トランプ氏の米国は何処を目指しているのだろうか。

<ニュースサイト「アクシオス(Axios)」は複数の情報筋の話として、トランプ氏が側近らに対し繰り返し、WTOを脱退したい意向を伝えていたと報道していた。

 だがトランプ氏は大統領専用機エアフォースワン(Air Force One)の機内で記者団に対し「脱退については話していない」と述べた。

 米国の協力により創設されたWTOはこれまで、米国が提訴した事案について同国を支持する判断を頻繁に下してきた。だがトランプ氏は貿易関連規定に対する不満をあらわにし、WTOを「惨たんたるもの」と批判してきた>(以上「時事通信」より引用)


 <WTOとは1930年代の不況後,世界経済のブロック化が進み各国が保護主義的貿易政策を設けたことが,第二次世界大戦の一因となったという反省から,1947年にガット(関税及び貿易に関する一般協定)が作成され,ガット体制が1948年に発足しました(日本は1955年に加入)。貿易における無差別原則(最恵国待遇,内国民待遇)等の基本的ルールを規定したガットは,多角的貿易体制の基礎を築き,貿易の自由化の促進を通じて日本経済を含む世界経済の成長に貢献してきました。
 ガットは国際機関ではなく,暫定的な組織として運営されてきました。しかし,1986年に開始されたウルグアイ・ラウンド交渉において,貿易ルールの大幅な拡充が行われるとともに,これらを運営するため,より強固な基盤をもつ国際機関を設立する必要性が強く認識されるようになり,1994年のウルグアイ・ラウンド交渉の妥結の際にWTOの設立が合意されました(以上外務省ホームぺージより引用)>
 そしてWTOの任務は(1)WTO設立協定及び多角的貿易協定の実施・運用等,(2)多角的貿易関係に関する交渉の場及びその実施の枠組みの提供,(3)紛争解決了解の運用,(4)貿易政策検討制度の運用,(5)IMF,世界銀行及びその関連機関との協力、などが挙げられる。
 いわば米国が中心となって構築した自由貿易圏のルールを自ら放棄しようとするトランプ氏の試みは側近たちによって阻止された、という時事通信の記事に驚く。トランプ大統領は米国をどうしようとしているのだろうか。
 自由主義諸国の盟主を自ら降りて、世界で気儘に振舞うつもりなのだろうか。ブロック経済圏による対立により先の大戦が勃発した反省に立ち、自由な貿易のルール作りに米国が旗振り役を果たして作ったWTO体制から離脱して何をしようとしていたのだろうか。

 世界各国は一国だけで成り立っているのではない。他の国々と協調して共存している。共存関係を対等な協調関係に保つためには様々なルールが必要だ。そうした考えの上に成立したのがWTOだ。
 日本が一昨日可決したTPPは一種のブロック経済圏の構築であり、WTO体制に背くものだ。WTOは各国の関税自主権を是認した上で、協調関係を維持する仕組みだ。
 グローバリストたちが推進する関税なき「ヒト モノ カネ」の自由な往来を実現する新自由貿易体制は新たな経済(投機)植民地主義を世界に蔓延させるだけだ。それは格差拡大と、圧倒的多数の貧困化を招くだけだ。

 トランプ氏の政策は支離滅裂だ。彼は一体何を目指しているのか皆目分からない。TPPに反対するもののFTAは推進しようとしている。それかといって関税自主権を手放そうというのでもなさそうだ。
 戦略なき場当たり的な外交戦略で米国は世界の孤児を目指しているようだ。それもジャイアンのような嫌われ者の孤児だ。
 トランプ氏の米国とは距離を置く方が賢明だろう。彼の任期の残り二年半が経過するまで、日本政府は米国に深入りしないことだ。そして次の常識的な大統領が出現するのを待つしかない。

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