許せない官僚たちの綱紀の緩み。
<中央省庁で障害者の雇用を水増しした問題で、弁護士らでつくる国の検証委員会(委員長・松井巌元福岡高検検事長)は22日、報告書を公表した。障害者手帳を確認しないなど国の指針に反する方法で算入していた職員は2017年6月時点で28機関の計3700人に上った。検証委は「安易な前例踏襲があった」として中央省庁のずさんな対応を批判した。
政府は22日、関係府省連絡会議を開き、「法定雇用率達成のため約4千人の雇用が必要」として障害者を対象とした専用試験を創設するなどの雇用促進策を示した。19年中の達成を目指す。
菅義偉官房長官は22日午前の記者会見で「検証結果を真摯に受け止める」と述べた。関係閣僚会議を23日に開き、障害者雇用の推進に向けた基本計画を定める方針。
政府が8月に公表した同時点の水増し数は33機関中27機関の計3460人だったが、各省庁が新たに障害者と確認した増加分などを差し引いていた。検証委が精査したところ、海上保安庁で新たに判明するなど水増しの実人数は28機関の3700人と特定した。
障害者手帳などを確認していないのは3426人で9割を超えた。
不適切に計上した理由については7割超が国の指針を参照していなかったほか、通達で障害者手帳などの確認を「原則として」としていたため「必ずしも確認する必要はない」などと判断した省庁もあった。退職者を計上していた省庁もあったが、すべての機関は「意図的ではない」と検証委に説明した。
開始時期については1997年ごろからとした4機関が最も長かったが、ほとんどは不明で、20年以上前から続いていた可能性もある。
障害別の内訳は、身体障害者が3390人(91.6%)と最も多く、精神障害者が308人、知的障害者が2人だった。
省庁別では国税庁が全体の約3割の1103人で最も不適切計上が多かった。次いで国土交通省(629人)、法務省(512人)の順。
障害の確認方法では、16年以前から障害者と判断した職員分について17年でもそのまま障害者とみなした「前例踏襲」が全体の6割弱の2129人に上った>(以上「日経新聞」より引用)
「国民は一流、官僚は二流、政治家は三流」とは日本についてかつて良くいわれていた言葉だ。「経済一流、政治は二流」ともいわれていたものだ。
しかし現在では国民評は別として、官僚も政治も三流に成り下がった。なにしろ国会答弁で平気で大嘘をついて恥じないのだから開いた口が塞がらない。
ただ官僚といっても特定の部署だけのことかと思っていたら、実はそうでもないというから驚きだ。障害者雇用は国会で決めたことで、その履行に関して官僚たちは「知らなかった」とはいえない立場だ。
しかし、ここでもお得意の「朝ご飯食べた? いや、ご飯は食べていない(実はパンを食べた)」理論が罷り通っていたようだ。障害者に視力の弱い人を含めていたとか、自己申告で障害がある、という人を障害者としていたとか、というから呆れたものも言えない。
しかも、そうした状態が20年も「前例踏襲」で続いていたというから官僚たちの緩みは相当深刻だ。なぜ「障害者手帳」を確認しなかったのだろうか。発覚した不正が最も多かったのが国税庁の1103人で全体の3割を占めていたという。
国民には納税義務を強制する官庁が、身内の不正には大甘だったというのも腹立たしい。許認可権限を握っている官庁は他の省庁よりも厳しく自らを律すべきだ。
障害者雇用の不正は会計検査で判明したというが、20年間も「前例踏襲」が見逃されていた会計検査院の歴代検査官たちの目は節穴だったということか。官僚たちの「監査」を官僚たちが行う「お手盛り」を日本政府はいつまで許すつもりなのだろうか。
お手盛りといえば「人事院勧告」もある。日本国民の何%が公務員給与が労働者平均給与を基準にしていると思っているだろうか。そんな国民の貧困化を嘲笑うかのような「人事院勧告」にはウンザリだ。それこそ春闘労使交渉の一環で公務員の「労使交渉」も行えば済む話だ。その場で他の「大企業」労働者賃金と肩を並べて「年報」や「ベア」や「一時金」を公表すれば良い。官僚たちの綱紀粛正には国民の秘儀しい監視の目こそが必要だ。