「技能実習生」の実態は。

日立製作所が、鉄道車両製造拠点の笠戸事業所(山口県下松市)で働くフィリピン人技能実習生20人に実習途中の解雇を通告したことが同社などへの取材で分かった。国の監督機関から実習計画の認定が得られず、技能実習生としての在留資格が更新されなかったため。実習生は今月20日までしか在留できず、帰国を迫られるが、個人加盟の労組に加入し、日立に解雇の撤回などを求めている。
 実習生は監理団体「協同組合フレンドニッポン」(本部・広島市)が紹介し、日立が雇用した。労組や実習生によると、20人は全員20代で、昨年7月に3年間の実習のため入国した。今年9月20日付で在留資格が技能実習から30日間の短期滞在に変更され、日立から同日、解雇を通告された。「解雇予告手当」として月給相当の十数万円が実習生に支払われたという。
 笠戸事業所では実習生に目的の技能が学べない作業をさせている疑いがあり、法務省や監督機関「外国人技能実習機構」が7月、技能実習適正化法違反の疑いで実地検査した。技能実習制度では実習生ごとの実習計画に機構の認定を受ける必要があるが、法務省関係者によると、日立については、適正な実習を行えるのか検査中のため、新たな計画を認定できないと判断。20人の2年目以降の計画も認定できず、在留資格を短期滞在に変更した。実習生が帰国しても、日立が適正な実習計画を出せば、国は再入国を認めるという。
 解雇通告を受けた複数の実習生は朝日新聞の取材に、新幹線の排水パイプ付けなど「本来の『電気機器組み立て』技能が学べない単純作業ばかりだ」と主張。「突然解雇を言い渡された。私たちに非はなく、不当だ」と訴えている>(以上「朝日新聞」より引用)

 山口県の日立笠戸工場は新幹線や海外へ輸出する車両生産などを行っている。その笠戸工場に「外国人技能実習生」が三年前にやって来て働いていたが、ここに来て日立笠戸工場で「技能実習」を行っていない、との疑惑から法務省や監督機関「外国人技能実習機構」が7月、技能実習適正化法違反の疑いで実地検査した、という。その結果適正な「技能実習」をしていないとして「新たな技能実習」を認められないとの決定に到り、フィリピン人をはじめ20名の外国人技能実習生に「在留資格」の取り消しが決定された。つまり「強制的」に帰国となったわけだ。

 時恰も、国会では外国人労働者を来年4万人入れるための「入管法」改正を行おうとしている。五年以内の「単純労働」のための外国人労働者を入れるのだが「特定技能」を有する者には在留資格を延長するとか説明しているようだが、実態がどうなるのかは火を見るよりも明らかだ。
 「技能実習生」に関しても実態は技能実習ではなく、便利な安い労働力として使役していた。そうした実態が法務省や監督機関「外国人技能実習機構」が7月、技能実習適正化法違反の疑いで実地検査で明らかになっているではないか。

 日本はいつから貧しい外国から「安価」な労働力として外国人を入れる「卑しい」国になったのだろうか。それは日本の労働賃金にも反映され、賃上げではなく賃下げに働くものでしかない。しかも安価な労働力の導入により現場の生産性向上を阻害し、ひいては日本の経済成長に悪しき影響を与えるものでしかない。
 なぜ安倍自公政権は経営者を「甘やかす」ような政策しか採らないのだろうか。法人税を引き下げれば内部留保を増やすことは自明の理で、法人税が高ければ税で払うよりも労働者の待遇を改善しようと思い賃上げに繋がるし、人手不足は生産性向上に投資するのは必然ではないだろうか。そうした芽を摘んで、短期的には最大利益をもたらすかもしれないが、長期的には凋落傾向を促進するものでしかない。

 多くの技能実習生の外国人は不満を抱いて帰国する。それが日本の未来に暗い影を落とすのは明らかだ。たとえ日本企業で本当に技能を実習したところで、それは日本企業での技能であって、帰国した彼の国の工場で必ずしも役立つものではない。
 なぜなら彼の国に日本の工場の設備やマザーマシンが設置されてないからだ。工具一つとっても日本と彼の国とでは装備が異なる。「技能実習」とは体の良い安価な労働力の移入でしかない。そうした誤魔化しをいつまで日本は続けるつもりだろうか。

 誠実な国家の看板を汚してまで、安倍自公政権は経営者たちの御機嫌を取る「外国人労働者」を入れるつもりなのか。まさしく「亡国政権」と批判すべき日本の未来に禍根を残す政権だ。

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