トランプ氏は米大統領候補として異例なのだろうか。

<大統領選の取材で回った地方で、トランプ候補への評価を尋ねると、十中八九「クレイジー」という言葉が返ってくる。そんなトランプが、白人ブルーカラー層を中心に旋風を巻き起こした背景には、「誰も口にできない本音」を代弁してくれる、という有権者の期待感がある。米国に住む人であれば、誰もが最も恐れる「人種差別主義者」というレッテルを、あろうことか大統領を目指す人物が自ら買って出たのである。

反グローバル主義、反民主主義、ファシズム、デマゴーグ(扇動政治家)、ポピュリスト(大衆迎合主義者)、ヒスパニック系移民やイスラム教徒、シリア難民への差別・偏見、外国人嫌い、女性差別、障碍者蔑視、メディアへの締め付け、そして、ナルシシスト――。トランプに貼られたレッテルを挙げたら、きりがない。

だが、地方の有権者だけでなく、大都市に住む移民のなかにも、そんな彼の主張に「わが意を得たり」と共感する人が少なくない。近年の米国では、人種・国籍・性別・性的指向・宗教などにおける差別をタブー視する「ポリティカル・コレクトネス(PC=政治的・社会的正当性)」が強く求められているが、そこに欺瞞を感じ、怒りをもつ人たちも存在しているからだ。

トランプが取った行動は「ポピュリズム戦略」だった。グローバル化によるオフショアアウトソーシング(外国への事業委託)や優秀な若年移民労働者の流入を快く思わない人たちの不満をさかんに煽り、その怒りをわしづかみにした>(以上「プレジデント・オンライン」より引用)

 トランプ氏の「メキシコ国境に壁を築いてヒスパニックの不法移民を根絶し、壁の建設費はメキシコに支払わせる」という演説文句は有名だ。同時に彼はイスラム教徒の入国を禁止するとも言っていた。
 米国は移民国家だが、全人口に対するキリスト教を信仰する白人の割合が五割を切ったため、白人層の危機感は相当なものだという。今後も移民をすべて受け入れるのはプアーホワイトの職をさらに奪うものでしかない、という危機感は白人に強いものがある。

 さらに米国の安定して秩序を保っていた分厚い所得中間層が格差社会の進行により貧困層へと転落したことで、現行米国政府のありように強い不満を覚えている。国民が貧困化していく中で、一部の企業家や投機家たちが富を独占して行く様は多くの米国民が白眼視している。グローバル化は国民をすべて豊かにするのではなく、国民の富を一部の者が独占する社会体制作りに他ならないと気付いたのだ。
 かつて日本が第二の経済大国だった頃、日本のGDPは米国のGDPの2/3に迫っていた。そして世界のGDPに占める日本のGDPは17%に達していた。現在の中国ですらGDPの世界に対する割合は15%だということと比べるといかに日本のGDPが凄まじいものだったかお分かりだろう。しかし今では日本のGDPの世界に占める割合は5%に過ぎない。日本は確実に貧困化している。しかし日本国民は米国民が国家の貧困化に危機感を覚えているのに対して、安倍氏がアベノミクスという経済失策を仕出かしていても、安倍自公政権を倒そうとする声は一向に上がらない。

 トランプ氏は政府を操るウォール街を拒絶している。選挙資金もトランプ氏は自腹で賄い、ヒラリー氏がウォール街から調達しているのとは全く異なる。そして彼の政治方針も世界から手を引いて国内政治に専念する、というものだ。
 それは明らかにウォール街とタッグを組んで米国政府をハンドリングしてきた軍産共同体の意向に反するものだ。ちなみにジャパンはんどらーといわれる面々は米国の軍産共同体のメッセンジャーボーイたちだ。

 日本もグローバル化の政策の下、国民格差は拡大し、中間所得層は貧困化していった。ことに若者たちにその影響は強く出ていて、彼らはバブル以前の輝ける経済大国日本の世紀を知らない。若者たちは出生時にバブル崩壊から就職氷河期、さらには米国のグローバル化要請に従う小泉・竹中「構造改革」により正規社員の道を断たれている。
 企業に対して賃上げ闘争をしなくなった労働組合に成り代わって、政府が企業に賃上げを要請する始末だ。日本の方が米国以上に「構造改革」というグローバル化により社会が壊れているにも拘らず、米国のような大統領候補トランプ氏が出現しないのはなぜだろうか。

 グローバル化に対するアンチ・テーゼは「国民の生活が第一」の政治だ。米国の1%のための政治から、日本国民の生活が第一の政治へと転換すべきに到っているが、いまだに日本のマスメディアは安倍自公政権をヨイショしている。そして日本の国会議員たちはグローバル化のいきつく先は国家主権も奪われて、国民が貧困化して日本が後進国に逆戻りすることだということに気づいていないようだ。それこそが米国の対日長期戦略だということを看破できない政治家諸氏に日本の政治を任せるしかないのは、日本の最大の不幸ではないだろうか。

 しかしトランプ氏は在日駐留米軍を引き上げる、という。日本の真の独立への第一歩をトランプ氏が歩ませてくれるというのだ。これほどの好機があるだろうか。日本国民はトランプ氏を心の底から応援しようではないか。


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