日米物品貿易協定(TAG)開始は安倍外交の完全破綻だ。

菅義偉官房長官は28日の閣議後の記者会見で、安倍晋三首相が26日午後(日本時間27日未明)のトランプ米大統領との会談で米国の防衛装備品を購入する意向を改めて伝えていたと明らかにした。首相はトランプ氏に「厳しい安全保障環境に対応するため、今後とも米国装備品を含め、高性能な装備品を導入することが日本の防衛力強化に重要だ」と述べたという。
トランプ氏は26日、首相と会談後の記者会見で「日本は長年嫌がっていたが、2国間の貿易交渉をやることになった」と強調。日本側に「米国は貿易赤字を抱えている。あなた方はもっと米国から購入しないといけない」と求めるとともに、巨額の防衛装備品の購入も話題になったと明らかにした。
日米首脳会談に関する日本側の説明には防衛装備品を巡る両首脳のやりとりは含まれず、両政府がまとめた共同声明にも入っていない。トランプ氏の発言をきっかけに、会談で貿易交渉の開始に加えて防衛装備品の購入も議題になっていたことが分かった。
トランプ氏は対日貿易赤字を縮小するため、かねて首相に米国製装備品の購入を増やすよう求めてきた。首相は今回だけでなく、4月の日米首脳会談でも同じ表現で購入増への意欲を示している>(以上「日経新聞」より引用)

 トランプ氏は信用できるのだろうか。米国で民主党から共和党に政権交代したと雖も、世界の枠組みや国際条約を勝手に破棄して世界秩序の破壊に向かっているように見える。
 同盟関係にある欧州各国や細心の注意を払うべきトルコに対しても、大統領に「お前は馬鹿か」と平気で口を極めて罵る。ドイツのメリケル氏にも「厭な女だ」と嫌悪感を示す。それと同列に北朝鮮の独裁者も「ちびのロケットマン」と揶揄していた。

 それでは日本の安倍氏は何と呼ばれているのだろうか。決して日本のマスメディアは報じないが「忠犬アベ」と呼んでいてもおかしくない。
 トランプ氏の名はtrump(「切り札」という意味)でカードゲームのトランプと同じ綴りだ。その語源は勝利を表すtriumphに由来しているという。トランプ大統領の生き様は名の示す通り「切り札」を切り続けて来た人生だったのだろう。その成功体解から米国の最高権力者・大統領に就任して、彼は米国が持てる国力を背景に大統領としての最大の「切り札」を切っている。

 だが「切り札」は一度切ればそれで終わりだ。それ以上のものはない。だからトランプ氏は「切り札」が効いたとみれば態度を豹変させる。それはDVヒモ男が女を食い物にする手口に酷似している。
 トランプ氏は日本に対しても「貿易赤字解消」という切り札を切った。しかしトランプ氏が求めている日米二国間貿易交渉で農産品の「自由貿易」を認めれば、現在対米輸出自動車関税2.5%も撤廃することになる。農産品に対する自由貿易化は日本の食糧安全保障には深刻な影響を与えるが、農産品の取引総額は自動車関連の1/10もない。1/20程度の自由化を求めて、米国の自動車産業を徹底破壊する威力を有する日本の自動車取引を完全自由化するとは決して思えない。

 トランプ氏は信用ならないと最初に書いたのはそこにある。彼は自国のマスメディアをフェイク・ニュースだ、と散々批判している。しかしトランプ氏本人がフェイクの塊だといっても良いだろう。その根拠は大統領選へのロシア介入疑惑、モデルとの不適切な関係もみ消し疑惑、等々胡散臭い悪臭芬々たる疑惑まみれにある。
 しかもトランプ氏は歴代大統領がウォールストリートに巣食っている米国の1%の庇護の下に大統領選を勝ち抜き、米国の1%のエグゼクティブたちのコントロール下にあったのと決定的に異なる。だからトランプ氏は歴代大統領よりも国民の支持を頼りにする必要がある。その国民の支持を取り付けるためのショーをトランプ氏は日本叩きで演じ、対中貿易戦争で年老いた保安官がハイ・ヌーンで悪党たちと決闘を演じている。ただ決闘はかなり本気で、中国がこのまま経済成長を維持すれば米国を正面から圧倒する国力を保有することになる、という危機感が米国民にはある。

 世界の秩序が変わるかもしれない、という危機感が米国にはある。それは米国の政治家もだが、最も危機感を覚えているのは国際基軸通貨ドルを背景に世界を金融で支配してきた米国の1%たちに最も強い。トランプ氏は米国の1%たちに「自分はウォールストリートのエグゼクティブの味方だ」とシグナルを送るために対中貿易戦争を始めた。
 共和党は歴史的に軍産共同体に近い。だからトランプ氏は「強う米穀」の復活を公約し、軍艦10隻の建造を謳っていた。安倍氏が装備品を爆買いすると約束すると大喜びだ。

 ただ安倍外交はここでも敗北した。安倍氏はTPPに米国が回帰することを要請していた。しかしトランプ氏は前任者のオバマ氏が取り決めたTPPのテーブルをひっくり返して、日米FTA二国間協議を迫っていた。安倍氏は日米貿易協議に乗ることで日米二国間協定FTAに舵を切った。
 トランプ氏は「団体競技」が苦手のようだ。それは閣僚の任命と罷免でも明らかだ。彼は対人関係でも相手を個別に撃破してきたのだろう。それならトランプ氏と有利に交渉を進めるには「個別」交渉ではなく、「団体」交渉をすべきだ。

 安倍氏の外交の破綻は「地球儀外交」と称しつつ、実は任期の六年間に米国を除く自由主義圏の国々と強い関係を構築して来なかったことだ。なぜ欧州諸国と同一歩調をとって自動車関税の大幅引き上げなどに対抗する戦略を取らなかったのだろうか。
 安倍氏は自由貿易をかねてより主張してきたが、トランプ氏の強烈な「自国第一主義」の保護貿易になぜ一切対峙しないで妥協を図ったのだろうか。物品貿易協定(TAG)開始で安倍外交は完全に破綻した。この事を以てしても、安倍氏は責任を取って退陣すべきだ。

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