語るに落ちた「総理権限」と「新自由主義」

<安倍首相は、6月24日に、講演の中で、「1校に限定して特区を認めた中途半端な妥協が、結果として国民的な疑念を招く一因となった。」「今治市だけに限定する必要は全くない。地域に関係なく、2校でも3校でも、意欲ある所にはどんどん新設を認めていく。」などと述べたとのことだ>

 安倍氏は「自分は総理大臣だから何でもできる」と思い上がっているとしか思えない。そして国家戦略特区の民間委員の一人として竹中平蔵氏が前川前次官を「文科省は50年以上も獣医学部新設を「抵抗勢力」として阻んできた。行政を捻じ曲げていたのは文科省の方で、国家戦略特区が捻じ曲がっていた行政を正しているのだ」と持ち前の持論を展開した。
 竹中平蔵氏は民間委員として「構造改革」という名を振りかざして規制緩和と自由競争こそが経済を活性化すると小泉政権当時から主張してきた。その結果どうなったか。
 旅客輸送自動車の規制緩和により貸し切りバス事業への参入が大幅に規制緩和されたことにより競争が激化して貸し切りバスの単価が下がり、それが現場のバス運転手の雇用条件の悪化となり、スキーバスなどの過労運転による貸し切りバス事故が多発している。規制緩和によりタクシー台数が激増してタクシー運転手の労働環境が悪化し、収入が激減している。

 物事には裏と表がある。規制に守背れている業界は安定しているが消費者にとって不利益な面がある。しかし規制を野放図に緩和すると業界内の競争が激化して労働環境が悪化して労働の質が低下する。そうした兼ね合いこそが政治が介入する場面なのだが、安倍氏は加計学園の獣医学部新設が批判されるのなら、全国でドンドン獣医学部を新設しようではないか、と主張した。
 新自由主義を提唱する者の馬鹿さ加減もここに極まる。獣医学部を新設するには加計学園の新設を見ても分かるように百数十億円もの公的な支援が必要となる。そして運営に関しても私学助成金が注ぎ込まれる。学生も大金の授業料などを支払って卒業しても、獣医師が世間に溢れて就職しても労働対価は大幅に引き下げられて獣医師の貧困化が問題になるだろう。

 かつて弁護士の数を増やそう、との政策から法科大学院大学を全国各地に新設して、司法修習生の合格者数を増やしたら、現在は弁護士が溢れて弁護士の貧困化が問題になっている。歯科医師もそうだ。物事には必ず表裏があることを理解すべきだ。
 安倍氏はそうした獣医師の業界が大きく転換する発言を自分がしたという自覚があるのだろうか。それは獣医師も「なりたい者はすべてなるがよい、その代わり自由競争を生き抜くのは自己責任だ」という新自由主義者の発言だ。獣医学部の新設に公的資金が注ぎこまれ、そして学生も高い授業料を支払っても卒業後に就職が保証されていない、という事態になって幸せだろうか。文科省が50年以上も獣医師の新設を認めなかったのが行政を歪めていたのだろうか。竹中平蔵氏の主張する「何でもかんでも自由競争社会にして、すべては自己責任だ」という社会のあり方が正しいのだろうか。

 国民は狂気にかられた安倍という一人の政治家により、獣医師行政が大幅に方針転換させられている現実を知るべきだ。そして粗製乱造された獣医師が信頼に足るものなのかを思惟すべきだ。前にも書いたが、「中四国学区」に獣医師学部は山大と鳥取大の二校あり、定員は二校合わせても65人だった。そこに定員160人の加計学園獣医学部が新設される。獣医師の需要よりも供給が大幅に超過するのは明らかだ。そうした加計学園卒業の獣医師が四国の農水関係公務員となったとしても、需要が一体いくらあるというのだろうか。剰余の獣医師は首都圏や大都市部に流れ込むだろう。それがどうした事態を招来するか、想像に難くない。

 かつて竹中平蔵氏は「正社員は既得権益者だ。正社員をすべてなくして派遣社員にすべきだ」と発言した。そうした社会が望ましい社会だと考える張本人が民間の委員として政府内部で大きな顔をしているのが安倍自公売国政権の正体だ。安倍自公売国政権こそが日本を取り戻すのではなく、日本を破壊している。日本を丸ごと米国の1%の餌食にしようとしている。そうした実態を国民は認識すべきだ。安倍自公売国政権を一日も早く打倒すべきだ。


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