朝鮮半島のハンドルを中国と米国が手放すのか。

 歴史的に朝鮮半島をハンドリングしようとしたのは中国(当時は「清国」)とロシア(当時は「ロシア帝国」)だった。それに対して、半島を通して日本支配を目論むと判断した日本は半島へ軍を派遣して日清、日露戦争を戦った。
 それは朝鮮半島に断固として清国やロシア帝国と独立をかけて戦う政権も軍隊もなかったからだ。李氏朝鮮は腐敗の極みにあって、愚民政策により朝鮮国民は疲弊した国土と困窮した日々の暮らしに立ち向かうだけで疲労困憊していた。

 日本は朝鮮半島を清国やロシア帝国支配から守り、朝鮮半島が確固たる独立国家になることが日本の安全保障に役立つとして、朝鮮総督府を置いて李氏朝鮮の立て直しを試みた。その先頭に立ったのが初代総理大臣を務めた伊藤博文だった。
 伊藤博文は朝鮮が独立国家として国体維持が出来もように国民の教化に取り組み、国土開発のための道路や橋などの社会インフラの整備を行い、疾病から朝鮮人を守るために半島全域に医療施設を建設した。義務教育施設はたった四校しかなかったものを朝鮮半島全域に四千校も建設した。

 半島に鉄道を敷設し、田畑などの開墾を積極的に行い、朝鮮人が飢餓に苦しまないように食糧増産に努力した。伊藤博文は朝鮮半島が独立国家として立って行くことを望んでいた。その思いは1895年に下関で清国全権・李鴻章と日本全権・伊藤博文で締結された下関条約の前文に表現されている。
 しかし伊藤博文が1909年10月にハルピンで殺害されるや、日本国内の「日韓併合派」により翌1910年に半島が日本に併合された。しかし、それはあくまでも併合であって、欧米諸国による植民地とは明らかに異なっていた。

 朝鮮半島は日韓併合後1945年に日本が連合国に敗れるまで日本領として存在した。その35年間の併合機関に人口は2500万人から4500万人へ増加し、コメなども半島から輸出出来るほど増産に成功した。
 第二次世界大戦終結前後に米ソ両軍が朝鮮半島を分割占領し、1948年8月には韓国が同年9月には北朝鮮が樹立された。それが分断国家の出発点となった。つまり「戦勝国」の都合により朝鮮半島は分断国家として戦後を歩み始めた。

 1950年6月にソ連と組んだ北朝鮮軍が38度線を越えて南下し、ここに朝鮮戦争が始まった。様々な経緯はあったものの、最終的に38度線で南北軍が膠着して53年7月 27日,休戦が成立した。
 朝鮮半島は中・ロ・米の主導権をめぐる争いの場として膠着したまま固定化された。それは朝鮮半島に暮らす人たちの意を無視した「戦勝国クラブ」の自己都合に他ならない。

 それでは南北だけに任せれば朝鮮半島は統一できるのか、というと事はそれほど簡単ではない。なぜなら世界に双頭の鷲は存在しないからだ。一つの国家に政権は一つだ。
 南の韓国政府が朝鮮半島を代表する政権になるのか、それとも北朝鮮の金正恩氏が独裁政権を半島全域に広げるのか。その選択が第一の大きな関門だ。

 そして統一国家となったとしても、経済的に成り立つのか。かつて西側の優等生と称せられた西ドイツとソ連の衛星国・東ドイツが統合されたが、人口において西ドイツの1/4に過ぎない東ドイツを呑み込んだ西ドイツは東ドイツの復興支援などで一時期経済破綻の瀬戸際まで追い詰められた。
 朝鮮半島で南が北を呑み込んだとして、北は2537万人で南の5125万人の約半分を占めている。しかも北の経済状況は西ドイツに統合された当時の東ドイツの比でないほど困窮している。南が北を呑み込んだとして、朝鮮統一国家が経済破綻するのは目に見えている。

 経済破綻するとどうなるのか。現在でも困窮している北の多くの国民が難民と化して中朝国境を超えるか、日本海を渡って日本へ漂着するか。そうしないために国際社会が経済支援するとして、どこがどの程度支援すれば半島国家が危機を乗り越えられるのか。
 日本政府は冷静にシュミレーションを行う必要がある。朝鮮半島から難民を出した場合に国際社会が支払う支援よりも、国家破綻させないように、北の人たちが難民化しないように統合国家を支援する方が良いに決まっている。そうした説明を日本政府は行う準備に着手しているのか。

 分断国家の悲劇を演出したのは「戦勝国クラブ」の面々だ。国連は世界平和を希求する国際機関ではない。それは戦勝国クラブの権益を調整する機関に過ぎない。彼らが先の大戦以降に行った悪逆非道な所業を少しは恥ずべきだ。
 そして南北が統合する場合、大きな障害になるのは中・ロ・米が半島に対する反とセリングを放棄するのか、という事だ。朝鮮半島の朝鮮人が「民族自決」を自ら選択できるほど基礎知識を得て、自らの頭で考えて行動できるのか、が問われるだろう。捏造した歴史に自己陶酔している韓国民と独裁者によって情報遮断されている北朝鮮国民に、そうした思惟が宿るのか。可能性は極めて低いといわざるを得ない。

 よって南北統合国家は当分の間出来ないと考えざるを得ない。当分の間とは一世代30年間か、それとも二世代60年間か、南北指導者の智慧と決断にかかっている。

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