平成で最悪の豪雨災害も政治の結果だ。
<西日本を中心とする豪雨被害を受け、安倍晋三首相の欧州・中東訪問が中止になった。首相官邸は最後まで実現を模索したが、大きな被害が出るなか初日の対応を疑問視する声も出た。「(外遊に)大きな案件はない。災害対応に万全を期すべきだ」(野党幹部)と高まる批判を懸念した。
安倍氏は11日から出発してEUとのEPA(経済連携協定)の署名式やフランスでの日本文化紹介イベントへの出席や中東のサウジアラビアとエジプトへの世界漫遊を取りやめたという。当然といえば当然だ。平成に入って最悪の豪雨災害に見舞われているというのに、「自民党亭」で自民党国会議員と酒酌み交わしていた張本人だ。
国政の要というべき官邸の信頼度の回復を放棄したまま、三百代言を弄して国会を軽視し続けて、そうして政治全般への不信を国民に広めて「安倍しかいない」という馬鹿な評価をマスメディアが浸透させてマンマと支持率を上げる、という構図だ。そして少しでも空白があると政府専用機に乗って世界を漫遊して「デキル奴」をマスメディアに演出していた。
しかし現実は政治により国民も国土も疲弊させられている。豪雨災害で130人が亡くなり62人が行方不明のままだ。被災家屋は統計数字すらいまだにないほどだ。
これが先進国だろうか。ここ数日何度も書いてきたが、地域住民の身の回りの社会インフラの整備・維持を怠っていた結果が今回の災害だ。整備すべき社会インフラとは何年も前から提唱されてきた混合植栽を実施して山の保水力を高めることなどだ。そうした対策のために環境税や都道府県によっては「森林税」などを設けている。だが、そうした予算は何に使われてきたのだろうか。
安倍氏は世界漫遊の行く先々で気前よく札びらを切って歓待されていたが、結果として日本国民はいかほどの国益を享受したというのだろうか。彼が二次政権成立時に大見得を切った「拉致被害者は私の政権でケリをつける」公約はどうなったのか。
安倍氏の政治は国民から消費税で搾り取って法人税を減税し、日本国民を貧困化させて日本の労働市場をグローバル化することだった。「働き方改革」と称しているが何でもない、労働者を米国並みに労働工数化することだ。
自民党政権としてもこんな最低の安倍自公政権を支える自公国会議員とは何だろうか。その自公国会議員を支持して逃避をょうする日本国民とは一体何だろうか。
国土強靭化を掛け声だけにした安倍自公政権の結果が今回の豪雨災害だ。古来から「治山・治水」が政治の要だ。しかし安倍自公政権はその要を忘却して、世界漫遊記にかまけてきた。
何も大型の公共事業をやれ、というのではない。地域住民の暮らしの身の回りにある涸沢に砂防堰堤を構築し、小川程度の流れをキチンと整備することだ。一級河川は浚渫工事を行い、流水断面積の拡大と堰堤の老朽化対策を怠らないことだ。
そうした防災のイロハを実施していれば今回の豪雨災害の何割かは防げていた。国土強靭化策を反故にした張本人を政治は明らかにすべきだ。そして被災住民も沈黙していてはならない。行政責任や政治責任を厳しく問うべきだ。そうしないと口先だけで殊勝な発言をして、テレビカメラのないところでペロリと舌を出して世界漫遊へ出掛けかねない。
首相は11日に日本を出発し、ベルギーで欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の署名式、フランスで日本文化を紹介するイベントの開会式などに出席する予定だった。その後、サウジアラビア、エジプトを18日まで歴訪。サウジでは、将来のエネルギーの安定確保を目的に関係強化を進めるはずだった。
菅義偉官房長官は9日午後の記者会見で「災害対応に万全を期すため」と述べ、首相の外遊の取りやめを発表した。EPA署名式については、安倍首相が9日夕にユンケル欧州委員長と電話で協議し、17日に東京で開催する方向になった。
計画された首相の外遊が全面的に中止になるのは異例だ。安倍首相は、昨年7月の九州北部の豪雨災害や13年1月のアルジェリア人質事件の発生で、外遊を途中で切り上げたことがある。自民党幹部によれば今回も欧州のみに短縮する案などが検討されたが、最終的に中止に踏み切った>(以上「朝日新聞」より引用)