安倍氏の詭弁を見抜く慧眼を持とう。
<自民党総裁選の立候補者による日本記者クラブ主催の討論会が14日午前、開かれた。安倍晋三首相(63)はこれまでの政権の経済政策の成果を挙げ、「地方税収は過去最高の40兆円を超え、地方経済が良くなっているのは間違いない」などと強調した。これに対し、石破茂元幹事長(61)は「大企業がどんなにもうかろうが、地方の農林水産業や中小企業に波及するわけではない」とアベノミクス批判を展開した。
やっと論戦が始まったと思ったら、この程度の議論で国民を誤魔化すのか、というのが実感だ。アベノミクスを国会で「総括」していないし、安倍氏も「良くなった」と強弁するだけで「良くなった」との根拠が根拠たり得ない「株価」と「失業率」に加えて「税収」とは驚くばかりだ。
企業収益が良いのは内部留保が最大化していることから明らかだ。アベノミクスの大前提は竹中平蔵氏が得々として語っていた「トリクルダウン」が機能して格差拡大ではなく富が隅々まで行き渡る、というストーリーではなかっただろうか。
地方税収が40兆円を超えて過去最大に良くなっていると安倍氏は胸を張ったが、地方で暮らす者にそうした実感はない。相変わらず若者は大都会へ出ていくし、地方はまるで姥捨て山の景観を呈している。
地方の経済力が低下しているのは地銀が収益を上げていないことから明白だ。貸出をしようにも貸出先が見つからないのが地銀の現実だ。だから日銀のマイナス金利策が地銀を直撃してスガル銀行などの醜態を招いているのだ。
安倍氏の議論は用心しないといけない。なぜなら自分に都合の良い数字だけを持ち出して「木を見て森を見ない」ようにするからだ。安倍氏にそのような意図がないとしても、安倍氏の意見を無批判に垂れ流すマスメディアが国民を誘導して来たのは事実だ。
猫も杓子も「株高」が経済好調とイコールであるかのような誤解を敢えて与えてきた。しかし株価は日々の取引・売買で決まるもので、日本の株取引の70%は「外国人投機家」だ、という現実をマスメディアは正しく伝えていない。つまり企業収益の改善を見越しての株取引ではなく、為替差益の「利食い」を見越しての株売買に特化している歪な現実を国民に正しく伝えていない。
そして国鉄民営化と分社化により、地方で鉄路が相次いで「不採算」という経済原理で廃線になり、鉄道インフラが失われたことにより地方がますます衰退している現実を大都会の人たちは殆ど何も知らない。分社化すれば天下り先のポストは増えるだろうが、儲かるのはJR東海とJR西日本だけだ、というのは最初から分かり切っていたではないか。
赤字塗れになる、と予想されたJR北海道とJR四国とJR九州は分社化により赤字路線の廃線が相次いだ。それにより地方の交通社会インフラが失われ、地方の衰退を招いているのは国鉄を民営化した中曽根・自民党政治だという真摯な反省もなく、さらに小泉竹中・郵政民営化を「構造改革」で推進し安倍・農協中央会解体などにより日本のカタチを徹底して壊している。その壊した皺は地方に寄せられて、それぞれの地方を衰退化させている。
消費増税というデフレ政策により、日本のGDPは世界の中で相対的に縮小し、かつて世界GDPの17%を占めていた存在が今では4.7%にまで転落していることを御存知ないのだろうか。その反対に中国が世界のGDPの15%も占めるに到っている。
軍事・国防予算もそれぞれの国のGDPにより拡大することを考えれば中国が軍事力で日本を圧倒する日もそれほど遠い先でないことは明らかだ。経済成長は日本の安全保障からも最優先課題だ。財政規律などといった国内向きに政治まで収縮してはならない。
アベノミクスがなぜ失敗したのか。それは安倍政権が「緊縮財政」「規制緩和」「自由貿易」といったグローバル化(安倍自公政権では「構造改革」と称している)路線が日本経済を収縮させ、デフレ化から脱却する足を引っ張っている。
さらにIR法でカジノを全国各地に何ヶ所か設けるようだが、そのIR法に外資規制は掛かっていない。つまりトランプ氏の最大のスポンサー・ラスベガスのカジノ王が手薬煉引いて日本のカジノに資本進出しようと狙っている。日本国民をギャンブル狂いに誘い、日本国民のカネを米国資本が巻き上げる構図だ。それが安倍氏の経済成長策だというから笑うしかない。
外国人労働者移民50万人も安倍氏の悪政の最たるものだ。北方領土共同開発3000億円もプーチン氏に好いとこ取りされただけで「無条件に平和条約を結ぼう」と舐められただけだ。今度は「一帯一路」やAIIB構想で躓いた中国が「日中首脳会談」をしようと持ち掛けて来ればホイホイと乗ってしまう馬鹿さ加減。安倍氏にはホトホトうんざりだ。
日本の国益をこれほど棄損した総理大臣がかつていただろうか。中曽根氏や小泉・竹中氏たちが日本のカタチを変えて日本を衰退化させているのは明らかだが、安倍氏も「構造改革」に乗って農協解体などの食糧安保という日本のカタチのみならず、日本社会そのものを欧州諸国のように移民によって壊そうとしている。これほどの亡国政権がかつて日本にあっただろうか。
国民も現実をよくよく見ることだ。自民党政権が日本を衰退化させ、日本のカタチを破壊している現実を。日本が世界の先進国でいられるのもあと数年のことだ。このままGDPが相対的に世界の中で縮小すれば、数年と経たずして極めて普通の後進国並みになってしまう。
そうした危機感もなく、明確な根拠もなく安倍自公政権を支持している国民は自らの首を絞めていることに気付くべきだ。日本の国防の役に立ちもしないポンコツ兵器を爆買いするよりも、災害大国日本の国土強靭化こそ急ぐべきではないか。
首相は地方創生政策や格差対策が効果を上げたと説明し、「日本の国造りに挑戦し、国難とも呼ぶべき少子高齢化に立ち向かう」と訴えた。石破氏は「東京や大企業の成長の果実が地方へ波及する、という考え方は取らない」と反論。中小企業の後継者難などの問題も指摘した。
憲法改正を巡り、首相は「戦後70年、一度も行えなかった改憲に挑戦する」と述べ、9条1項、2項を維持しつつ「自衛隊」を明記する案の実現に改めて意欲を示した。石破氏は自身の主張する9条2項削除論を念頭に、「(今の憲法解釈が)自衛隊は必要最小限度だから戦力ではないというのは国民の理解を妨げる」と語った>(以上「毎日新聞」より引用)