パクス・アメリカーナの終焉を理解できない政治家たち。

<衆院憲法審査会の与党筆頭幹事を務める自民党の中谷元(げん)前防衛相は21日、言論NPOの会合で、トランプ次期米大統領が大統領選中に在日米軍駐留経費の負担増を主張した背景について「日本国民は米国の存在にどれだけ関心を持っているのか。感謝の念は非常に希薄だ。そういうことがトランプ氏に伝わり、米国が日本を守るならもっと感謝しろ、カネを出せという発言につながる」との見方を示した。

 そのうえで中谷氏は日本が世界の安全保障により自覚的に関与すべきだと指摘。「憲法に国の安全保障をしっかり規定しなければならない。自衛隊のさまざまな規定を書かなければならない」と述べた。9条改正には直接言及しなかった>(以上「毎日新聞」より引用)

 前防衛大臣の中谷氏は米国に感謝して日本はパクス・アメリカーナの一翼を担うべきだと述べたという。何ということだろうか。中谷氏は日本国民は米国の世界戦略に感謝すべき存在だというのか。
 嘉永のペリー来航以後、米国が日本国民にもたらした厄災を挙げれば片手で足りないだろう。最近のことだけでも、日本が経済大国になった宮沢内閣時代に「円通貨圏」をアジアに創設しようとして、米国の逆鱗に触れたことがあった。現在、中国はAIIBの創設などを通して「元通貨圏」を創り出そうとしているが、米国は「参加しない」という消極的な反対しかしていない。

 情報化社会到来が間近を見越して、日本政府が日本製のOSトロンをPCの標準仕様にしようとした当時、米国の圧力によりWindowsをOSの標準仕様として採用するように圧力をかけられて従わざるを得なかった。それによりどれほど日本の情報化社会のコストを米国の一企業に支払わされ、IT技術を独占されてきたことだろうか。
 これ以上、日本が米国に鼻面を引き回されるのは一日本国民として御免だ。まるでヤクザのシマ争いのような「東西冷戦」時に米国「組」に籍を置いて、それなりに米国の「若頭」としてシノギから「上納金」を献上してきた。プラザ合意や繊維交渉や造船交渉、さらには鉄鋼交渉など、日本はどれほど米国に譲歩してきたというのだろうか。

 不当にも日本は基本的に航空産業を米国に規制されて来たことも特筆しなければならないだろう。日本が米国に感謝しなければならない「カリ」かど何もない。むしろ米国により抑圧されてきたことばかりではないか。
 戦後社会で日本はもっと自由に国際社会であらゆる国と協調関係を構築することが出来たはずだ。もっと自由に日本の持てる科学技術力を世界平和に利用できたはずだ。中谷氏は戦後史をどのように理解しているのだろうか。もしかすると中谷氏はGHQが日本に押し付けた不当な「自虐史観」をそのまま受け入れている「保守政治家」の一人に過ぎないのではないだろうか。

 戦後70年パクス・アメリカーナを維持して来た米国は疲弊しきっている。勝手に米国基準を世界に押し付けてきたにも拘らず、勝手にパクス・アメリカーナの看板を下ろすとトランプ氏は宣言している。
 だから日本はアメリカの駐留経費をもっと負担しろ、とは実に乱暴な論理だ。さもなくば撤退する、というのはトランプ氏が戦後70年間のパクス・アメリカーナ戦略で世界各地で戦争を起こしてき続けてきたすべての責任に関与しないという姿勢に他ならない。世界中に現代の宗教戦争の火種をばら撒いておいて、手に余るようになったから「後はシラネー」という態度に他ならない。

 自衛隊を日本以外の地へ派遣するのに反対だ。自衛隊は日本国防衛のための軍隊だ。世界の平和が日本の平和につながる、というのはパクス・アメリカーナの日本版に過ぎない。世界各国には世界各国の固有の事情がある。だからかつての米国大統領は「民族自決主義」を提唱したのだ。
 トランプ氏がその当時の米国に回帰する、というのなら、それはそれで歓迎だ。もはや日本にも関与しないことだ。いつまでも日本と日本国民を瓶の中に閉じ込めて、蓋として圧し掛かるのをやめるべきだ。米国が日本国民に強要した東京裁判史観が代表的な「自虐史観」から、日本国民が脱却すべきだ。そして自由な目で世界を眺めることだ。いつまでも米国の三下として世界に関与していてはならない。

 大統領就任以前の私邸に馳せ参じた安倍氏を「恥ずかしい宰相だ」と感じない日本国民は自虐史観の只中にあることを自覚すべきだ。いや、安倍氏のお友達政治家・中谷氏にそうした自覚を求めるのは間違っていた、と私が思わなければならないのかも知れない。


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