「ヒト モノ カネ」の自由な往来は米国の1%だけが潤う戦略だ。

北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを巡る米国とメキシコの2国間協議が27日、大筋で妥結した。自動車関税ゼロを維持する条件として現地での部品調達比率を引き上げるほか、米国製部品の購入拡大を事実上義務付ける条項を新設する。カナダを含む3カ国で最終合意できるかが焦点となるが、米国市場への輸出にNAFTAを活用してきた日本の完成車メーカーは戦略の見直しを迫られそうだ>(以上「日軽新聞」より引用)


 つまり米国はメキシコが米国へ輸出している製造業を米国内へ移転して、米国内で製造するのなら文句は言わない、関税ゼロを維持する、というのだ。それでNAFT体制を維持するとしているようだ。
 NAFTやTPPは何も関税ゼロだけが目的ではない。「ヒト モノ カネ」の国境を越えた自由な往来を目指すものだ。しかし米国はメキシコ国境を閉ざし、不法移民した人たちを強制的に国外退去させる、という。

 米国が世界へ広げて来た新・国際基準「ヒト モノ カネ」の自由な往来を約束するグローバル化からトランプ氏が舵を切って、米国は米国一国主義に転じたかのようだ。自国労働者を「失業の輸入」から守るためにはグローバル化路線を転換せざるを得ないところまで米国は追い詰められていた。
 だが米中貿易戦争にみられるような高関税を課して輸入を制限する手法は、たとえば中国側からすれば「元」の切り下げで易々と乗り切れる。ただ「元」を切り下げれば反作用として中国への輸入品がそれだけ高騰することになり、ただてさえインフレに悩む中国民にとっては痛手だ。

 国家とは何か、考えざるを得ない。貿易収支が赤字続きなら国際通貨基軸国でない限り自国通貨は価値を失い続けることになる。基軸通貨国なら事情は異なるが、国民は国家の貿易収支の赤字のトバッチリを受けて消費者物価に高騰という皺寄せを受けることになる。
 貿易収支が赤字でも国際基軸通貨発行国なら問題はない。ただ為替相場が変動するだけだ。米国の1%はそうした通貨原理から貿易収支で赤字を垂れ流そうがグローバル化路線を変更するつもりはなかった。ただトランプ氏が「ラストベルト」の白人たちの雇用を問題視して話が変わった。

 国際金融で潤沢な投機資金を自由自在に動かして世界各国から富を奪い取る戦略を立てていた米国の1%たちはトランプ氏の登場で目算が狂った。上述したようにグローバル化は関税ゼロだけが目的ではない。「ヒト モノ カネ」の自由な往来こそが主眼点だ。
 トランプ氏は米国の1%の虎の尾を踏まないように「ヒト モノ カネ」の自由な往来を壊さないで、NAFTを維持しつつ国内雇用の改善を図るべく腐心している。そこにはシタタカな商売人の手腕を見るようだ。安倍氏にトランプ氏の知恵の百分の一でもあれば良いが。

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