「消費増税10%延期」と安倍応援団の経済学者も叫びだしたゾ。

2019年10月の消費税増税に備え、安倍晋三首相は19、20年度の当初予算を大型にする意向を示し、6月にまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に景気対策の必要性を明記すると報じられている。消費増税を止めることはもうできないのか、一時的な景気対策で増税の悪影響を食い止めることは可能なのか。
 本コラムで何回も指摘してきたように、統合政府のバランスシート(貸借対照表)を見れば、ネット債務残高はほぼゼロである。すでに財政再建をする必要は乏しいので、経済政策としてみれば、あえて消費増税を実行する必要はない。
 それでも、政治的な理由で実施するというのであれば、そのときの対応策は増税効果を打ち消すような理論的な最善策に可能な限り近づけるべきだ。
 最善策とは、8%から10%への消費増税を行うと同時に、全品目を8%の軽減税率の対象として適用することだ。笑い話のようだが、理論的に考えるとこうなる。筆者は、実際にこの話を国会で参考人として答弁したことがある。
 これができない場合、何にも増して、景気を過熱させておくことが必要だ。そのために即効的な対策は、有効需要を高める減税を含む意味での財政出動である。一度きりの補正予算より恒久的な本予算でやるほうがいいが、少なくとも複数年度は必要である。手法としては広い範囲で財政出動をしたほうがいい。所得税減税と給付金の組み合わせであれば、全品目軽減税率適用に近い経済効果になる。
 規模としては、恒久的な措置であれば増税額に見合う数兆円規模でもいいが、一時的な措置であれば10兆円以上を行って景気を過熱させることが必要になる。現在の需給ギャップなどから、こうした規模の財政出動であれば、景気は過熱するであろうから、増税によって冷や水をかけてもいいだろう。
 そこまでして消費増税を行う経済政策上の合理性はない。消費増税が政治的に撤回できないので、増税分も政治的に使ってしまうというもので、あくまでも経済政策としての判断というより、政治的な判断だといえる。
 政治的な判断というのなら、いっそのこと、財務省の公文書改竄(かいざん)などの不祥事から政局になりかかっていることもふまえて、国民の行政に対する信頼が回復するまで、当分の間、消費増税を延期するというのが、国民生活をかんがみても正解ではないだろうか。
 もっとも、実際の政治スケジュールをみると、今年は大きな国政選挙が行われない可能性が高く、その場合には、消費増税の撤回を政治的な争点にする機会がなくなり、既に法律で決まったものとして、増税が実施されてしまう。
 秋に予定されている自民党総裁選で消費増税の是非でも争点になれば、撤回のチャンスも出てくるが、そうならない場合、客観的にみて今の政治スケジュールでは苦しいところだ>(以上「ZAK ZAK」より引用)

 引用した記事はZAK ZAK紙上に掲載された高橋洋一氏の論評だ。元内閣官房官の高橋氏が財務省批判を行うとは驚きだが、私がかねてよりこのブログで展開して来た経済評論とほぼ一致する見解を高橋氏がお持ちだとは想像すら出来なかった。
 確かに、国際的な公的簿記の「複式簿記」で日本政府の会計を表現すれば日銀は政府保有株式が52%で「連結決算」対象となり、日銀が保有する420兆円を超える日本国債は貸方となり借方の国債発行残と相殺される。そのようにして特別会とされている各種法人や社会保険庁などの会計なども「連結決算」すれば、日本政府が持っている国債残1030兆円はほぼゼロとなる。

 だから財務省がマスメディアを使って「借金大国・日本」という大宣伝(プロパガンダ)を行って、国民に「増税已む無し」という世論を定着させた財政規律論を明確に否定しておかなければならない。日本は国家で見れば世界随一の債権国家だ。つまり借金大国(債務大国)という財務省が発信する大嘘を国民は信じ込まされてきた。
 それを根拠に増税に対する抵抗力を奪って、安倍自公政権は国民所得格差拡大と国民総貧困化の消費増税を断行して、見事に国民所得格差拡大と国民を貧困化を実現した。

 しかし安倍自公政権応援団の高橋洋一氏をもってしても消費増税10%を断行すれば総需要不足が深刻化しますますデフレ化のスパイラルに陥ることは明らかだと判明し、財務官僚にやっと正面から物申す気になったのだろう。しかし小手先の論評で安倍自公政権の延命を目論むのは経済学者として少し姑息に過ぎはしないだろうか。
 安倍氏が提唱した、高橋氏もブレーンの一員として参画したアベノミクスが大失敗だったことを認めるべきではないだろうか。なぜ大失敗したのか、理由は明らかだ。財務省の財政規律論に引きずられて当初は財政拡大策を打ち出していた政策を緊縮財政に舵を切ったからだ。

 当初のアベノミクス通りに実施していれば経済が政権5年を経過してもなおデフレ化から脱却できない、という結果になっていなかった。消費増税8%を2014年4月に実施していなければ経済成長2%は楽々と達成していたはずだ。
 そうすれば財務省が予定していた財政再建路線(この言葉も国民を騙すためのプロパガンダだ)に自然と乗っていたはずだ。日本経済がデフレ化にある限り財政再建は決して実現できない。なぜならデフレ化とは貨幣価値が上昇することであり、何もしなくても「借金」が増加するからだ。

 財務官僚に押し切られて8%増税して日本経済はデフレ化の泥沼に嵌った。来年10月に10%増税を行えば日本経済が深刻な状況に陥るのは明白だ。さすがに高橋氏も既定路線の消費増税に警鐘を鳴らさざるを得なくなったのだろう。
 私も高橋氏が主張する通り消費増税10%に反対する。いやむしろ消費税を5%に減税すべきだと考える。だからマレーシアの6月1日から消費税廃止の大実験を検証すべきだとブログに書いた。消費税を廃止すれば経済にいかなる影響があるか、日本国民は今月一日以後のマレーシアを観察すべきだ。

 日本も出来れば消費税を廃止して、かつての「応能負担原則」を税制に復活させるべきだ。その論拠はピケティ氏が「21世紀の資本論」に書いている。つまり「資本の生産性は労働生産性を上回る」ということに他ならない。
 貧困化から脱却するには格差を是正して消費の循環を促すことだ。そうすればGDPの四割以上を占める主力エンジンの個人消費が力強くなり、経済が復調する。もちろん投資促進策も同時に合わせて実施すべきだ。当然、法人税引き下げという内部留保以外に高価のない減税は廃止すべきだ。個別的、政策的な法人減税を実施して、首相がベア要請行脚などという愚かなパフォーマンスを行わないでも企業がベア実施する社会環境にすべきだ。

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