医師は「怪しきは検査すべき」だ。
乳がん検診を受けて腫瘍が見つかったが、悪性化良性か分らないため様子を見た。その結果が取り返しのつかない乳癌を見逃していたとしたら、それは矢張りヤブ医師というべきだ。
医師は怪しげな腫瘍を見つけたなら何はともあれ組織検査すべきだ。そして一人の医師だけで判断せず、データを共有して複数の医師の意見を謙虚に聞くべきだ。
今日、三年の闘病の末、市川海老蔵氏の妻・小林麻央氏が亡くなられた。虎ノ門の高名な医師が小林麻央氏の健康診断を実施し、乳房に見つかった腫瘍を良性と判断して経過観察することにしたという。
その結果が悲惨な乳癌患者を死に至らしめたとしたら、最初に経過観察すると診断した医師はヤブ医師というべきだ。なかなか乳房の腫瘍の「良・悪」の判断はつきかねるから、一概に虎ノ門の医師をヤブとは言い難いとする医療ジャーナリストもいるが、私はそうは思わない。
怪しい腫瘍が見つかれば直ちに組織検査すべきだ。特に若い人は癌の進行が早く、癌細胞が転移するのも早い。ちょっとした逡巡が命取りになる。
大病院の乳腺外科部長だからといって全知全能ではない。彼は同僚や他に医師に意見を聞くべきだった。
小林麻央氏は永遠の眠りについた、34際の若さだった。合掌。