見識を欠く大阪府知事。
<日本維新の会の松井一郎代表(大阪府知事)は7日午後、同日告示された自民党総裁選について、安倍晋三首相(党総裁)が石破茂元幹事長を引き離している情勢を念頭に「もう消化試合の状況になっている」と評した。那覇市で記者団に語った。
「台風や地震が発生しているときだから、結果が見えているなら前倒ししてでも早く決めて選挙は終わらせたほうがいい」とも述べた>(以上「産経新聞」より引用)
選挙の常識からいえば松井一郎氏の言う通りだろう。告示の日には既に選挙は終わっている、というのが通り相場だからだ。
しかし、それでは民主主義は形骸化する。あくまでも自立した個々人が候補者の政策や公約を聞いて投票するのが選挙だからだ。告示前に選挙は実質的に終わっていて、選挙期間は「お祭り騒ぎだ」というのは選挙民を余りにバカにしてはいないだろうか。
松井一郎氏は選挙により府議や府知事になった。その時の実感から不用意に「選挙の実態」をしゃべったのだろう。しかし、それは事前運動を是認する「公職選挙法に違反する」行為でしかない。
総裁選も公職選挙法と同様に、マスメディア報道では事前運動の段階で圧倒的大差で雌雄は決しているようだ。なんだか国民を馬鹿にしてはいないだろうか。
もちろん総裁選挙は公職選挙法に既定された選挙ではない。買収や事前運動を派手に展開しても法的に咎められるものではない。しかし常識に照らして、票の囲い込みに大臣の椅子などをチラつかせるのは上策とはいえない。
上策とはいえない総裁選の告示日に「台風や地震が発生しているときだから、結果が見えているなら前倒ししてでも早く決めて選挙は終わらせたほうがいい」とも述べたのは府知事の見識として頂けない。極めて常識を欠く発言だといわざるを得ない。