国家の根幹に関わる疑獄を放置してはならない。

学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書改ざん問題で、27日に証人喚問された佐川宣寿前国税庁長官の証言に、疑問の声が出ている。佐川氏は昨年の国会で「学園との交渉記録は廃棄した」と答弁したが、喚問では一転して「廃棄するというルールを説明しただけ」と主張。改ざん前の文書には交渉の経緯が詳細に記録されており、野党は「明らかな虚偽答弁だ」と強く反発している>(以上「毎日新聞」より引用)

 佐川氏は2016年6月に理財局長に就任した。そして国会で森友学園に対する国有地払い下げが取り上げられたのは翌2017年2月のことだ。
 そこで安倍氏が「私や妻が関わっていたら総理大臣どころか国会議員を辞める」と発言した。10億円近い国有地が学園に支払われた補助金などを含めればタダ同然で払いそげられる、という前代未聞の疑惑が発覚したのだから、安倍氏が慌てて火消しに走ったのも頷ける。

 しかし慌てて火消しに走らなければならなかったのは疚しいことに関わったという自覚が安倍氏にあったからではないか。もしくは安倍夫人が関わっていたという認識があったから瞬間湯沸かし器と綽名される安倍氏の性格そのままに、瞬間的に沸騰して「火消しの決定打」を口走ったのではないだろうか。
 法律通と自称する評論家が「改竄は財務省内部の問題であって、国有地払い下げ一件公文書として財務省が保存する前の文章が適切でないと判断して削除させるのは公文書の改竄に当たらないのではないか」という屁理屈を述べているようだが、近畿財務局の担当職員が自殺するほど重く認識している公文書作成責任をどのように説明するのだろうか。

 事件一件綴りとして保存される以前は内部資料だから「公文書」ではない、というのは馬鹿げた話だ。そういう認識は防衛省の「日報破棄」事件と全く同根だ。
 それは会計検査院が公務員で構成されていることにも一因がある。すべて公務員の内部で処理すれば内部の範疇だから一切問題はない、という認識なのだろう。事実、会計検査院は近畿財務局が作成した森友学園公文書が複数あると会計検査で認識していたにも拘らず、政府に報告してなかった。内部の問題だ、という認識だったのだろう。

 予てより会計検査院は廃止して民間監査法人に委託すべきだと、私は主張してきた。官僚を官僚に監査させて問題がすべて洗いざらい報告されるとは決して思えないからだ。
 民間監査法人も二年続けて同じ監査法人が監査するのは望ましくないし、三年以内に同じ監査法人が監査するのも望ましくない。なぜなら「転がらない石には苔が生える」からだ。

 何度でも繰り返すが、官僚は嘘を吐くし問題点を隠すものだ。財務官僚が「日本には1050兆円もの借金があり、そりは国民一人当たり830万円も借金しているのと同じだ」というプロパガンダをマスメディアを使って国民に浸透させた。
 借金しているのは政府であって、日本は対外保有資産世界随一の金満国家だ。しかも国民一人一人が借金しているのではなく、むしろ日本国民は銀行や生命保険会社を通して「貸し付ける」側にある。つまり財務省は借金返済に貸主の国民に借金返済のためにもっと税金を支払え、とトンチンカンな請求をしている、という事実を日本のマスメディアは報道すべきだが、現実は財務省の機関紙に堕している。

 佐川氏は安倍氏や麻生氏は公文書改竄に関わっていない、と証言席で明確に言い切った。それなら明確に言い切った根拠を示す責任があるが、彼はそうした時系列に沿った安倍氏や麻生氏のアリバイを一切明らかにしなかった。
 そもそも佐川氏は前年の国会で「メモ類は一年で自動的に廃棄される」と言い切った張本人だ。事実経過を確認すべきメモや書類は何もないし、森友学園への国有地払い下げは適切に処理された、と大嘘を平気で吐いた。それにより国会は一年間も空転し、空転国会を放置したまま佐川氏はイケシャーシャーとして国税長官に「栄転」した。

 厚顔無恥とは佐川氏のような人物を指す言葉だ。そして彼が一人でこの空前絶後の公文書改竄も含めた森友学園国有地払い下げ事件を指揮したとしたら大罪人だが、彼を観察する限りそれほどの大罪を一人で犯す度量があるとは到底思えない。
 彼は「小僧」に過ぎない。誰かに使われて実行する度胸は持ち合わせても、自ら大罪を犯す計画性も実行力も持ち合わせていない。それが証拠に近畿財務局職員が引責自殺した感想を聞かれると、証言席で佐川氏は言葉を詰まらせた。こうした犠牲者が出ることを佐川氏は想像してなかったということだ。何と浅墓な人物だろうか。

 公務員の仕事は案件に関する報告公文書を作成してすべてが終わる。その公文書に近畿理財局職員は自らのアリバイを記載することにより自分たちは公務員として真っ当な仕事をしたと明らかにした。
 しかし本庁からの指示でゴッソリとアリバイ部分を削除された。彼にとって「常識が覆された」と感じ、人格を全否定され絶望するのは想像に余りある。それは官界全体に対する不信感を国民に抱かせる愚挙だ。

 佐川氏に何を聞いても無駄だ。彼は人格が破壊されている。事の是非よりも自己利益を優先させる俗物だ。
 国会は速やかに調査特別委員会を設置し、百条委員会への移行も視野に入れながら安倍夫人や谷元秘書官や官邸の安倍秘書官などから事情を聴取すべきだ。もちろん近畿理財局や本庁の文書管理などの担当者からも事情を聴くべきだ。森友事件は官界全体に対する信用にかかわる大問題だという認識を国会議員は与野党を問わず共有すべきだ。国家の根幹に関わる疑獄を放置してはならない。


このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。