議会制民主主義を破壊する「特区」制度を廃止せよ。

 国家戦略特区で何が決められているかご存じたろうか。加計学園はまだ安倍友への利益誘導という側面があるが、それよりも問題なのは獣医師養成にかかる国家補助金を垂れ流せという、国民の税負担に関わる問題だということを忘れてはならない。
 今日の参議院での予算委員会集中審議をネット配信で視聴したが、日本維新の会の議員の質問要旨には驚いた。彼は全国の獣医師学部を受験する受験生が多くいて、実に競争率が11倍になっているから獣医学部新設を規制している文科省が「岩盤規制」して国民の権利の平等を奪っている、とワケの解らないことをほざいていた。

 それなら弁護士の希望者の夢をかなえるために全国の雨後の筍のように乱立した法科大学院はどうなっただろうか。制度を新設した当時、法科大学院は74校に達し受験生は四万人を超えた。しかし法科大学院を出ても当初は65%の合格率といわれた司法試験もそれほど合格率は上がらず、しかも弁護士が大量に輩出されたため「イソベン」なる言葉まで出るに至って法科大学院は45校に減り、受験生も8274人まで減少した。法科大学院を設置した経営者たちは当てが外れ、大量の弁護士浪人を生み出した結果になっている。
 ことほど左様に、希望者が多ければ大学を大量に設置すれば良いというものではない。獣医師は基本的に充足されている。むしろ獣医師一人当たり家畜頭数では欧米の1/10以下だ。確かに行政獣医師は不足しているが、それは行政医師も同じだ。保育士だって不足しているし、介護士だって不足している。その原因は何か、既にお分かりだろう。待遇が悪いからだ。

 獣医師学部受験生が多いから獣医師学部を増やせ、というのなら東大ももっと増やせば良い。さすがは日本維新の会の国会議員だけのことはある、極めて低能な質問をする、と感心した。
 それよりも特区で一体何が決められているのか。以下に羅列してみた。

住宅容積率 都心居住促進のための容積率緩和
エリアマネジメント エリアマネジメントの民間開放(道路の占用基準の緩和)
公証人 公証人の公証役場外における定款認証
官民人材 官民の垣根を越えた人材移動の柔軟化
人材流動化 人材流動化センターの設置
航空法の高さ制限の緩和

汚染土壌 汚染土壌搬出時認定調査の調査対象項目を限定
開業ワンストップ 外国人を含めた起業・開業促進のための各種申請ワンストップセンターの設置
創業 創業人材等の多様な外国人の受入れ
クールジャパン クールジャパン・インバウンド外国専門人材の就労促進
特区民泊 滞在施設の旅館業法の適用除外
NPO NPO法人の設立手続きの迅速化

空港アクセス 空港アクセスの改善に向けたバス関連規制の緩和
家事支援 外国人家事支援人材の活用
出入国手続き 民間と連携した出入国手続き等の迅速化
道の駅 民間による「道の駅」の設置

外国医師 外国医師の診察・外国看護師の業務解禁
旅行業務取扱者試験 農家民宿等の宿泊事業者による旅行商品の企画・提供の解除
歴史的建築物 古民家等の歴史的建築物に関する旅館業法の適用除外など
自家用自動車 過疎地等での自家用自動車での活用拡大
医学部 医学部の新設

医療法人 医療法人の理事長要件の見直し
粒子線 粒子線治療の研修に係る出入国管理及び難民認定法施行規則の特例
臨床修練 外国医師による診療範囲の拡充
病床 病床の新設・増床の容認
保険外併用 保険外併用療養の拡充
ユニット型指定介護 介護ロボット活用のための共同生活室の一体的利用の可能化
地域限定保育士 「地域限定保育士」の創設(政令市による当該保育士試験の実施を含む)

都市公園保育所 都市公園内における保育所設置の解禁
iPS iPS細胞から製造する試験用細胞等への血液使用の解禁
遠隔服薬指導 テレビ電話を活用した薬剤師による服薬指導
医療機器相談 革新的医療機器の開発迅速化
農業委員会 農業委員会と市町村の事務分担
農業生産法人 農業生産法人6次産業化推進等のための要件緩和
雇用センター 雇用条件の明確化のための雇用労働相談センターの設置
シルバー人材 農業等に従事する高齢者の就業時間の柔軟化
障がい者雇用 障がい者雇用に係る雇用率算定の特例拡充
国有林野(面積) 国有林野の貸付面積の拡大
国有林野(貸付対象) 国有林野の貸付等に関する対象者の拡大
漁業生産組合 漁業生産組合の設立要件の緩和
信用保証 農業への信用保証制度の適用
企業農地取得 企業による農地取得の解禁
農家レストラン 農家レストランの農用地区域内の設置の容認
課税(設備投資) 設備投資に係る課税の特例
課税(所得控除) 所得控除に係る課税の特例
利子補給金 指定金融機関が行う貸付けに係る利子補給金の支給
公設民営学校 公立学校運営の民間への開放(公設民営学校の設置)
獣医学部 獣医学部の新設
実験試験局 電波に係る免許発給までの手続きの大幅短縮
特産酒類 酒類製造に係る免許申請時の最低製造数量基準の緩和

 日本の仕組みを基本から破壊しようとする「悪だくみ」満載だ。その特区の民間委員の中心に竹中平蔵氏がいる。
 国会の審議なしにドンドン進められるのが特区の特徴で、議会制民主主義は形骸化している。この国の社会の箍を外して、やりたい放題にすることが「活性化」だという。それはむしろカウス化というべきではないか。なぜ議会制民主主義の根幹を守って、議会の議論を通して適切な規制と既得権益擁護の規制とに分けようとしないのだろうか。

 国家戦略特区などという総理と総理の友達による「悪だくみ」をスイスイと通すような制度は直ちに廃止すべきだ。


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