社会インフラの維持・管理を怠ってはならない。
米メディアによると、歩道橋はフロリダ国際大に隣接し、交通量の多い幹線道路の上に10日に設置されたばかりだった。幹線道路を渡ろうとした学生が死亡した昨年の事故を受け、地元の会社が来年の開通に向けて建設を進めていたという。
在マイアミ日本総領事館によると、15日夜の時点で日本人が巻き込まれたとの情報はなく、確認を進めている。
AP通信によると、歩道橋はコンクリート製で全長約53メートル、重さ950トン。フロリダ国際大の学生数は約5万5000人で、事故発生時は春休み期間だった。
歩道橋が崩落した際、近くにいた警察官は「爆弾が爆発したような音が聞こえた」と振り返った。
米国では2007年8月、中西部ミネソタ州ミネアポリスで13人が死亡、140人以上が負傷する橋崩落事故が発生している>(以上「共同」より引用)
フロリダ州マイアミの歩道橋落下事故で9名もの人命が失われた。コンクリート橋で完成したばかりだったというから強度不足によるものだったのだろう。
日本でも無数の橋があって日々多くの人が利用している。国や地方自治体で適正に維持・管理しているとは思うが、それらすべての橋の安全確認を実施すべきだ。
最近は新幹線の高架から剥離したコンクリートの塊が落下したとの報道がないが、全国の高架がすべて維持・管理されているからなのだろうか。指摘するまでもないが、日本の道路インフラは昭和30年代から急速に整備された。
東海道新幹線が完成したのは先の東京オリンピック直前だった。既に50年が経過しようとしている。耐用年数が経過して劣化した橋梁は徐々に更新されているようだが、通過する車も完成当時には想像できないほどの重々量の巨大トラックが頻繁に通過している。
建造・構築物は必ず劣化して、いつかは崩壊する。社会インフラは造っただら、それで終わりではない。適正な維持・管理を行い、それでも劣化が進行したなら更新しなければならない。
小泉時代に公共事業費をかつての半分以下に削減して以来そのままだが、公共事業を「悪の巣窟」とみなして叩くだけではいけない。適正な競争入札が実施され、適切な工事が実施され、社会インフラが安心できる状態に保つ必要があるのはいうまでもない。
質の高い土木・建設技術者の育成と新工法を絶えず研究模索する体制こそ、山河に富む日本の国土に暮らす国民の安全確保には必要だ。土木工事は決してローテクであってはならない。
日本でも笹子トンネルの天井版崩落事故で多数の死傷者を出したことがある。社会インフラは国民の利便性と安全性に資すべく建設・築造された。その安全性の確保の努力を一瞬たりとも怠ってはならない。