消費増税を巡るチマチマとした議論で税制の本筋を見失うな。

<政府が来年10月の消費税率10%への引き上げに伴う需要の反動減対策で、自動車の購入時にかかる税金を最大2%減税する案を検討していることが12日、分かった。総務省財務省による案で、消費税増税時に導入される、燃費に応じて購入額の0~3%課す新税「環境性能割」が対象。2%減税の場合、課税率は0~1%となる。また燃費性能の高い車はもともと非課税のため、購入を支援する補助金も検討。税率は1年半かけて段階的に戻すことで、駆け込み需要などの抑制も図る。

 環境性能割は現在の自動車取得税(最高税率3%)に代わって導入される。2%を減税した場合、3%が課される燃費性能の悪い車は1%に減税され、2%課される車は非課税となる。

 一方、環境性能割が非課税の電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車など燃費性能の高い車は減税による恩恵を受けられない。このため購入費の2%分を支援する補助金も検討されている。1%の車は減税して非課税とした上で、購入費1%分の補助金を支給する仕組みも考える。

 また、税率は1年半かけて3~4段階で引き上げ、元に戻す計画。税率を急に戻す場合に想定される駆け込み需要を防ぐためだ。

 一方、経済産業省は環境性能割の導入を1年半凍結する案を検討中。しかしEVなどは購入時の自動車取得税の負担はもともとゼロで、新税が凍結されても購入者に恩恵はほとんどない。経産省案では燃費が悪い高級車や大型車の購入者にしかメリットがなく、「温暖化防止という環境性能割の目的にも反する」(財務省幹部)との批判もある。

 総務省・財務省と経産省は年末の税制改正に向けて協議を続けるが、減税や凍結の財源をめぐる論点もあり、調整は難航しそうだ>(以上「産経新聞」より引用)


 自動車に関わる税金は多種多様で、世界的に見て日本の自動車課税は高額になっている。購入後も毎年自動車税が課され続けるし、ガソリンにも高額な揮発油税が課されている。
 若者の自動車離れが起きているのはそうした自動車に対する税が自動車保有意欲を削いでいるのではないだろうか。しかも若者たちの賃金が一向に向上しないという現実もある。生活するのがやっとという若者たちは自動車を保有するどころではないのかも知れない。

 消費税をどうするか、という議論はどうでも良い。根拠のない「CO2温暖化」に乗って騒ぐ日本政府は優秀な日本のガソリンエンジン車叩きを世界が行っている戦略だということに気付いていないようだ。電気自動車が環境に良い、などという惚けた議論をまともに受けている官僚やマスメディアも噴飯ものだ。
 政治家までも電気自動車は環境に優しい、などといったマヤカシに乗せられているようでは政治家の資格はない。電気自動車を製造する段階でCO2を大量に排出しているしレア・アースの希少金属を大量に使用する電池を作るためにどれほど地球環境を破壊していると思っているのだろうか。そして電気を作る段階でCO2を大量に排出しているし、そもそも電気が高効率のエネルギーだというのも「産直」の場合であって、遠くから変圧器を通って送電する場合はガソリンエンジンの熱効率の方が勝るだろう。

 消費増税に向けたマチマチとした税制を考えるよりも、日本の官僚たちは技術大国日本の足元が揺らいでいる現実にこそ目を向けるべきだ。既に「白物家電」技術では韓国や中国に追い付かれ、追い抜かれている。その主たる要因は日本の技術者たちが肩叩きを機に大量にヘッドハンティングされ、彼の国々へ流出し使い捨てられたからだ。
 他の製造業も韓国や中国へ製造拠点を移すと同時に製造技術まで移し、彼の国々に奪われた事を忘れてはならない。そして今、自動車製造拠点まで中国へ移し、自動車に関する知的財産まで易々と奪われようとしている。

 日本が経済大国として今後もあり続けるためには技術革新を持続しなければならない。企業は絶えず技術・研究開発に投資を行い、日本人従事者に技能を継承・蓄積して行かなければならない。外国人に技能・技術を教えて、日本経済の優位性を自ら放棄してどうするつもりだろうか。技術の優位性を奪われて、日本企業は今後世界といかにして伍して行くつもりだろうか。
 国際分業論などといったグローバリズムの論理に乗せられて技術まで海外移転を行った産業が現在どうなっているか。その典型的な実例が「白物家電」だ。そして明日の「自動車」になりかねない。

 開発力の豊かな日本国民を製造現場で「正社員」として育成することなく、短期利益に目が眩んで外国人「派遣」労働者を使用する経営者など言語道断だ。日本国民の賃金が高いというのなら、その賃金を吸収して猶も利益の上がるような技術開発に投資しないのだろうか。生産性向上を忘れた企業に明日はない。
 経産省の官僚たちは高度経済成長を縁の下から担った先輩たちの労苦を忘れたのだろうか。財務省官僚たちの口車に乗せられてチマチマとした税の割振り議論にかまけている場合ではない。経産省こそは経済成長を請合うべき省庁ではないか。なぜ財務官僚たちと経済成長のためには消費減税が必要だと正面切って喧嘩しないのだろうか。

 外国人労働者の大量移民は言語道断で、官邸が推進する派遣労働者枠の拡大や働き方改革と称する「終身雇用制」破壊こそが日本の経済開発力を徹底して衰弱させている現実を直視すべきだ。壮年期の「肩叩き」を機にヘッド・ハンティングされ、日本の技術者や研究者が大量に韓国や中国へ渡った現実を忘れてはならない。
 人材こそが「人財」だ。その人財を粗末に扱う風潮を日本企業に醸成したのは日本のグローバル化を推進した「構造改革」論者たちだ。バカな経営者たちがグローバル化の皮相な論理に毒されて「人財」を「人材」として扱ってしまった。今も労働者ではなく、労働力として生産現場の人たちを扱っている。

 消費増税は日本経済の原動力を壊し、弱体化させる財務官僚たちの戦略だ。日本がモデルとした米国には「国税」としての消費税はない。だから世界一の経済大国だ。経済大国世界第二位の中国の消費税は5、6、13、17%の税率だ。 5、6%は、一般の消費税(中小商店、サービス、その他)で、13、17%は製造業。13%は大手食品会社の商品で、17%は機械工業などの製品だ。
 日本は消費税を5%に戻すべきだ。そして贅沢品に関しては元の物品税に戻せば良い。かつて物品税では3ナンバー車は贅沢とされ税率23%だった。理念なき消費税で貧困層は重税にあえぎ、GDPは主力エンジンを冷やされて失速したままだ。これでは財務省によって日本は滅ぼされかねない。
 税制の本筋は政治そのものだ。もちろん「富の再配分」という格差是正機能もある。しかし政治そのものが税制なら、日本の政治家諸氏は日本をどのような国にするつもりで、その長期戦略をどのように描いているのか、本筋の議論を国民に聞かせるべきだ。

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