「なぜ若者は保守化したか」論 考。

 なぜ若者が保守化したか、という議論がある。だが、果たして若者は保守化したのだろうか。「保守化した」という根拠は安倍自公政権に対する支持率が若い層ほど高いからだという。
 何を言っているのか、と呆れ返る。安倍自公政権は「保守」ではないからだ。むしろ日本を徹底破壊している「革新」だ。

 その証拠は幾らでもある。まず終身雇用制度を徹底的に破壊して「高度経済成長」を実現した労使関係を破壊した。そして派遣業法を骨抜きにして、労働者を不安定な派遣労働へと追いやり、若者たちが安定的な自身の未来像を描き難くさせて少子化を固定化させた。
 国家の基幹産業たる食糧の安定供給として機能していた「農協」を弱体化させた。そして主要穀物種子法を廃止して、日本の自給率低下を促進している。

 グローバル化と称し自由貿易主義と称して、企業の国際分業を促進し、生産現場を6万社以上も中国へ移転させて地方経済を徹底破壊した。そして止めを刺すかのようにマイナス金利を日銀が実施して都市銀行のみならず地方の金融機関の経営体質を弱体化させて地方経済の経済の血液たる「貨幣流通のポンプ」としての機能を低下させた。
 他にもテレビなどの報道機関に手を突っ込む、という極めて「革新的」な手法を駆使して権力強化に専念している。これが伝統的な保守政党「自民党」の政権だろうか。まさしく全体主義国家へ日本を変貌させる「革新政党」ではないだろうか。

 その「革新」政党の政権を支持している若者たちが「保守的」だから、というのは的外れもいいとこだ。おしなべて若者たちはテレビを摘まみ食いしているから、テレビの表面的な報道姿勢に「波動周期同調」しているだけではないだろうか。
 若者たちの多くは本を読まない。新聞も取らない。固いテレビ番組も敬遠する。つまり情報番組のMCやコメンテータたちの井戸端会議に「波動周期同調」しているに過ぎない。

 日本のマスメディアはいまだに政治を「保守」対「革新」という色分けで理解しているようだ。あねいは「右翼」対「左翼」といった冷戦以前のカテゴリーで解説しようとしている。それは古色蒼然たる「観念論」でしかない。
 「ネトウヨ」とカタカナ表記しているのはネットに登場する「右翼」ではないからだ。それは「権力者安倍自公政権に丸乗りしている連中」の総称に過ぎない。「権力者安倍自公政権に丸乗りしている連中」を記号表記してネトウヨと書いているだけだ。

 現代日本のみならず欧米諸国は「グローバル化」対「国民の生活が第一」が対立軸となっている。それを理解できないマスメディアがいまだに「保守」対「革新」というカテゴリーで政治意識を包括的に表現しようとしている。それでは現実を正しく認識できないのではないだろうか。
 安倍自公政権は決して「保守」政権ではない。飛んでもない日本亡国の反日「革新」政権だ。安倍自公政権はグローバル化や自由貿易を標榜しつつ、日本を丸ごと米国の1%の餌食にしようとしている。ただ、マスメディアがそうした実態を何も伝えないから、若者たちの訓練不足の分析能力ではテレビMCやコメンテータたちの雑談に丸乗りして「波動周期同調」しているだけだ。それは同調であって、主体的な主動ではない。まさしく付和雷同で一夜にして覆るタチのものだ。

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