原発廃炉処理費21兆円を「想定」してなかった政府・電力は経営者としての体をなしていない。

<経済産業省は9日、東京電力福島第1原発事故の処理費用が、従来の見込み(11兆円)の約2倍となる21・5兆円に膨らむとの試算を公表。追加費用を電気料金への上乗せや税金などで賄う方針を提言案に明記した。当初の見通しの甘さを露呈した形だが、東電の自力負担が前提の廃炉費などは今後も膨らむ可能性があり、国民負担はさらに増す恐れもある>(以上「毎日新聞」より引用)

 かつて、というよりも今も世耕 弘成氏(経済産業大臣(第22代)兼内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・ 廃炉等支援機構)、ロシア経済分野協力担当大臣)は原発は発電コストは安と発言している。
 総括原価主義(発電時の費用のみを「原価」とする特殊な電力業界だけで通用する原価計算方式)なら原発は「安価な電力発電装置」ということなのだろうが、世間一般、というよりも会計原則で規定する「原価」でみるなら、原発ほど高コストの発電装置はない。なぜなら廃炉にするだけで21兆円もの費用が掛かる、というのだ。

 廃炉にしただけで原発関係経費が完結するのではない。放射性廃棄物を処分した後も1万年も維持・管理しなければならない。その総トータルコストたるや天文学的な数字に上るのは明らかだ。
 原発導入時の会議で、東大出の学業優秀な官僚たちや学者たちが雁首を並べて「原発は安定的にして安価な電力発電装置だ」という原発宣伝文句に誰一人として異議を唱えなかったのだろうか。それとも「大変なことになるが、」と思いつつも毒万重の旨味で口を閉ざしてきたのか。

 原発を推進する広告塔に利用された芸能人や各界の著名人はどのような感慨をお持ちなのだろうか。国民を騙して原発を推進する一助として自信の知名度が利用されたことに対して忸怩たる思いはないのだろうか。
 一握りの芸能人や学者は「反省の弁」を公表しているが、多くの広告塔に名を連ねた人たちは知らぬ顔を決め込んでいる。そしてマスメディアも原発推進の世論形成にどれほど手を貸したか、反省の弁が一言もないのはまさしく「腐り切ったマスメディア」とこのブログでコキ下す所以だ。

 担当大臣を務める世耕 弘成氏は今も「原発は低コストの電力を発電する装置だ」と性懲りもなく発言している。それは総括原価主義という「非常識」な電力業界だけで通用する原価方式で計算した原価に他ならず、会計原則に基づく世間一般の原価計算に基づく原価を基にして算定するなら原発は「天文学的な高原価」の発電装置ということになる。
 その「天文学的な高原価」の発電装置を今も運用する姿勢を崩さない安倍自公政権は原発の副次的な日本全土のみならず地球上に放射能をまき散らす発電装置の危険性にも目を瞑っている。この生命体の命に係わるコストは一切発電原価に算入されていない。

 まったくふざけた話だ。好いとこ取りの原発「神話」を未だに信奉している愚かな政府と官僚たちと学者たち、そして彼らが形成する「原子力ムラ」は国民の迷惑に素知らぬ顔をして、各家庭すべてに電気料金に月額18円上乗せすれば廃炉費用は賄える、と「試算」して厚かましくも発表する。
 それを無批判にマスメディアは国民に告知するだけだ。日本の言論界はいつから、かくも腑抜けになったのだろうか。自分たちだけの世界で通用する『総括原価主義』という符牒を世間一般の場で使うべきではない。世間一般に向かって発言する場合は世間一般で通用している言葉に「翻訳」して使用するのが常識だ。そう常識に照らせば原発の1Kwあたり発電原価は一体幾らになるというのか、世間一般で使っている「原価」で言い直して戴きたいものだ、世耕担当大臣。


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