人種差別はいけない。
��横綱稀勢の里の逆転優勝に話題が集中する大相撲。その裏側で、モンゴル出身の大関照ノ富士に観客から「モンゴルに帰れ」というヤジが飛んだことが報じられた。これはヘイトスピーチにあたるのではないか、と批判する声が強まっている。日本人横綱への熱狂と、モンゴル出身力士への冷淡な反応。大相撲はどうなっているのか?
3月26日、スポーツ報知はウェブサイトでこんな見出しの記事を配信した(現時点で見出しは変わっている)。
記事によると、優勝を争う照ノ富士が立ち合いで変化し、はたき込みで琴奨菊を破った際、観客から飛んだ「ブーイング」を見出しにして報じたものだ。
この後、土俵にあがった同じモンゴル出身の横綱日馬富士は場内の雰囲気をこう表現している。
「照ノ富士へのブーイングが止まらず『オレが土俵に上がってるのに、すごい言葉を言ってくるから』と戸惑った」
「相撲を取るどころじゃなかった。集中してるけど耳に入ってしまう。次の一番に集中してる人のことも考えてほしい。大けがにもつながるから」>(以上「日刊スポーツ」より引用)
ここ十数年、大相撲はモンゴル力士によって支えられてきた。日本人力士の不甲斐なさに対して、異郷の地からやって来て日本の中でも特殊な相撲の世界で頑張っているモンゴル出身力士に対して「モンゴル帰れ」のブーイングは戴けない。
確かに従軍慰安婦などの謂れなき隣国の批判に対して、日本の正当性を主張するのは当然だが、だからといって「朝鮮帰れ」と叫ぶのは筋違いだ。味噌も糞も一緒にしてはならない。
近隣諸国の国民と友好関係を結ぶのと、近隣諸国政府の反日姿勢に抗議するのは別物だ。政権は倒れればかわるが、近隣諸国民は永遠に近隣に棲み続ける。仲良くするのは当たり前のことだ。
モンゴル政府と日本政府は友好関係にある。その両国民が「相撲」を通じてさらに友好関係を深めるのは好ましい。その友好の場を壊すようなヤジやブーイングは先人たちが積み重ねた努力を一瞬にして無に帰す愚行だ。断じて安易なレイシストを許してはならない。