読売新聞の社説「貿易と投資で成長を支える」とはTPP陰謀そのものだ。

 読売新聞の論説委員たちは何を考えているのだろうか。日本が「貿易立国」を謳歌していた当時、何度米国から「内需を拡大せよ」と脅しを受け、煮え湯を飲まされたか、お忘れなのだろうか。
 散々な目に遭いながら、日本は内需を拡大して「貿易依存経済」から脱却している。GDPの六割は個人消費という内需大国になっている。だから経済成長のメインエンジンは個人消費であり、個人の可処分所得を増加させる政策が経済成長の肝心要だ。

 しかし安倍氏は「自由貿易で経済を拡大する」という終戦直後の日本かと勘違いする時代遅れのスローガンを叫び続けている。それでなくても日本はWTOに加盟して、中国から主として生活用品などの輸入攻勢を受けている。
 読売新聞は「貿易と投資で成長を支える」と社説を掲げてTPP参加を推進しているのだろうが、TPPの実態、悪魔のISD条項に関しては殆ど何も国民に報道していない。それで良くも「貿易と投資」を推進しようとするものだ。

 いうまでもなく米国の1%はTPPにより日本の制度のすべてを米国に塗り替えて、貿易と投資で日本の富を吸い尽くそうとしている。米国と北米貿易協定を結んだカナダが米国から輸入したガソリンにカナダ政府が「有害物質」と認定している添加物が混入していたことから米国からのガソリン輸入を停止したところ、ISD条項により米国企業から提訴され、カナダ政府は敗れて莫大な損害金を支払ったことは記憶に新しいだろう。もちろん有害物質が添加された米国製ガソリンはカナダに輸入され続けている。

 日本も大豆などの遺伝子組み換え製品に関しては商品に明記するようにきめられているが、TPPもしくは米国と二国間貿易協定を締結すれば「非関税障壁」と日本政府が提訴され、遺伝子組み換え製品との表示は直ちに規制され、莫大な損害賠償金を支払うことになるだろう。
 そうした新手のビジネスが米国にゴマンといる弁護士たちのメシのタネになる。日本は国家としての主権を奪われ、経済植民地にされてしまうだろう。「自由で開かれた経済こそが平和と繁栄の礎だ」と安倍氏はアルゼンチンで御託を並べたようだが、「自由で開かれた経済」とは何かを、安倍氏は定義すべきだ。曖昧な言葉を並べて大衆を煙に巻くのはやめなければならない。

 そして「平和と繁栄」を求めるのなら、シリアで政府と反政府にそれぞれ肩入れし兵器を売り付けているロシアと米国に「みっともないマネはやめろ」と忠告してはどうだろうか。
 自由貿易とはそれぞれの国の主権を認めた上で、出来るだけ関税率を引き下げた交易を実施する努力に他ならない。決して「関税撤廃」でもなければ「非関税障壁」の撤廃が自由貿易でないことを肝に銘じなければならない。さもなくば経済侵略と経済植民地主義の蔓延を世界に招くことになる。それこそ米国の1%の目論むところだ。


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