自由市場とは「なんでもアリの自由」ではない。

<17日 ロイター] - 中国の習近平国家主席は17日、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で講演を行い、グローバル化や自由貿易の重要性を強調した。

保護主義は自ら暗い部屋に閉じこもるとともに、部屋から光や空気を奪うようなものだと指摘。他国を犠牲にして自国の利益を追求すべきではないと述べ、トランプ次期米大統領を名指しこそしなかったものの、同氏の言動を暗にけん制した。

習主席は「通商戦争を仕掛けても誰も勝者とはならない」とした上で、経済のグローバル化は多くの国々にとって「パンドラの箱」ではあるものの、世界的な諸問題の根源になっているわけではないと述べた。世界的な金融危機もグローバル化に原因があるのではなく、過剰な利益追求が引き起こしたものと分析した。

中国経済については「新常態(ニューノーマル)」に入ったが、経済のファンダメンタルズは変化していないと述べ、今や家計消費が経済の主なけん引役だとの認識を示した。

さらに、世界経済の停滞にもかかわらず、中国の2016年経済成長率は6.7%だったと見込んでいると述べた>(以上「ロイター」より引用)

 改めて指摘するまでもなく自由貿易市場の恩恵を最も受けている国は中国だ。そして中国の貿易相手国として最も重要な国は米国だ。
 いわば中国は自由主義圏が構築してきた自由貿易という制度にチャッカリとタダ乗りし、国家による為替統制までして稼ぎに稼いだ。その中国が世界経済フォーラムにしゃしゃり出て「自由貿易」こそが大事だ、と中国の稼ぎの構造維持を訴えるというのは余りにジコチューというべきだろう。

 むしろ中国は自由貿易から受けている恩恵に相当する貢献を自由主義圏の諸国に返すのが本筋だ。中国が軍事侵攻しているチベットやウィグル、内モンゴルなどから人民解放軍を撤退して、それぞれの国と地域の独立を容認していくのが自由貿易で稼ぐ中国のあり方ではないだろうか。
 しかし現実は自由貿易で稼いだカネで軍備を拡大し近隣諸国に軍事的脅威を誇示し、東・南シナ海へ進出している。自由貿易を推進する立場とは到底相いれない暴挙を行いつつ、自由貿易を推進するように国際社会に訴えるのは自己矛盾そのものだ。

 顧客に対して「貿易を自由にさせろ」と息巻く前に、顧客がなぜ「保護貿易」に舵を切り替えているのか、と自問すべきではないか。そして中国は中国発の「金融世界恐慌」を引き起こさないように自国の経済運営を透明化すべきだ。
 新年になって10日余りで昨年のGDPが6.7%と速報とはいえ発表できるのはマトモではない。中国の経済統計のあり方も開示すべきだ。日本のマスメディアによる政権支持率と同様に、捏造の疑いが強い、と批判せざるを得ない。

 日本の製造部門を海外移転させた企業も中国と同罪だ。典型的な例がユニクロで、労賃の安い中国で製造した製品を日本に還流させて莫大な利益を上げる、という経営モデルは日本国内の雇用を奪い全国各地の縫製業企業団地を破壊した。
 私はこのブログで安倍自公政権成立前からUターン投資減税をすべきと主張してきた。海外移転した企業投資を国内に戻さない限りデフレ下経済の解消は困難だし、労働賃金の低下は防げないと思ったからだ。しかし安倍自公政権はあえてUターン投資減税を避けて、新規投資減税をアリバイ作り程度に施行しようとしているだけだ。米国の次期大統領トランプ氏は私の主張してきたUターン投資減税策をもっと下品に、もっと刺激的に実施しようとしている。

 ここ30年以上にわたるグローバル化は世界各国に一体何をもたらしたか、真剣に検証する必要がある。日本においてはグローバル化は「構造改革」という名で語られてきたが、「構造改革」は国民を幸せにしただろうか。
 グローバル化の最終形態(非関税障壁まで撤廃して国境をなくすという意味では)たるTPPは日本の国家と国民を丸ごと米国の1%に売り渡すことだ。一部の多国籍業経営者と米国の1%の投機家代理人が儲けるだけで、99%の一般国民はより一層貧困化するだけだ。

 習近平氏も中国の労働者所得が高まり、東南アジアに生産拠点が移転した後にそれらの国から安い製品が流入し始めても「自由貿易万歳」と主張し続けられるだろうか。彼も保護主義に、つまり「チャイナ・ファースト」に政策転換せざるを得ないのではないだろうか。
 自分の立場だけでモノを言う人を日本ではジコチューとして蔑まれる。まさしく習近平氏はジコチューだ。


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