正念場を迎えた習体制。

中国広東省深圳で起きた溶接機械工場の労働争議をめぐり、従業員側の支援に駆けつけた学生ら50人余りが24日、地元警察に拘束された。従業員の支援団体が明らかにした。数千人の学生らが労働者への連帯を表明するという異例の動きに、当局は神経をとがらせ封じ込めに踏み切った。

 労働争議が起きている工場は、溶接作業に使う機械などを製造する中国資本のメーカー。7月以降、工場の前で従業員側が抗議活動を続け、会社側との対立が深まっていた。

 従業員側の支援グループによると、争議のきっかけは長時間労働や従業員への罰金制度など、不当な待遇に対する改善要求だった。従業員たちは労働組合の設立も求めたが認められず、7月下旬には抗議に加わっていた従業員が何者かから暴行を受けたうえ、約30人が警察に騒動挑発の疑いで拘束されたという。

 争議への支援をネットで呼びかけた女性で、現場に集まった支援グループのリーダー役だった沈夢雨さん(26)も8月11日、何者かに連行されて連絡がとれなくなった。そして24日朝、警察は沈さんらの呼びかけに応じて工場近くに集まっていた北京大や中国人民大、南京大の学生ら約50人を一斉に拘束したという。

 中国で労働争議は珍しくない。だが、今回は広東省の名門・中山大の大学院を卒業後、労働者の権利保護の先頭に立とうと工場労働者になった異色の経歴を持つ沈さんらの抗議が注目を集め、各地の学生が反応した。これまで北京大など全国16大学の学生らが実名でネット上に支援声明を発表。数千人が署名した。

 署名呼びかけの中心になったのは、北京大で学内のセクハラ事件の情報公開を求め一時軟禁されるなどした経験を持ち、今年卒業したばかりの女性だった。声明は「労働者階級万歳!」といった毛沢東時代を連想させるスローガンも使いながら、労働者の権利を守る活動は自分たちの未来にもつながっていると訴えた>(以上「朝日新聞」より引用)


 社会主義国家は「失業」がないのが大原則だ。計画経済で人民すべてに職を与え、等しく富を分かち合う、というのが社会主義国家の姿だ。
 しかし中国は現在失業者が2億人以上もいるといわれている。「いわれている」というのは農民戸籍の人民が中国の統計では労働者人口に含まれていないからだ。

 大学の卒業生で4割は職にありつけないという。だから大学生にも中央政府に対する反発や不満が高まっているか、これまで学生が労働者に呼応して労働争議に加わることはなかった。
 全国で年間10万件以上も暴動(参加者15人以上の争議を暴動という)が起きているといわれていたが、それらは単に賃金不払いに対する抗議や工場閉鎖に対する補償金の支払い要求というそれぞれの暴動が個別的だった。

 だが今回の争議が「特別」なのは「長時間労働や従業員への罰金制度など、不当な待遇に対する改善要求」だということですべての労働者に共通する案件だ。それに学生が加わり「理論闘争」の面が加わると「暴動」は「革命」に変貌しかねない。
 革命は政府転覆を目指す。中共政府が学生指導者の身柄を確保したのはそうした危機感からだろう。しかし一度火が付いた「理論闘争」はネットを通して燎原の火のように全土に燃え広がるだろう。紙に檄文を刷ってばら撒いていた往時の革命とは拡散の速度は全く異なる。

 習体制は八月上旬の河載会議を盤石ではないものの、なんとか「乗り切った」といわれている。しかし中国共産党内に習近平氏に対する批判や不満は燻り続けて渦巻いているようだ。
 米中貿易戦争で中国経済が締め付けられ、企業の操業度が落ちて失業者が今にも増して街に溢れるようになると「革命」は避けられなくなるだろう。

 習近平氏はトランプ氏に米中戦争の終息を求めて妥協案を提示するだろう。しかしトランプ氏だけならまだしも米国議会は「一帯一路」と称して中国から欧州へかけて中国軍事基地の設置を目論んでいた中国流のグローバル化・覇権主義戦略を決して許さないだろう。
 経済が拡大して生活水準が上がれば中国も「自由化」する、と対中楽観主義だった米国世論は一変している。米国を脅かす覇権国家に駆け上がろうとした中国を米国は決して許さないし、安易な妥協はしないだろう。

 習体制は中国共産党の反・習近平派を抑え込んだものの、人民の離反と反発を抑え込むのは困難だ。全土の「革命」へのうねりを抑え込むには人民解放軍の協力が必要だが、軍部は兵員30万人削減と7軍区から5軍区への削減・併合に対する不満も鬱積している。
 外交でもアジア各国で着手していた「一帯一路」事業もその殆どが頓挫しているし、中央アジアの旧ソ連の周辺部を形成していた「~~スタン」諸国にまで触手を伸ばした中国をロシアは決して支援しないだろう。中国は勝手に墓穴を掘ってその穴に落ち込んだ。
 いよいよ習体制は正念場に差し掛かったようだ。

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