首相の「真珠湾訪問」は勝者の歴史を是認するだけだ。

<「この4年間を総括する場をつくろう」。首相は11月中旬のペルー・リマで行ったオバマ氏との短時間の立ち話で、こう呼び掛け、ハワイでの首脳会談を提案。オバマ氏は快諾した。

 関係者によると、オバマ氏は5月に来日して首相と会談した際、真珠湾攻撃のあった12月8日の訪問を打診した。しかし、日本側は「謝罪色が強くなりすぎる恐れがある」(政府関係者)との理由で、同月下旬にずらせた。

 オバマ氏の被爆地・広島訪問では、日本は原爆投下への「謝罪」を求めず、未来志向を演出することに心を砕いた。これと同様に、首相は自身の真珠湾訪問でも未来志向を重視した>(以上「時事通信」より引用)

 安倍氏はオバマ氏が広島訪問したのに対して、真珠湾を訪問するというが、真珠湾攻撃と広島原爆投下とは全く異なる。しかも広島の記念館は核兵器の悲惨さを伝える施設であるのに対して、真珠湾の「アリゾナ記念館」は米国の戦勝記念館の色合いが極めて濃いものである。
 それらを同列に考える「日米同盟」とはまさしく勝者が敗者を支配する関係でしかないことを象徴してはいないだろうか。しかも、広島の原爆投下は非戦闘員の市民大虐殺が目的だったのに対して、日本軍の真珠湾攻撃は軍事施設に対する攻撃に限定されていた。さらにいえば、外務省の手違いで「公電」の翻訳に手間取って「奇襲攻撃」となってしまったが、事前に米国政府は「公電」を傍受して「日本の宣戦布告」を真珠湾攻撃開始以前に知っていた。つまり、真珠湾攻撃は日本軍の奇襲ではなく、米国政府により意図的に「創られた」奇襲に他ならない。

 そうした歴史の開示もなく日本利首相が因縁のある12月に真珠湾を訪れるのは日本を一方的に「奇襲する卑怯な国」だとするイメージで米国民に対日開戦の米国世論喚起に利用されただけだという、真実の史実を覆い隠すものでしかない。安倍氏は日本を取り戻すと主張していたが、それは一体「日本の何」を取り戻すつもりだったのだろうか。
 戦後GHQにより日本国民に徹底して日本国民の潜在意識下に埋め込まれた「自虐史観」から、日本の誇りを取り戻すことであれ、と僅かでも安倍氏の「日本を取り戻す」というスローガンに期待したのは愚かだった。安倍氏はトコトンまで米国のポチでしかなかった。

 日本の戦後を終わらせるには「自虐史観」から脱却しなければならない。それは決して「戦前の軍国日本」へ回帰するのではなく、戦前の国際社会が欧米白人国による世界植民地争奪競争という「有色人種への奴隷支配」が当たり前の世紀であったことを失念して、日本の軍国主義を一方的に批判するのではなく正当に評価することだ。
 明治日本が「富国強兵」に邁進していなければ、日本も他の有色民族と同様に欧米列強の植民地になっていた。そうすれば日本の婦女子は何処ででも何時でも強姦され、日本の男子はいささかでも反抗の気概を見せれば虐殺されていた。日本の指導者たちは米国主導によるABCD包囲網により原油などの資源を禁輸されたときに、座して植民地とされるよりも決死の覚悟で開戦の途を選択せざるを得なかった。そうした先人たちの苦渋に満ちた歴史を「自虐史観」で「愚かな選択」だと決めつけるのは戦勝者の歴史でしかない。

 アリゾナ記念館は「悪役日本」の記念館でしかない。当時の真実の歴史を微塵も語ってはいない。そこへノコノコと出掛ける安倍氏を私は「日本の首相」とは認めない。米国のポチが尻尾を振って、退職する「ご主人様」に最後のご機嫌伺いに行くとしか見えない。なんという愚かな首相を日本は戴いているのだろうか。


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