「水道事業民営化」の水道法改正に反対する。

臨時国会が始まり、外国人労働者の奴隷制度をさらに許可する入国管理法改正に注目が集まっているが、今国会ではもうひとつとんでもない法案が成立しようとしている。それは、水道事業への民間参入を促す水道法改定案だ。
 安倍政権はまず、今年6月、自治体に公営事業売却を促すPFI法改正案を成立させた。この法律改定によって、自治体が上下水道や空港などの運営権を民間企業に売却するコンセッション方式の導入が簡単になり、安倍政権は10年間で21兆円の公営事業民営化という目標を設定したのだが、その目玉として「世界で最も安全で安い」といわれる日本の水道事業だった。
 そして、先の通常国会で、コンセッション方式による水道の民営化を促す水道法改定案を自民党、公明党、維新の会などの賛成多数により衆院厚生労働委員会で可決。それが今国会で継続審議され、成立が確実視されているのだという。
 しかし、水は国民の「命」に直接関わる最も重要なインフラ。そんなものを民営化して大丈夫なのか。しかも、民営化になれば、料金が高騰することが確実視され、貧困層が大打撃を受けることになる。
 実際、世界各国では水道民営化による問題が噴出し、悲劇としか呼べない事態も起き、いまは民営化をやめて公営に戻す流れが主流になっている。
 たとえば、南アフリカでは、民営化後にコストのすべてを水道料金に反映する「フル・コスト・リカバリー」という方式がとられたため、貧困層を中心に1000万人が水道を止められた。汚染された川から汲んだ水で生活せざるを得なくなる人が続出し、コレラが蔓延。死亡者が多く出た。
 南米のボリビアも水道民営化によって悲劇が起きた土地。ここでも民営化による水道料金の値上げで水道を止められる人が続出した。それにより、「ボリビア水戦争」や「コチャバンバ水紛争」と呼ばれる反対運動が起き、2000年にはデモ隊を政府が武力で鎮圧しようとし死者まで出た。抗議行動は各地に広がり、最終的に政府は抗議を受け入れ再び公営化されている。
 途上国だけではない。たとえば、パリは1985年から給水業務をヴェオリア・ウォーター社とスエズ社に、浄化と送水、そして水質管理業務をSAGEP社に委託したが、そこで起きたのは、管理主体が複数あることが原因で起きた責任の所在をめぐるトラブルであり、水道料金の引き上げであった。
 また、同時に起きたのが、公の機関が技術面での監視や査定ができなくなったという問題。これは、会社が情報を開示しないことにより起きたもので、経営も不透明になり、年次報告書では7%の利益が上がっていると報告されていた一方、実際は15%から20%の利益が上がっていたという事態まで起きたという(TBSラジオ『荻上チキ Session-22』2018年2月19日放送回の水ジャーナリスト・橋本淳司氏による解説より)>(以上「LITERA」より引用)

 自公政権が今国会で成立を目指す水道事業民営化の「水道法改定案」こそ悪法中の悪法だ。それは上記LITERAの記事に詳しく書かれている。
 そもそも水道事業は国民の生命を守る重要な施策で、税金で確実に運営されるのが本筋だ。それをわざわざ民営化するのはなぜだろうか。民間事業者の方が安価で効率よく、安定的に給水事業が遂行できるとでもいうのだろうか。

 後進国の水道インフラがこれから、という国でもない。日本では主要都市や全国各地に水道事業は既に実施されている。水道事業は「独立採算制」が採用されているが、地方自治体が事業主体となることから「安定」的な事業運営がなされてきた。
 民営化することで何が良くなる、というのだろうか。上記記事の中でも民営化したことにより弊害が発生したケースばかりではないか。それも当然だろう、民間企業は利益を上げることが常に求められているからだ。

 生命の源の「水」を民営化する意図を安倍自公政権にしっかりと聞かなければならない。なぜ水道法改定案を今国会に提出したのか。
 安倍自公政権はまず、今年6月自治体に公営事業売却を促すPFI法改正案を成立させた。この法律改定によって、自治体が上下水道や空港などの運営権を民間企業に売却するコンセッション方式の導入が簡単になった。地方自治体の税により整備した「社会インフラ」を売却しやすくした法律改正を果たした理由として、安倍政権は10年間で21兆円の公営事業民営化収入と説明したが、それはマヤカシでしかない。PFI法の目的は「世界で最も安全で安い」といわれる日本の水道事業の民営化だ。

 水道事業の民営化の批判として次の三点があげられる。①水メジャーに代表される外国資本の参入、②営利目的による水道への悪影響、③不採算地域の水道事業停止だ。
 それらは杞憂に過ぎないと一笑に付す論評もあるが、それならなぜ唐突に水道事業のへの民間事業者の参入を簡易にしたのだろうか。確かに人口が著しく減少している町・村では水道事業の維持そのものが困難になっている地方自治体もある。しかし日本国民は憲法で保障された健康的で文化的な暮らしを営む権利があるはずだ。国は地方自治体に財政支援して水道事業の存続を守るべきだ。

 なんでも民営化すれば安価になる、というのは虚構だ。民営化とした図書館が法外に高い管理者費用を受け取っている実例は幾らでもある。たとえばツタヤ図書館だ。周南市の駅ビル図書館は年間に管理者費用として1億6千万円に達している。周南市の従前からある5館に支出する費用総額は2億円ほどでしかない。いかに高額な管理者費を民営化した図書館に支払っているかがお解りだろうか。
 水道事業に税を投入して水道料金を引き下げている地方自治体は民営化することにより地方自治体の負担はなくなるかもしれない。その代わり水道料金が高騰するのは目に見えている。そうした水道料金口頭の矢面に立ちたくない地方自治体の救世主かも知れないが、地域住民にとっては悪夢だ。水道使用を自粛する生活は衛生面で悪影響を及ぼしかねない。水道法改正に反対する。

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