日本の民主主義は歪められている。

新潟県の米山隆一前知事の辞職に伴う同県知事選は10日投開票され、自民、公明両党が支持する前海上保安庁次長、花角英世氏(60)が、立憲民主、国民民主、共産、自由、社民の野党5党と衆院会派「無所属の会」推薦の元県議、池田千賀子氏(57)ら2氏を破り、初当選した。森友、加計学園問題などで政府・与党に逆風が吹くなか、事実上の与野党対決で、野党共闘が成果を上げられず、与党側が制したことは、今後の政治情勢に影響を与えそうだ。投票率は58.25%(前回53.05%)。
 米山氏の女性問題をきっかけにした選挙戦で、前回に続き、県内にある東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題などを争点に、与野党の支援を受けた両氏がしのぎを削った。新潟では2016年の参院選、知事選に続き、17年の衆院選小選挙区でも野党が4勝2敗で勝ち越しており、久しぶりの与党系勝利となる。

 同県副知事の経験もある花角氏は「私も原発は不安だ」として、再稼働に慎重だった米山氏の路線継承を表明。今後2~3年かけて県が独自に原発の安全性を検証するまで、再稼働の議論に応じないとし、脱原発を旗印にする池田氏陣営をけん制してみせた。

 そのうえで元国土交通官僚としての豊富な行政経験を生かして観光振興や交通インフラ整備などに取り組み、人口減に歯止めをかけると主張してきた。

 選挙戦では「県民党」を掲げ、多くの県内市町村長から応援を受けた。一方で森友、加計学園問題など難局が続く安倍政権への批判をかわすため、自公幹部は街頭演説に現れず、政党色を前面に出さない活動を徹底、業界団体を個別にまわるなど「裏方」として組織の引き締めに徹した。

 この結果、自公支持層だけでなく、原発再稼働に慎重な有権者や、人口減などに危機感を持つ無党派層にも支持が浸透。池田氏との接戦に競り勝った。

 池田氏は選挙戦を「安倍政権への審判」と位置づけ、推薦する野党6党派の代表がそろい踏みして支援を訴えるなど積極的に政権批判を展開。原発へのスタンスでも花角氏との差別化を図ろうと、国内全原発の廃炉を主張し、柏崎刈羽原発についても、再稼働の是非を「県民投票などで決める」と訴えたが、自公の組織戦を前にあと一歩及ばなかった。
◇新潟県知事選確定得票数
当 546,670  花角 英世<1>無新=[自][公]
  509,568  池田千賀子   無新=[立][国][共][由][社]
  45,628  安中  聡   無新
>(以上「毎日新聞」より引用)

 新潟県知事選で野党共闘の候補が敗れたのは残念だ。それも前任者の米山氏が愚かな個人的な問題で辞職せざるを得なかった、という影響があっての結果だったのかと残念でならない。
 有権者の世論調査では「原発再稼働に反対」が60%もあったという。それを最大の争点とすれば「反原発」を明確に掲げている野党共闘の候補が勝利するのは順当と思われるのだが、選挙戦術で自公の推す候補が勝ったというべきか。

 昨日のブログに「民主主義の前提」として、私は三つの前提がなければ民主主義はうまく機能しないと書いた。自公の推す候補は選挙でいかなる公約をしようと自公政権が原発再稼働を推進していることは明らかで、当選した花角氏が原発再稼働するのは火を見るよりも明らかだ。
 しかし、その花角氏が原発再稼働の有権者が60%いる選挙で勝利した。これも有権者がプロバガンダに惑わされた結果だろう。何と愚かな有権者たちだろうか。しかし、これも民主主義なのだ。

 日本国民の多くは海外の戦場へ赴いて殺戮の地獄で殺し殺されたいと願ってはいない。しかし安倍自公政権は民主主義の仕組みを使って「合法的」に憲法違反の法律を制定してしまった。
 これにより日本国民が政府の命により海外へ赴いて命のやり取りをする、という愚かな行為に参加させられることになった、という現実を日本国民の多くはあまり理解していないように見える。なんとなく米国様の乾分でいれば日本は安泰なのか、という漠然とした観念に安堵しているようだ。

 だが米国は非情な投機資本の「利益の最大化」といった極めてエゲツない原理で動いている。米国の1%の金満家が果てしない欲望ゲームにドップリと浸かって、利権拡大に鎬を削っている。
 米国民の多くも何の因縁も利害もない海外の地へ赴いて殺戮の地獄を這いずり回りたいとは思っていないはずだ。しかし現実は見も知らない相手へ向かってトマホークを発射し、劣化ウラン弾を撃ち込む。そして狙撃手による不意打ちを喰らって短い生涯を異国の地で終える。それも米国の一握りの金満家のためにだ。

 バカバカしい「国際政治」の有り様をなぜ世界人類は変えようとしないのだろうか。人類はまさしく新潟県民と同じ状態にある。多くの者は原発は発電装置として致命的な欠陥を抱えている、と承知の上で、原発利権にドップリと頭の先まで浸かっている一握りの者の「利益の最大化」のために子々孫々まで禍根を残す発電装置を稼働させようとしている。
 たかが電機発電のために、ほかにも安全な発電装置を所有しているにも拘らず、必ず原発を再稼働させると判っている候補を当選させる有権者たち。その延長線上に自衛隊の「集団的自衛権」を容認する戦争法を議決した自公国会議員を大量に当選させた先の選挙結果が重なる。彼らは強制されて自公候補に投票したのではない。しかし彼らは自らの意思で子や孫を再び海外の戦地へ送り殺し殺される煉獄の苦しみを味あわせることを是認した。彼らは結果の重大さに気付いているのだろうか。

 民主主義の多数決原理が正しい、というのには前提が必要だ。すべての情報が正しく有権者に届いていなければならない。事の是非を判断するに足りる判断能力を有権者が有し、何ものにも強制されず彼らが自ら判断する。そして政治家たちは嘘を吐かず、公務員は常にすべての情報を開示する、ということが担保されなければ民主主義の多数決原理は一握りの者のプロパガンダでいとも簡単に歪められる。

 その実証が昨日の新潟県知事選の結果だ。なぜ日本のマスメディアは放射能汚染地図を経常的に掲載して国民に福一原発事故で撒き散らされた放射能が日々日本国民の健康を害していることを警告しないのだろうか。
 政府は放射能汚染物質の除染作業という猿芝居で放射能汚染が一掃されたかのような印象を与えている。その欺瞞性を暴くマスメディアが日本に一社もないのはなぜだろうか。むしろドイツなどのマスメディアが日本の放射能汚染の現状を正しく報道している。嘘だと思うならネットを調べれば良い。

 日本でもネットの「阿修羅」という板に放射能汚染日本地図が常に掲載されている。そうした事実を認識した上で、今を生きる私たちは政治判断を誤ってはならない。子々孫々に関わる問題を原子力ムラの一握りの強欲な既得権益者のためにこの豊饒な国土を放射能まみれにしてはならない。しかし、私と同じ意見の持ち主が60%もいる地で私たちの意見を代表する候補者が敗れた。これも日本の民主主義がいかに歪んだものかという証拠の一つだ。

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