オバマケア廃止はトランプ氏の実務の手腕の試金石だ。

<トランプ米大統領は20日、医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しに向けた大統領令に署名した。ホワイトハウスが発表した。トランプ政権と与党・共和党はオバマ前政権の政治的遺産であるオバマケアの撤廃を最優先課題に掲げており、就任初日から公約実現に動き出した。

 新政権と共和党はオバマケアの代替案作成を急いでいる。議会の承認がいらず、政策を迅速に実行できる大統領令では、代替案が完成するまでオバマケアによる財政負担を最小限に抑えるよう各省庁に指示した。

 またトランプ氏は各省庁が導入予定の新たな規制を新閣僚が再検討するまですべて凍結するよう命じた。オバマ前政権が計画していた規制にストップをかける狙いで、体制転換をアピールする>(以上「日経新聞」より引用)

 オバマケアは国民皆保険制度を実施するために前大統領の小浜市が導入した医療制度だ。それにより6人に1人といわれた無保険者に医療サービスを低廉な価格で享受できるようにするものだった。
 しかし実際はオバマケアにより既保険者の保険料が三倍程度に跳ね上がってしまった。それまでは保険でカバーする疾病を被保険者が選択して保険料金を低く出来たが、オバマケアではHIVや10項目の医療の提供を求めたため、保険料金が上がってしまった。しかもオバマケアでカバーする薬品に制限があり、あるC型肝炎患者は医師から新薬を進められ、三ヶ月で医療費が840万円になったという。

 オバマケアによる負担増は被保険者だけではない。保険加入者の1/3が会社員で、保険料を個人と同額負担するとされている。その会社負担を適用されるのは50人以上雇用する企業とされているため、企業負担増に耐えきれず罰金を支払ってでもオバマケア保険制度を社員に適用しなかったり、従業員数50人基準を下回るように正規社員を非正規として短期雇用に切り替えたりする傾向が顕著になった。
 そして医師の側も疲弊している。オバマケアの保険制度をすべての医師が受け入れているわけではなく、約66%に医師が条件の悪いオバマケアの保険ネットワークに入っていないため、オバマケアを適用している医師に患者が殺到している。しかしオバマケアで政府から支払われる保険料が従来の保険会社から支払われる額を下回っているため、オバマケア患者お断りの病院が増えている、という。

 国民皆保険制度を実施している日本の医療保険制度をまねたといわれるオバマケアだが、日本と根本的に異なるのは既に保険会社による医療保険制度が運用されていたことだ。それを国民皆保険制度のオバマケアを導入して国民の6人に1人といわれる無保険者をなくそうとする「貧困層救済」はそれだけ国の財政負担を増やすことになり、財政負担を抑えれば保険料に高騰を招くことになる、というのは自明の理だ。
 いかなる手直しで日本のような国民皆保険制度が米国で定着するのか。その場合は利害が相反する民間保険会社が実施している医療保険制度との「棲み分け」をどうするのかが問われる。あるいは民間医療保険制度を政府令で禁止して、一旦はすべての医療保険を国家管理に移すという荒業が必要なのかもしれない。オバマケアを否定したトランプ氏が国民皆保険を諦めるというのなら貧困層の反発を招くことになる。

 トランプ氏が富裕層と保険会社の側に立つのか、それともすべての国民の側に立つのか。最大の試金石が大統領就任と同時に彼の目の前に現れた。


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