年金の引き下げより、年金制度間の格差是正の方が先だ。

<公的年金の支給額を引き下げる新しいルールを盛り込んだ年金制度改革法案は25日の衆院厚生労働委員会で、自民、公明、日本維新の会の賛成多数で可決された。民進、共産両党は審議継続を求めたが、与党が採決を強行した。政府・与党は同法案の今国会成立に万全を期すため、11月末までの臨時国会の会期を延長する方針だ。

 今国会では、環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案に続く採決強行となった。年金制度改革法案は29日に衆院を通過する見通しだ。

 法案に盛り込まれた新ルールでは、これまで賃金が下がっても物価が上がれば年金が据え置かれていたシステムを変え、新たに賃金の下げ幅に連動して支給額も下げる。2021年度から導入する方針だ。また、支給額が上がる場合でも増加額を毎年1%程度ずつ目減りさせる「マクロ経済スライド」のルールも、18年度から強化する>(以上「朝日新聞」より引用)

 マクロファージにより年金を引き下げる、という愚策をまたしても安倍自公政権は強行した。賃金に連動させて年金の支給額を動かすというのは一見妥当性があるようで何ら根拠がない。賃金の支給額に年金の支給額を連動させる、というのならすべての年金を賃金水準で同額とすべきだ。
 そうした議論もなく、年金制度間の格差を放置したまま小手先の支給額の抑制だけを実施するのは政治の貧困以外の何物でもない。なぜ政治家は官僚の用意した「法案」を審議するだけで得々として「強行採決」まで仕出かすのだろうか。少しは自らの姿を鏡に映して己の馬鹿面に少しは絶望してはどうだろうか。

 国民の生活を全く考えない年金制度はますます年金掛け金不払い者を増加させることになるだろう。「食えない年金」を老後に貰うより、今の暮らしを楽しみ、老後は「生活保護で」と若者が考えたとして、それを非難することは出来ない。
 国民年金は「食えない年金」だ。掛け金を満期掛けても老後に手にする年金が月額6万5千円では暮らせない。誰も好き好んで「食えない年金」に加入しているわけではない。公務員でなければ月額平均30万円の共済年金に加入できないし、正社員で会社勤務しなければ月額平均20万円の厚生年金に加入できない。そうした制度格差を放置したまま、支給額の減額率だけを一律で実施するというのは公平のようで格差放置という年金格差を是認するものでしかない。

 まず「食えない年金」を是正することだ。最低でも「生活保護支給額」と同額以上まで引き上げるべきだ。そうしなければ年金掛け金を支払った「正直者」は報われない。
 国民の義務として年金保険料を支払った者が「国民年金」に加入していたから「食えない年金」支給額しか支給されないというのは国民年金加入者の責任ではない。そうした年金を放置したまま平気で政治家面をしてきた政治家の責任だ。国民年金保険料の徴収率が六割を切ろうとしている、というニュースが流れているが、それも誤魔化しで、保険料免除申請を出して保険料を免除された者はカウントされていないから実際の徴収率はもっと低いはずだ。徴収された保険料額も一部免除者も入っているから、実際の徴収された保険料は満額徴収予定額の六割にも満たないはずだ。そうした実際の数字をマスメディアは詳細に調査しようともせず、官庁から発表される数字をそのまま垂れ流している。

 年金制度間の格差は法の下に平等を定めた憲法に抵触する可能性がある。いかなる年金制度が存在しようと、加入月数が同一なら同一年金を支給するのが「法の下の平等」というものだ。保険料額が違うから多く掛けた者が多く支給されるべき、というのは社会保障制度としての年金制度にそぐわない。
 なぜなら社会保障制度は「負担は応能で、支給は一律」というのが大原則だからだ。たとえば医療保険は多くの保険料を掛けていようが少ない保険料しか支払っていまいが、受ける医療サービスに格差はない。それが社会保障制度本来のあり方だ。

 根本的な問題には目を瞑って、厚労官僚が用意した年金マイナス・スライドという、物価が上がろうが賃金が下がれば年金も下げるという不合理な制度改悪には賛成する、という愚かな政治家を選出した我々国民にも責任の一端はある。
 次の選挙では年金の制度格差を解消する、との公約を掲げる政党の候補者を当選させようではないか。政治を変えるには国民が変わらなければならない。


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