外人労働移民策は日本の未来に大きな禍根を残す。

自民党の木村義雄参院議員と、立憲民主党の長妻昭代表代行が19日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、外国人労働者の受け入れ拡大について議論した。
政府は出入国管理・難民認定法を改正して、新たな在留資格の創設を目指している。自民党の外国人労働者等特別委員長を務める木村氏は「現場は圧倒的な人手不足だ。しっかり実現させていきたい」と意欲を示した。長妻氏は「事実上の移民政策だ。どんどん(外国人が)入ってきて、後はほったらかしというのが一番困る」と述べた>(以上「読売新聞」より引用)


 英国がEU離脱を決めたのは移民・難民の大量流入が原因だった。EUはEU域内での「ヒト モノ カネ」の自由な往来を謳っている。その「ヒト モノ カネ」の自由な往来こそが現代のグローバル化の神髄だが、ヒトの自由な往来を妨げないEUの取り決めから英国は離脱することにした。
 EU域内、とりわけ東欧からの大量移民が英国に押し寄せてロンドンに棲みつき、ロンドン市街地住民の過半数が英語を話さない移民によって占拠され、治安が悪化するにしたがって英国人は益々ロンドン市街から郊外へと移住した。事実上、英国が移民の人たちに乗っ取られる、との危機感が英国をEUから離脱させた。

 米国は<中米ホンジュラスなどから、2000人以上の集団が米国への移住を目指して北上している。トランプ米大統領は18日、メキシコ政府に国境閉鎖をちらつかせ、集団の移動を止めるよう警告した>(<>内「読売新聞」より引用)という。移民の国・米国ですら英語を話さないヒスパニックの集団が米国内の各地で小社会を形成しているのに「米国社会」の秩序維持に危機感を覚えている。
 EUを強力に牽引してきたドイツのメルケル氏も政治的な危機を迎えている。ドイツを代表する工業都市バイエルン州議会選挙でメルケル氏の与党が大敗し、政治基盤が揺らいでいるからだ。その原因は同じく大量に流入したドイツ語を話さない移民・難民だ。米国に次ぐ第二の「移民大国」になったドイツに国民は「ノー」を突き付けている。

 日本は現在ですら英国を抜いて既に世界第三位の移民大国になっている。大量の留学生が卒業後も日本にとどまり、外国人移民化している。そこに技能研修と称する大量移民を受け入れているからだ。
 さらに安倍自公政権は「人手不足」を理由に50万人もの外国人労働移民を受け入れようとしている。一概に「外国人労働移民」というが問題なのはその多くが中国人だということだ。チャイナタウンは日本語を話す自立した中国人が形成した街だが、労働移民が日本の永住資格を取得すると本国から家族を呼び寄せて日本語を話さない小社会を各地に形成する。それが未来に大きな禍根を残すことになる。

 人手不足は経済成長の初期段階にみられる共通の現象であって、人手不足が経済成長を阻む要因ではない。安価な外国人労働移民を受け入れれば経済成長は阻まれる。なぜなら人手不足が「外国人労働移民」で充足されれば、企業は設備投資などにより労働生産性を高めようとしないで済むからだ。
 経済成長は「労働生産性の向上」によってもたらされる。一次産業革命が起きた英国では紡績が人力から蒸気機関で動かされることによって人力の生産能力から数十倍もの生産能力へと生産性が向上した。それにより一人当たり賃金も向上し、購買力が高まってGDPが拡大したのだ。

 安倍自公政権は二重の意味で日本経済の成長を妨げようとしている。一つは外国人労働移民の推進であり、残り一つは消費増税10%の導入だ。しかも最悪なのは「税制は誰にでも分かり易い」ものにすべきが、複雑怪奇なものにしようと躍起になっていることだ。
 日本のマスメディアは消費税を実施している欧州諸国しか取り上げないが、そもそも日本の戦後税制はGHQシャウプ勧告により抜本的な改革からスタートしている。つまり米国流の所得税を中心とした税制で、米国と同様に消費税を採用していなかった。現在でも米国は国税として消費税は採用していない。州税として州により実施している州もある。

 消費税は貧困層に厳しい税制だ。だから欧州諸国では食料品は原則として非課税になっている。消費税で最も高税率25%を科しているスウェーデンですら食料品は7%だ。ただし社会保障は手厚く教育費や医療費は無料になっている。
 日本は社会保障費の個人負担は増加し、給付される年金などはカットされているというりが現状だ。先の8%増税時に社会保障の充実を約束していたのではなかったか。

 取りやすいところから取る、というのでは税制体系が崩れてしまう。税は「富の再配分」機能も併せ持つことを忘れてはならない。格差が拡大し、貧困化している日本社会で消費税はむしろ減税か撤廃すべきだ。そして経済成長に全力を傾ける政策こそが日本にとって最も必要だ。経済成長なき税収増を図るとしたら、それだけ国民は貧困化し、それが巡り巡って日本のGDPを縮小させることになる。先の8%増税時に起きたGDPの対前年比減少を忘れたのだろうか。

 しかし安倍氏は欧州で各国首脳と会談して「ヒト モノ カネ」の自由な往来を約束し、周回遅れのグローバル化に突き進んでいる。それがいかに間違った政策か、自民党や公明党の国会議員諸氏は解らないのだろう。
 「ヒト モノ カネ」の自由な往来を約束すればドイツやイギリスの二の舞になるのは火を見るよりも明らかだ。日本のすぐ隣には「洗国政策」を取っている人口14億人の中国がある。日本などすぐに呑み込まれてしまうのは自明の理だ。「ヒト モノ カネ」の自由な往来を約束するグローバル化は亡国政治だ。日本の政治は日本国民のためにある。「国民の生活が第一」こそ、日本が取り戻すべき政治だ。

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