米国の関税等への対中制裁は何をもたらすか。

�� 米トランプ政権は22日、中国による知的財産の侵害があるとして進めてきた「通商法301条」の調査に基づき、関税などの制裁措置についての大統領令に署名した。知財分野は米中による経済競争の「本丸」といえ、世界の二大大国が「貿易戦争」に陥りかねない。

 米政府高官によると、トランプ大統領は、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表に新たな関税の検討を指示し、対象製品のリストを15日以内につくらせる。米政府は500億ドル(約5・3兆円)相当の新たな関税を目標とし、家電製品など約1300品目が対象となりそうだ。制裁案ができれば、企業など外部の意見を聴く機会ももうける。



 またトランプ氏はムニューシン財務長官にも、中国企業による米国への投資に対する規制強化策の検討を求め、60日以内に報告させる。さらに、トランプ氏はライトハイザー氏に対し、中国の不正慣行について世界貿易機関(WTO)の手続きに基づいて提訴する検討も指示した。日本や欧州連合(EU)との連携も視野にあるという。



 トランプ氏は大統領令の署名式で、米国の対中貿易赤字について「我々の世界の歴史の中で最大の赤字だ。制御できなくなっている」と強調。「これによって米国はずっと強く、豊かな国になる」と話した。



 トランプ政権は昨年から、中国が米国の知的財産を侵害しているとして、一方的な制裁が可能な「通商法301条」に基づく制裁措置を検討。鉄鋼やアルミ製品への新たな関税も23日から適用される。



 米の強硬策に対して中国商務省は22日、「必ずやあらゆる必要な措置をとり、断固として自身の合法的な権益を守る」とのコメントを発表。報復も辞さない構えを示した。



〈米通商法301条〉 外国による不公正な貿易慣行に対し、大統領の判断で一方的に関税の引き上げや輸入制限などの制裁措置がとれる。日米経済摩擦が激しかったレーガン政権時代の80年代以降に頻繁に使われたが、制裁に踏み切れば世界貿易機関(WTO)協定違反になる可能性がある。95年のWTO発足以降はほとんど使われていなかった>(以上「朝日新聞」より引用)


 トランプ氏は選挙公約をいよいよ実施しようとしているようだ。世界の自由貿易体制(WTO)を破壊しようとする試みは手痛い制裁を受ける可能性が高いが、それでも中国に打撃を与えるには効果的だろう。

 世界の貿易体制に対するトランプ氏の姿勢は一貫性を欠いている。北米FTAは維持するし、日本に対しても二国間のFTA締結を希望する、としている。しかし米国に対する輸出超過には我慢できない、というは論理的でない。ただの我儘のように見える。


 しかしトランプ氏は米国の独善性を表に出して大統領選に勝利した。いわば強烈な「国民の生活が第一」の政治を米国は実施しようとしている。だがその半面では世界を軍事的に支配する戦略を放棄していない。軍事力による「お節介」は焼き続けようとしている。

 それは伝統的な米国の支配層に対する一種の妥協だろう。軍産共同体には協力するがウォールストリートに巣食う金融投機家・米国の1%に対しては御用聞きにはならない、という米国の二大支配層に対する分断を狙っているように見える。


 トランプ氏の対中制裁措置が実行されれば中国から引き揚げつつあるはするものの、対中投資している米国の1%にとっても手痛い結果をもたらす。中国は即座にWTOに提訴するだろうが、それが認められて米国政府に勧告するまでは中国に対する関税等による制裁が実施されるわけで、バブル崩壊を何とか持ち耐えている中国経済にとっては最後のトリガーになりかねない。

 なにしろ中国のGDPの四割近くが貿易等の対外取引だ。国内個人消費も貿易に依存する企業から支払われる労働賃金が大半を支えている。中国の国内産業は相変わらず「組立工場」の域を出ない「軽工業」レベルで、日本からの技術支援で急成長した年間生産八億トンの鉄鋼が狙い撃ちされれば、それでなくても国内消費約四億トンも大きく減少しているので、在庫は倉庫から溢れ出すだろう。


 中国は共産主義の国家にも拘らず産業統制は制御不能に陥っている。14億人を飢えさせないために中国政府は難しい舵取りを強いられるが、それは殆ど絶望的だ。

 国民の不満を外敵へ逸らすのは内政に失敗した権力者の常套手段だが、戦争を仕掛けて敗退すれば命取りになる。せいぜい大きな顔をして周辺国を脅すしかできないが、それでは飢えた国民を満足させることは出来ない。


 中国は自由貿易圏の恩恵により急成長できたことを忘れて大きな顔をし過ぎた。日本に対しても経済援助や技術協力などの恩恵をどれほど受けてきたかを忘れて、悪し様にし過ぎた。南シナ海に軍事基地を築いたのも失敗だ。

 チベットやウィグル自治区に対して締め付けを厳しくしているようだが、それらの抑圧してきた人たちによるテロよりも、飢えた14奥の国民の方がもっと怖いだろう。皇帝に就任した習近平氏は英雄が皇帝に就いた途端に命脈が尽きて、皇帝の座から追放されている古今東西の歴史から何も学んでないようだ。



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