北朝鮮のXデーを煽った者たち。

トランプ米大統領は1日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談を当初予定通り6月12日に開催すると表明した。トランプ氏は北朝鮮の非核化について「時間をかけても構わない。速くやることも、ゆっくりやることもできる」と北朝鮮側に伝えたとも述べた。首脳会談の実現を優先するために、非核化の「即時達成」を追求してきた方針を転換したともいえる。
     トランプ氏は1日、金委員長の最側近、金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長とホワイトハウスで面会し、金委員長からの親書を受け取った。会談後、記者団に対し、北朝鮮側の「非核化の意思」を繰り返し強調しつつ、「彼らは用心深く、急いでやろうとはしていない」と、「段階的な非核化」を主張してきた北朝鮮側の立場に理解を示した。また、「1回の会談ですべてが成し遂げられるとは思わない」とも発言し、複数回の首脳会談を含む折衝の積み重ねが必要になるとも語った>(以上「毎日新聞」より引用)

     いよいよ6月12日の米朝首脳会談は確実になったようだ。会談場所はマレーシアのホテルのようだが、セキュリティからか具体的なホテル名までは明らかになっていない。
     しかし、いずれにせよ朝鮮半島での戦闘は回避され平和裡に南北対話が出来るのは喜ばしい。もちろん日本に対する北朝鮮の脅威も格段に低くなるし、極東の安定化に資することは間違いない。

     だが忘れてならないのはマスメディアやネットを通して朝鮮半島のXデーを何度も煽り立てたバカたちがいたことだ。彼らの多くは未だにマスメディアやネットに登場してシタリ顔で朝鮮半島の情勢などを論評している。
     彼らは本気でXデーあることを予測していたのだろうか。それとも安倍自公政権の応援団として、北朝鮮の脅威を煽って政権への求心力を高めようとしていたのだろうか。

     前者なら彼らの評論家としての眼力は節穴同然だということになる。後者だとしたら彼らはジャーナリストとして恥ずべきだ。政権のポチになり果てたジャーナリストは誰も信用しない。
     しかも問題なのはポンコツ評論をしていた軍事専門家(自称)は同時に国会議員でもあることだ。国会議員の使命は国民の生命財産の保全にある。朝鮮半島にXデーの軍事異変が実際に起きたなら、日本の被害も笑って済ませる段階ではないし、北朝鮮体制が崩壊したなら万人単位の難民が押し寄せて来ただろう。そうした事態を回避すべく懸命に働くのが国会議員の使命ではないか。

     北朝鮮へ制裁一本鎗の安倍氏も酷いものだった。もちろん核開発を進める北朝鮮に理解を示せといわないが、制裁を叫びつつ北朝鮮当局と対話のチャンネル作りを進めるのが外交というものではないか。
     米朝会談が確実になると蚊帳の外状態に慌てふためいて中国やロシアや米国に接触して「ボクちゃんも忘れないで」と触れ回る不甲斐なさだ。その挙句、トランプ氏に「北朝鮮との話し合いはするが、北朝鮮への経済支援は韓国と日本が負担する」といわれる始末だ。

     断っておくが、日本は北朝鮮に経済支援しなければならない謂れは何もない。先の大戦までの損害賠償は韓国との賠償で「朝鮮半島全体」の賠償を終えている。
     拉致被害者の奪還で小泉氏が平壌で締結した約束があるといわれるが、拉致したのは北朝鮮で日本は主権を侵害され国民を拉致された被害者だ。むしろ拉致問題で国家侵害と人権侵害に対する賠償を頂戴するのは日本の方だ。

     朝鮮半島Xデーや北朝鮮電撃攻撃などと勇ましく論評していた評論家たちはトランプ氏の北朝鮮への支払いを日本へツケ回す発言に沈黙しているのは解せない。それとも彼らも米国のポチだからトランプ氏の言いつけには尻尾を振るだけなのだろうか。
     軍事評論家として朝鮮半島の見通しを誤り、国会議員として国家と国民の危機を煽り立てた不見識に頬かむりするのは許し難い。そして彼らを登場させて北朝鮮の危機を政権の要請通りに煽ったマスメディアは知らぬ半兵衛を決め込んでいるが、それでマスメディアの使命というよりも存在意義そのものが満たせているとでも思っているのだろうか。

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