レームダック化した安倍自公政権。
<9月30日午後、東京都内で開かれた公明党大会。来賓として出席した安倍氏はあいさつで「私たちは5回連続、国政選挙で勝利することができました。その意味において、山口那津男代表は私にとって必勝のパートナーです。この勢いをかって来年の統一地方選挙、参院選挙も力を合わせていきたい」と力説すると、会場からは拍手が起こった。
だが、ちょうどそのころ、自民党幹部や首相周辺のもとには、投票が進む沖縄県知事選の出口調査結果が伝わっていた。出口調査とは、投票所の出口に報道機関の関係者が陣取り、投票を終えた有権者に「どちらに投票されましたか」と聞く調査。質問を受けた経験のある人も少なくないだろう。
報道各社の調査は、多少の誤差はあったが、いずれも20ポイントほどの差で、国政野党を中心にした「オール沖縄」が推す玉城デニー氏がリード。自民・公明両党らが支援する佐喜真淳候補の苦戦が伝えられていた。
投票の結果は玉城氏が39万6632票、佐喜真氏は31万6458票。出口調査の傾向とほぼ同じだった。玉城氏の得票は、沖縄県知事選では過去最多。メディアによっては投票が締め切られた午後8時に玉城氏の当確を打つところもあった。自公にとっては屈辱的な惨敗。
皮肉にも昼に「必勝のパートナー」を確認しあった日の夜、「必勝」シナリオが崩壊してしまったことになる。安倍氏は結果が判明した後、自民党幹部と電話で話し「残念だが仕方ない」とつぶやいた。
3選後の安倍氏は、あまりいいことがない。9月26日、ニューヨークで行われたトランプ大統領との首脳会談では、2国間で「日米物品貿易協定(TAG)」の通商交渉を始めることで合意。2国間交渉を回避することを最重視していた日本政府としては、米国に押し込まれた印象は否めない。
10月1日、日銀が発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)では、景況感は、3期連続して悪化した。
トランプ大統領との蜜月関係を謳歌し、アベノミクスの推進による順調な経済に支えられていた安倍政権の金看板が期せずして同時に崩れ始めている。
そしてもう1つ安倍政権にとって不安材料がある。公明党の動向だ。
安倍氏は残る任期3年の間に、悲願である憲法改正を実現させたい。そのために今月召集の臨時国会で、自民党の案を提出し、併せて公明党との与党協議を始めたいと考えている。ところが、この方針に山口氏が難色を示している。
山口氏は党大会の席上、地方組織代表の質問に答える形で「憲法改正に前向きな政党ではなくて、幅広い政党、あるいは政治家の合意を作り出す努力がまず必要だ」と語った。普通の法案なら、政府の方針を支えるために与党で合意形成するのは当然だが、憲法改正の場合、国会で発議した後に国民投票にかけられる。だから、与党だけで事前に議論するべきではないという理屈。要は、改憲問題では自公2党だけで議論するのは勘弁願いたい、という宣言なのだ。
「平和の党」を標榜する公明党は、安倍政権下では、特定秘密保護法、安保法制など、なかなか賛成しづらい政策課題についても自民党との協議に応じ、最終的には法成立に協力してきた。どれだけ踏み付けられても自民党にくっついていくという意味で「下駄の雪」とやゆされることもある。しかし、憲法改正論議だけは「下駄の雪にはならない」ということなのだ。与党協議に入れず、改憲論議の入り口でつまずくことになれば、安倍氏にとっては大きな痛手となる。
公明党大会では山口氏は代表続投となり、幹事長は井上義久氏から斉藤鉄夫氏に交代することになった。安倍氏と山口氏は、ケミストリーが合わない。これまで両党首の隙間を埋めて連絡調整役を担っていた老練な井上氏が幹事長から退くことも、与党関係を不透明にしている。
沖縄県知事選の敗北も両党関係に微妙な影響を与える。直ちに関係が大きく揺らぐことはないだろうが、来年の統一地方選、参院選に向け、中長期的には疑心暗鬼が生まれるきっかけになりかねない。
安倍1強の限界が見え、与党の一枚岩にもひびが見える。後に検証するとき「2018年秋」は、安倍政権がレイムダック(死に体)し始めた時という評価が下されるのかもしれない>(以上「PRESIDENT Online」より引用)
公明党は「平和と福祉の党」との旗印を上げていた。結党以来の旗印を自民党と連立を組むことによって自ら降ろしてしまった。福祉に関しては生活保護費を見直し、年金を「マクロスライド」と屁理屈を付けて引き下げ、医療費の老人個人負担まで引き上げようとしている。平和に関しても惨憺たるものだ。
「戦争法」で自衛隊は集団的自衛権、と称する米軍の盾として世界の戦場の何処へでも行くようになった。そして「共謀罪」は創価学会が戦前。戦中に弾圧された「治安維持法」以上の自由と人権無視の「治安維持」法だ。
そうした自民党と政権を一緒になって維持し、安倍政権の一翼を担ってきた公明党に「平和と福祉の党」と冠する国民は誰もいない。そして公明党が「平和憲法」と称してきた日本国憲法を公明党の主張する「加憲」ではなく「改憲」しようとする安倍氏に今後とも「下駄の雪」でノコノコと政権欲しさに付いて行くのか。
安倍氏は「自衛隊」と憲法に書き込まなければならない、そうしないと自衛隊員が哀れだ、と叫ぶが、警察も消防も海上保安庁も憲法に書かれていない。しかし、それで警察官や消防隊員や海上保安員たちが哀れで、何か不都合でもあるだろうか。
憲法を無視して「戦争法」を「解釈改憲」で強行した安倍氏は日本国憲法の名のもとに「無効内閣」として否定されるべき存在だ。憲法を解釈や閣議で勝手に変換してはならない、というのは世界の常識だ。
離婚する前に他の異性と懇ろな関係を結べば「不倫」として罰を受け社会的な批判を浴びる。本来なら安倍自公政権は憲法違反内閣として「無効」判定を受けて、存在を許されず退陣すべきだ。しかし、そうならないのは憲法違反の法制に対する「憲法適格審査」と違憲立法に対する罰則規定がないからだ。そして最高裁判所が憲法の番人として「会見」して憲法の番人としての意見を開陳すらしない体たらくだからだ。
憲法学者の9割以上が憲法違反を指摘しても、最高裁はピクリッとも動こうとはしなかった。日本の司法の府は完全に行政の府の下請け機関に成り下がっている。それも最高裁裁判官の任命権が内閣にあるからなのだろうか。現在15人の最高裁裁判官全員が安倍内閣によって任命されている。
安倍内閣によって任命されたから安倍政権に最高裁判所も忖度する、というのなら最高裁判所の裁判官は全員憲法のために腹を切って死んで頂きたい。彼らが忠誠を尽くすべきは「任命した内閣」ではなく「日本国憲法」だ。
日本の箍を外したのは間違いなく中曽根政権以来の「構造改革」だ。「構造改革」に悪乗りして安倍氏はついに官邸密室政治を完成させて「モリ カケ」疑惑で政治の私物化まで露になった。これほど醜悪な政権がかつてあっただろうか。
主要穀物種子法の廃止や混合医療の導入、上水道事業の民営化策謀など安倍自公政権の「グローバル化」による米国の1%への日本丸ごと投げ売り政治は明らかだ。これほどの悪行三昧を国民はいつまで放置するつもりだろうか。いい加減「野党連合」を結集させ、と国民の側から声が上がらないようでは、このまま日本は世界の後進国に転落する。それも遠い先のことではない。世界のGDPに占める日本のGDPの凋落ぶりを見れば明らかだ。安倍自公政権はまさしく亡国政権だ。