を、国民に支払えと「消費増税」して国民からカネを巻き上げる。そして根本的な「政府借金の償還」は経済成長による「自然増収」で賄うべきという根本原則を無視し、国民にもそうした経済原理を一切マスメディアは報じることもなく、銀行などに預けた国民の預金などを「国債を担保」に借り入れた「政府借金」を、増税により「国民に支払わせる」という、日本国民にとって踏んだり蹴ったりの政策にも拘わらず「国の借金を国民が返済するのは当たり前」という倒錯した理屈を国民に信じ込ませている日本政府とマスメディアの「壮大なる大ウソ」と、北朝鮮の「軍事強国ファンタジー」と何処が異なるというのだろうか。

 日本は「誰か」によって衰亡の坂道を転落させられている。GDPの世界平均成長率3%に満たない日本の1%台の成長は、実は成長ではなく衰退している事に他ならないが、そういう解説をマスメディアで一切見かけないのはなぜだろうか。
 日本国民は日本の報道の自由度が先進国で最低だという報道を訝しく思っているかも知れないが、政府と一体となったマスメディアの巧妙な大嘘に騙されていることにすら日本国民の多くは気付いていないようだ。日本の報道の自由度が先進国で最低と訝ること自体が、自由度が低いことの証拠だ。それは北朝鮮国民が「軍事強国」を信奉するのと大差ない。

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