2016年の動きを「グローバリズムへの逆行」と表現するマスメディアは国民の敵だ。

 読売新聞が2016年の回顧として英国のEU離脱を決めた国民投票と米国大統領選で「アメリカ・ファースト」を訴えたトランプ氏の当選を一位と二位に掲げた。その解説で「ポピュリズム」の台頭と、相変わらず反・グローバル化を敵視している。
 かつて、世界に幾度かグローバル化の波が押し寄せたことがあった。最初のグローバル化の主役はローマ帝国だ。そして次のグローバル化の主役は蒙古帝国で、次に世界の海で覇権を争ったスペインやポルトガルや英国だった。

 それらに共通するのは他民族や他国を軍事的に制圧して、他国民を奴隷として扱い、自国の制度や文化や言語まで強制することだ。植民地主義も帝国主義もある意味でグローバル化だ。そして現代のグローバル化の主役は多国籍業や多国籍投機家たちだ。
 彼らは軍事力ではなく豊富な資金で政治を動かし、世界の仕組みをすべて自分たちに都合の良い均一的な「市場」に作り替えようとしている。その第一がユーロであり、そして各種の「国境なき」自由交易圏の確立だ。

 あえて「国境なき」と表現したのは「非関税障壁」を意識したからだ。関税撤廃よりも、非関税障壁の撤廃の方が国民生活に与える衝撃度は段違いに大きい。
 日本に突如として200万人の労働移民が押し寄せたらどうなるか、想像したことがあるだろうか。現在日本に永住している外国人は約230万人だから、それと同じほど安倍氏は向こう10年間で受け入れようとしている。これは飛んでもないことだ。

 英国は80万人の労働移民の流入によりEUからの離脱を決めた。人口6000万人の英国にとって、80万人もの東欧からの労働移民は英国人労働者を職場から追いやるのに十分だったようだ。
 日本でも200万人もの労働移民が流入すると、低賃金が定着してデフレ化は益々進み、国民の貧困化は加速するだろう。その一方で労働移民からピンハネする「派遣業者」や彼らを雇用する企業は利益を拡大するだろう。

 移民が押し寄せたスウェーデンは社会秩序が乱れ、犯罪が多発している。ドイツも移民を受け入れていたメリケル政権が国民の反発により苦境に陥っている。
 ほんの1%未満の少数の人たちが巨万の富を手にするグローバル化のために、圧倒的多数の国民が貧困を強いられ、社会秩序の崩壊の被害にあうという不条理を味わうことになる。実際に米国社会がそうなっているから、反・グローバル化を掲げるトランプ氏が当選したのだ。

 そうした分析もなく、「ポピュリズムの台頭」と反・グローバル化を否定的に伝える読売新聞はフェアーではない。
 日本には日本独自の文化と慣習がある。それらを易々と米国の1%のために改変して貢ごうとするのが、日本の場合のグローバル化だ。その仕掛けは「構造改革」という言葉に内包されている。

 構造改革が推進されだした小泉政権以降、国民は貧困化している。貧困化した階層の中での格差は縮小し、全体として貧困化している、というのが現実社会だ。その元凶は労働分配率の低下と消費増税による需要不足だ。
 法人税の本税率を下げれば益々内部留保が増加し、内部留保された資金は海外投資へと回されるだろう。結果として日本国内は益々貧困化する。そうしたスパイラルに入っているにも拘らず、安倍自公政権は法人税本税率を引き下げて、年金などのインカムを減額するという。安倍自公政権にマトモな経済学を学んだ者は皆無のようだ。

 国民多数を貧困化する政権批判をしないどころか、ジャパンハンドラーたちの言い分を垂れ流す日本のマスメディアは反日勢力といわざるを得ない。世界の反・グローバル化の流れは至極当然の帰結だ。必ずや、日本もそうした流れになる。


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