安易に「臨床なき」代替医療を選択してはならない。

<代替医療を選択したがん患者の死亡率は、標準治療を選択した患者より最大で5倍程度高くなるとする研究結果を、米エール大学医学大学院(Yale University School of Medicine)のスカイラー・ジョンソン(Skyler Johnson)氏らの研究チームが発表した。




 18日にAFPの取材に応じたジョンソン氏によると、研究チームは米国で最も一般的な4種類のがん──乳がん、前立腺がん、肺がん、結腸がん──と診断され、効果が証明されていない代替医療を1種類以上受けることを選択した患者281人を抽出した。



 研究チームは上記患者らの治療後の健康状態を別のがん患者560人と比較した。その際には年齢や人種、その他の健康要因も考慮した。



 平均すると、代替医療を選択した患者の診断後5年以内の死亡率は、通常医療を選択した患者の2.5倍以上だった。ジョンソン氏はAFPに対し「いくつかの理由から、私はこの数字は実際より小さくなっていると考えている」と述べた。



 まず、このデータは初期の治療しかカバーしていない。つまり代替医療を最初に選択した患者の中には、がんが進行する中で標準治療に移行し、そのおかげで生存期間が延びた人もいるかもしれない。



 また、代替医療を選択する患者は標準治療を選択する患者よりも健康で、若く、収入と学歴が高い傾向があり、このことによって生存率が高まっている可能性もあるという。



 ジョンソン氏は、患者たちは代替医療に難色を示しがちな医師には正直に話したがらない傾向もあり、代替医療を選択した患者の正確な人数は分からないが、現在提供されているがんの代替医療をすべて合わせると、数十億ドル(数千億円)規模のビジネスになっているのではないかと述べた>(以上「AFP=時事」より引用)


 溺れる者藁をも掴む、という諺がある。「藁」とは頼りにならない物の例えだから、溺れる者は何でもかんでも浮いている物を掴んで少しでも浮こうとする、ということだ。

 癌と告知され余命を宣告されれば、気丈な人でも動揺し「これが癌に効く」と勧められれば容易に「藁」にすがろうとするのは想像な難くない。また「藁」にすがろうとしている癌患者に敢えて薬にもならない「藁」を投げ与える不届き者がこの世にいることも事実だ。


 また「癌になったら何もしない方が良い」と著書に著して勧める医師までいるから始末に悪い。「藁」でも掴もうという錯乱した心理に陥っている人たちを誑かすようなものだ。

 確かに癌は死に至る病だ。高齢に達して生死を厭わない心境にある者ならまだしも、まだ平均寿命にまだ間のある者なら、何とかして平均寿命までは生きたいと痛切に願うのは誰から責められるものではない。


 そこに替医療が付け込む。根拠もなく「大丈夫」という言葉を待っている癌患者に「こうすれば癌が縮小する」とか「癌と共存できる」とか甘言を散りばめながら近づく「結婚詐欺」さながらの詐欺師にかかれば「藁」と心の底で解っていても掴みたくなるだろう。

 しかし、彼らが豊富な臨床例を持っているわけでもなく、代替医療の科学的な検証をしているわけでもない。「藁」をも掴みたい癌患者の心理に付け込む詐欺師がカネ儲けの「道具」として代替医療を提案するだけだ。もちろん、死ぬのは詐欺師ではなく癌患者だし、癌患者は余命宣告されているから死んだところで「死から逃れられない運命だった」という逃げ道がある。


 国は代替医療に対しては医療保険を払わないで済むから、代替医療提供者が薬効を謳い文句に大々的に売り出すなどせず「薬事法」に抵触しない限り罰しない。そこに民間療法などの代替医療が蔓延する余地がある。

 歌舞伎役者の妻も癌余命宣告を受けてから代替医療に縋ったと側聞している。薬効なく若くして亡くなられたわけだが、代替医療は元々薬効を謳い文句にしていないはずだ。もしも謳い文句にしていれば明快な「薬事法違反」だし、あるいは「医師法違反」かも知れない。


 人はかくも弱い存在だ。これほど科学が進歩して、科学的に「実証」されない呪術を信じる者はいないと思うが、それでも「藁」ほども役立たない新興宗教が雨後の筍のように、この国に存在している。ついには与党の一角を担う政党を持つ新興宗教まで存在するほど、日本は未開国家だ。

 代替医療がゴマンとあっても驚きはしないが、こと命にかかわることだけにカネ儲けの詐欺には強い怒りを覚える。「鰯の頭も信心から」というが「鰯の頭」を信用する癌患者と親族に一抹の哀れを覚える。



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