根拠のない「健康運動」で人命を犠牲にしてはならない。

<新潟県上越市のNPO法人による「ずんずん運動」と称した独自の施術により生後4カ月の男児が死亡したとして、神戸市に住む男児の両親が、NPO法人の元理事長と元副理事長に損害賠償を求めた訴訟で、神戸地裁(山口浩司裁判長)は14日、請求通り計約5200万円の支払いを命じた。

 判決によると、元理事長は2014年6月、大阪市淀川区の施設で、男児を太ももの上にうつぶせに乗せた後、首をもむなどして窒息状態にさせた。男児は6日後に死亡した。

 訴訟では元理事長が責任を認める一方、施術担当でない元副理事長は「危険性を認識できなかった」と主張。山口裁判長は判決で、13年2月にも元理事長による同様の死亡事故があったことなどから、危険性を予見できたと認定した。

 元理事長は15年8月、男児への業務上過失致死罪で大阪地裁から執行猶予付き判決を受け、確定している>(以上「神戸新聞NEXT」より引用)

 ずんずん運動なるモノをテレビで拝見した際には「危険だ」と思った。赤ちゃんの首を後ろへ必要以上曲げたり、上下に烈しく揺さぶったりと、常軌を逸した「運動」だったからだ。
 その「運動」が赤ちゃんの夜泣きに利くとか、発育を促すとか、子育てに不安を抱く母親の心の隙間に入り込むような殺し文句で会員を勧誘していたとは怒りが込み上げる。そうした効果があるとは決して思えない、何の根拠もない危険な行為を「効果がある」として実施していたとは呆れてものが言えない。

 現代日本社会にこうした前近代的な根拠のない「運動」や「祈祷」や「宗教」で健康になるとか、運気が良くなるとか、除霊できるだとか、好き勝手な謳い文句で人の心の隙間に入り込んで金品のみならず人命まで奪う「事件」がたまに発生する、というのはいかなることなのだろうか。
 日本の医療が国民に必ずしも信用されていない証拠なのか、それとも「運」などといった偶然性が人生の失敗の原因だとして自分自身に納得させようとする心理なのか。精神の病を「背後霊」などといった人智を超えた存在に帰そうとする魂胆なのか。

 時にはテレビに尤もらしい顔をして占い師や似非・宗教家が登場して相談者に御神託を垂れたりしている。金色のモノを置けば「金運が増す」などといった根拠のない御託を述べる人物まで登場する。
 そうした摩訶不思議なものに縋って「運気」を高めたいと願う人たちは一体いかなる心理なのだろうか。個人的な趣味までとやかく言うつもりはないが、それが高じてついには「ずんずん運動」なるものまで言い出す人が現れることになる。なんら根拠のない虚言を言いふらす人たちがエラッソーな顔をして心に不安を抱えている人たちの心理を支配するのはまさしく詐欺だ。

 詐欺にあっても、納得して金品を支払うのなら、なんら問題はない。古ぼけた茶碗に価値を見出して、対価として百万円支払って悦に入るのも人の生き方だ。しかし人の命まで奪っては「事件」だ。
 民事不介入とはいえ、詐欺行為を「事件」に育ててから人を咎め罪を問うのでは遅きに失してはいないだろうか。摩訶不思議な能力を操るかのような、怪しげな人物をテレビに登場させるのは控えるべきではないだろうか。そうした人物がテレビに登場することにより詐欺師と国民との垣根を低くしていることにテレビ番組製作者たちは気付くべきだ。


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